PikaCycling

Raleigh CRAとDAHON routeを買ったばかりのサイクリング初心者。ポタポタとポタリングを楽しもうと思っています。

知内ウニライド&函館400【DNF】

パリブレストパリに出てからというもの、まったく全然自転車に乗る気力がわいてこなかった。
肋骨にひびが入ってそれどころじゃなかったというのもあるけど、なんというか、世界最高峰の場所で人生最高の興奮を味わってしまうと、それ以外でロードバイクに乗る意味ってなに? という感覚が大きくなってしまっていた。

帰宅してからの週末にはすごくいい天気の日も多かったんだけど、「そんな近場を走ってもなあ」とか「いつもと同じコースだしなあ」とか言い訳をして、家でStarfieldで遊んでいるばかりだった。

函館400が開催される週になってようやく、輪行箱から取り出して組み立てただけのラレーCR-Aにブルベ装備を取り付け始めたり、キューシートをダウンロードしてみたりしたけど、やっぱりどうも気分が乗らない。
あまつさえ風邪まで引いてしまって(季節の変わり目にはかならず風邪をひいてしまう)これはDNSやむなしかなあ、と思っていた。

と、そこに鉄夫さんから、函館400の前日に木古内から知内までランチライドをしようという提案があったので、体調は微妙だったものの、まあ往復50㎞くらいなら大丈夫だろうと快諾した。


スタート地点は(函館市内からではなく)木古内の道の駅。

ゆっくりさんを先導に、三人で走り始めた。
海岸線を行くとあっという間に到着してしまうからと、ゆっくりさんが裏道、というか、ツールド北海道でコースになった場所を案内してくれたので普段と雰囲気が違ってかなり楽しかった。

みれん峠なる謎の峠も。

PBPロスで情熱がなくなっていたけれど、やっぱりこうやって秋晴れの下でサイクリングするのは楽しすぎるわ~。

そんなこんなでムラカミヤに到着。
murakamiya26.wixsite.com

名物のウニ丼は今週がラストだというのでぎりぎり間に合った。

エゾシカのロースト丼というのもあって気になって迷っていたら常連のゆっくりさんから「ハーフ&ハーフにもできますよ」と教えてもらったのでそちらを注文。

生ウニ丼だと4,000円のところ、ハーフ&ハーフだと3,700円になるのも嬉しい。
無添加生ウニはトロトロで超美味しい。
正直言うと積丹の方がレベルは高いけど、値段はこっちの方が安いし、それになによりエゾシカローストがめちゃくちゃ美味い。
むしろウニ以外で攻めてみるのも賢いかもしれない。
ゆっくりさんが食べていた活ホタテ定食も美味しそうだったし、春は牡蠣とニラの定食もお勧めだそうだし、かなり良さげ。


そんな感じでランチを満喫して帰宅。


翌日は朝4時に起きたけど、昨日走ったせいもあって体調は全然回復せず、このまま寝てしまおうかとも直前まで考えていた。
けれど、DNSするよりスタート地点まで行って無理しない範囲で走って帰ってきた方が心証が良かろうと思い、頑張って家を出た。

スタート地点の元町公園にたどり着いて受付をすますと、やたらとDNS組が多い。
そもそも函館400は函館シリーズの中でも特に人気が低く、参加者はたったの16人、そしてDNSが5人というので、やはり無理してでも顔を出しておいてよかったと思った。
ちなみに函館300は参加者19人中DNS1名、函館200は参加者31名中DNS1名で、距離が延びるにつれて激減してしまう。
函館にもサイクリストは結構いるし、最近は地元ランドヌールも増えているとはいえ、やはり自分も本腰を入れて参加者を増やすようにしないとなあ、と思った。

この日はPBPジャージ(参加者がもらえるけれど着なかったやつ)とPBPベスト(オダックスジャパン製のオレンジ)でキメて、PBP完走者としてドヤ顔するというミッションをクリアするのが目標だったので、もう走り出さなくてもいい感はあったw

まあそんなこともできないので鉄夫さん、ゆっくりさんに続いてスタート。
昨日と同じメンバーだったので「さあ、ウニ丼食べに行くか」という軽口を叩くくらいだったんだけど、やはり本調子が出ないので全然足が回らない。

