業界初(?)の折り畳み自転車マンガ、おりたたぶが4巻で完結してしまった。
自分もDAHON routeを持っているので期待していたんだけど、早々に終わってしまって残念。作者のこんちきさんは元々成年コミック出身ということもあって女の子の絵は可愛らしくて、ろんぐらいだぁずよりも相当上手いと思うんだけど長期連載とはならなかった。
折り畳み自転車の航続距離の短さが連載期間にも反映された形か(違うか)
いま読み返してみると、1巻までは面白かったんだけど、2巻でSTRiDAの瀬尾ちゃんが出てきてから方向性が変わってしまった感じがする。
それまでは奈緒とゆうみでラブラブだったところが微妙な三角関係になってギクシャクしたまま最後まで解消されず、誰得感が強い。
こーゆー「ゆる女子」ものの漫画では不要な感情なんじゃないのかな。
しかし一番の問題点は、STRiDAというサイクリングに向かない自転車をレギュラーメンバーにしてしまったことだと思う。
どう考えてもこれは、都市部で短距離移動に使うシティコミューターであって、自転車に乗ってどこか遠くに向かいたいというときに乗る自転車ではない。航続距離に引っ張られた結果、ついに2巻にして自転車漫画なのに自転車を放棄するという展開に。
徒歩で川越を回るだけの展開に、この時点で自分的には興味ゼロになったんだけど、いちおう惰性で買い続けたのだが、3巻になってキャリーミーが登場するに当たってその傾向はさらに強くなった。
極小径車だとさらに行動範囲は狭くなり、話の展開も「自転車いらないじゃん」となることが増えていった。(鎌倉編では完全に邪魔者だった)
(取材が足りていない感が強かった)
そーゆー意味では、やはりメインの登場人物にはそこそこ走られる折り畳み自転車に乗せるべきだったんじゃないかな。
例えばDAHONとブロンプトン、BD-1、Ternの4種類を主軸に据えつつ東京近郊をサイクリングさせて、各地でスポット的に変態小口径自転車の紹介が加わるくらいの展開でも良かった気がする。
そうならなかったのはなんというか、自転車を描くことからの逃避だと思うんだよなあ。
逆に、折り畳み自転車に乗ることの楽しさをストレートに表現していて素晴らしかったのは「おりたたみ自転車はじめました」だと思う。
ブロンプトンの走破力と携帯性を活かして、折り畳み自転車を所有して得られた喜びが十分に表現できていて良かった。少年誌への連載ということで、思い通りに自転車のマニアックなところを書けなかったのかな、という気もしないでもない。
ハチワンダイバーという将棋漫画があったんだけど、作者が「将棋の盤面を出すとアンケートの順位が下がる」と言っていたし、あまり専門的にはできなかったのかもしれない(その結果打ち切りになってしまったので痛し痒しではある)。
しかし、ろんぐらいだぁすすとーりーず!は、新章に入ってもきちんと面白いからすごい。
やっぱりこういう「女子がおっさん趣味に手を出してみた」系マンガはマニアックでなんぼという気がするし、おりたたぶは下手にリアリティを出したせいでどっちつかずになってしまったのかもしれないなあ。登場人物が動物なのでゆるい雰囲気なんだけど、意外ときちんと自転車と向き合っていて面白いのでオススメです。