平坦でもついていくのがやっとという有様で、のぼりになるとスタミナが瞬時に切れる。
南茅部のPC1を抜けて、サイクリングはできるけれどブルベができる体調ではないな、と判断し、大沼にあるPC2でDNFすることにした。
これだとちょうど100kmなので、サイクリング距離である。
もうちょっと頑張れたら厚沢部まで行ってからリタイヤして中山峠を通って帰ってくるという手もあったんだけど、さすがに300kmは厳しかった。
(今回は100㎞で300km走る以上に疲労したし)

PC2のコンビニでは運営のピーターさんが待機していて写真を撮ってくれたので、直接リタイヤを告げた。
ピーターさんは2015年と2019年のPBPに参加していたのでその時の思い出話を聞いたり、いつか一緒に走ってみたいですね、とのお言葉もいただいた。
来シーズンはいろいろと楽しいイベントも考えているようなので、チーム函館で参加できたらいいなあ、と思っている。

というわけで、大沼から南下して七飯の道の駅へ。
ここでは名物のガラナフロートをいただいて帰宅までのエナジーをチャージ。

ガラナの上にガラナソフトクリームが乗っているという完璧な布陣(しかも350円とお安い)。

帰宅して爆睡し、目を覚ますと鉄夫さんも江差のあたりでDNFしたというツイートが。
どうやって帰ってくるんじゃろ、と思っていたら、江差のバスは輪行袋OKなんだそうだ。
もしもNGだったら頼るつもりだっとた聞いて、なるほど函館開催の折には自分が最後の砦になる心意気でなければならないのだなあ、と気が引き締まる思いがした。

そんなこんなで、PBPからの復帰戦はDNFに終わったけれど、改めてサイクリングの楽しさを感じさせてくれるライドになった。
PBPを走ることは目標だったけれど、これがゴールなわけじゃない。
まだまだロードバイク人生を楽しんでいかなければなければ。

【Road to PBP2023】完走への道のり(装備編)

前回まででPBP走行記は終了したので、今回からはパリブレストパリ1,200kmを走破するための準備について書いていこうと思う。
とはいえ、いつものブルベと違う新兵器を導入したというのは特になく、ほぼほぼいつもと変わらない装備ではあった。
それはつまり、そもそも今年のブルベはPBP完走を目標に据えていたからということの裏返しということなんだけど。
というわけで、PBP仕様の装備の紹介をしてみる。

ロードバイク ラレーCR-A

自転車はもちろんエントリークロモリロードのラレーCR-A。

やっぱロングを走るならクロモリはいいですよ。
飛行機輪行でフレームが割れたカーボンバイクを見ちゃうと、鉄の丈夫さが頼もしいし。

PBPはほとんど平坦だから重さも気にならないし、逆に車重を活かして下りでフル加速して、その勢いだけで次の坂を乗り越えられるのでめちゃくちゃ捗った。
自重が重いと終端速度が速くなるので、ペダルを漕がない状態で軽いバイクと一緒に下ると、こちらの方が断然スピードが速くなる。
重力を自在に操り高速の異名を持つ高貴なロードバイク、それがクロモリなのだ。

カーボンフォーク&カーボンハンドル

ウナギ600を走って手のしびれが大変なことになったので、振動を吸収するためフロントの各種パーツをカーボン化した。
フォークはラレーCR-Fの純正品。

購入してすぐメッキクロモリフォークに換装した人がメルカリに出品していて、格安で手に入れることができた。

ハンドルはPrimavera エアロカーボンハンドルバー。
https://www.wiggle.com/jp/p/prime-primavera-%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%BC
バーテープはスパカズで、その下にはエルゴンのオルトセルパッドを巻いている。

フランスの道は北海道と同じくらい荒れているので、振動対策は結構重要。
完走後の感想を見ても手のしびれに悩まされていたり病院通いしている人も多かったので、やりすぎるということは無いと思う。

ジェル入りグローブ

振動吸収のためにいつも使っているのが、ランドヌール御用達のStinger Intro6。

そしてドロップバッグ用に用意していたのが両方右手用だったため(頭が悪い)急遽導入したカステリのジェル入りグローブ。これはほんと良かった。
サソリのマークも好きだし、Introよりも脱ぎ履きがしやすくて好印象。

タイヤ

振動吸収のためにはジェル入りグローブやふかふかなバーテープなども大事だけど、なるべく振動の発生源に近い方で吸収させた方が効果が大きいそうだ。
そーゆー意味ではタイヤを太くすれば一番いいんだけど、ドロヨケとの兼ね合いがあったのでいつも使っている安心安定のGP5000、25Cを使用。

最初は替えのタイヤもドロップバッグに詰めていこうかとも思ったんだけど、タイヤはPCの売店で買えるからいつも通りタイヤブートだけ準備していた。

チューブは前輪がTPUチューブで、後輪がブチルチューブ。
TPUチューブは軽くてダイレクトな乗り心地が好きなんだけど、後輪は今年4回もパンクしたので諦めることにした(前輪はパンク無し)。
荷重は後輪側の方が重いし、駆動輪だし、前の方は見ているから段差を避けられるけど後ろはよけ切れていないのがパンクの原因かもしれない。
とりあえず今回のPBP中には一度もパンクに見舞われなかったので良かった。
ちなみにエアーは折り返しのブレストで1回だけ入れなおしたかな。
ポンプはメカニックで無料で借りられるので、もしパンクをしたとしてもPC間だけ凌げればいいため、Co2ボンベだけ持って行けば事足りるだろう。

Di2

PBP完走のための3つのD、その筆頭がDi2。

スイッチ一つでポチポチと変速できるから指への負担も少ないし、それになにより「変速がめんどくさい」と思わなくなるのが一番の効果。
PBPはアップダウンがひたすらに多いから操作回数もすごく増える。
アウタートップからインナーローまでアウター12+インナー4速の往復を無限に繰り返すことになるので、機械式だったら腱鞘炎になってたと思う。
特に長押しで連続切り替えができるのも便利すぎた。

バッテリーはシートポストに刺さっているだけだから外して手荷物にするだけでいいし、満充電で1,000km走れるので、だいたい400kmくらいのところで一度充電してしまえば最後まで使える。あと、意外なメリットとして、リアディレイラーを丸ごと取り外せるというのも良かったな。ワイヤーがないから電源ケーブルを外すだけでフレームから外して別に梱包できちゃうし、組み立て後の調整も不要なのでむしろ輪行に向いているともいえる。
これはほんと、Di2にあらずんば人にあらずレベルの革命だった。

DHバー

PBP完走のための3つのD、その2つめはがDHバー。

https://www.wiggle.com/jp/p/token-tk9741-2-%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC-%E3%83%91%E3%83%83%E3%83%89
今回から解禁されたと聞いて北海道のブルベでも使い始めたんだけど、これがめちゃくちゃ便利。
オールロードバイクレボリューションによると、空気抵抗はトレインを組むとだいたい40%くらい、DHバーで身を低くすると30%くらい軽減されるらしい。

PBPでは90%くらいひとりで走っていたし、そもそも足に合うトレインを探すのも難しいし、他人に期待するくらいならソロの方が気楽でいいやと思う自分だ。
肘で体重を支えられるから手のひらへの負担も減るし、ルール的に許されているのに使わない理由がないアイテムだった。

特にPBPのコースは北海道よりも車通りの少ない超安全な農道しか走らないから、DHバーを本当の意味でダウンヒルで使えたのが大きい。
3%くらいの勾配を無限にアップダウンするからこそ真価を発揮できていた。

ライト

フロントライトはジェントスの18650ライトを2灯。

夜中はだいたいMidモードで2本点灯させていて、よっぽど暗い時だけ1本をHiモードにする感じ。
フランスの日没は21時、日の出は7時で夜が10時間なのにたいし、180ルーメンなら24時間なので2晩分、替えの電池も2本あるので夜を4回越えられる計算だ。
400ルーメンのHiでも12時間もつので、なんなら1本はモババで充電させておいても戦える。
結局交換したのは1本を1回のみ、ときどきHiモードに切り替えたほうだけだった。
www.gentos.jp
1本9,000円と、キャットアイのVolt800neoの半額で倍の時間使えるので手放せない。

テールライトはいつものTIGHTとOMNI5の2灯。

(この組み合わせの人は日本人以外でも結構いた)
テールライトはテキトーに使っていて、真夜中だから2灯光らせるか、とか、昼間は点滅させたりさせなかったりだとか、詳しいことはあんまりよく覚えていない。
たしかブレストで電池を両方とも入れ替えたはず。
このほかにヘッドライトを1本予備に持っていて、これは前も後ろも両方光るので何かが壊れたら予備だと言って切り抜けるつもりだった。

バッグ類

小物入れはトップとフレームの2箇所。

トップチューブには塩熱飴をメインに補給食を入れていた。
あんまり大きいものは入らないけど、そもそも補給食をあまり食べないので(すぐに食べ飽きたので)、アミノバイタルの顆粒やアミノサウルス(ジェル)しか入らないからこれで十分だったりする。
あとはチェーンロックを入れていたかな。

フレームバッグは電化製品入れで、Insta360とAftershokz、それとモバイルバッテリーのほかは、いつも使っている携帯用のトルクレンチを入れていた。
アピデュラのフレームバッグは左側が薄い小物入れになっていて、そこにパスポートを入れておけたのが良かった。
(普段はブルベカード入れにしているんだけど、PBPのは大きすぎて入らなかった)

サドルバッグはトピークのバックローダー10リットル。

奥の方に予備チューブと替えの電池を詰めて、付属の防水バックに雨具や防寒着を入れて押し込み、最後にブルベカードなどが入ったPBPナップザックを詰め込んでいた。
上部にゴムひもがあるので、昼間には反射ベストやレインウェアを脱いで畳んで縛っておけるのも便利。
ドロップバッグもあるのでこのくらい容量があれば間に合った。

サドルバッグ横揺れ防止フレーム

最近導入しているのがこれ。

きのこの山300で誰かが着けているのを見て真似してみたんだけど、サドルバッグの揺れを防止するだけじゃなく、後ろにボトルを追加できるのが便利そうだったので使っている。
PBPではPC間距離が100kmあったり、あまつさえ夜中では開いている店もないのでボトルが2本無いと大変なのだ(2本あっても補給を忘れて大変だったんだけど)。
後ろにあっても右手側は見ないでボトルを抜き差しできるので結構便利。
一本を真水、一本をスポドリにできるので夏場以外でも使っていける。

左右にドリンクホルダーを追加できるので、PBPでは左手側には防寒着を詰めた防水袋を取り付ける予定だったんだけど、袋ごと家に忘れてくるという大失敗があった。
でもまあ、そんなに寒くなかったし、2kgくらい重くなってしまうからやらなくて正解だったかもしれない。

ペダルとシューズ

ペダルは最軽量クラスの片面SPD。

北海道でもフランスでも自転車を降りる回数が極端に少ないからいいんだけど、それでもやっぱりキャッチミスがあると気になるので、いずれはクランクブラザーズに変えようと思っている。
(クリートだけ変えればシマノのSPDシューズで使えたはず)

シューズはSHIMANOのMX1。
bike.shimano.com
軽くて通気性もいいのでこれ一択。
そういや、夜は結構寒かったけど、足が寒いとは思わなかったなあ。
ちなみにシューズに不具合があった時に備えて、普通の靴もCHROMEのSPDスニーカーにしておいた。

でも空港の保安検査場で毎回引っかかるし、「これは、金属探知機に引っかかる靴なの!」と言っても脱がなくていいと言われるし(そして引っかかる)、めんどくさいのでやめといたほうがいいと思うw

にしても、PBPではPC内をめちゃくちゃ歩くことになるし、あえてSPD-SLを選ぶ意味は全くないんじゃないかな。
あーゆーのはスタートしてゴールするまで一度も自転車を下りない人向けの製品だと思うので、40時間台でゴールしたいと思う人以外はSPDで十分だと思った。

サイコン

今年からeTrexに替えてRider750SEを導入。

バッテリーは40時間持つから国内ブルベでは十分だし、PBPでも適当に充電してあげればいいだけなので全然問題なかった。
eTrexはパソコンが無いとデータに触れないので、出先で何かトラブルがあっても対応できないし、ログがいっぱいになっても取り出しようがないのが致命的。
それになによりGPXファイルを家に帰るまでエクスポートできないというのも大問題だ。

Rider750SEはいまどきのサイコンなだけあってスマホとの連携もばっちりで、コースをインポートしたりログをエクスポートしたり自由自在だったので大変に便利。
ログが途中で消えたら嫌なので、公式サイトに掲載されているPCごとに分割されたデータをそのまま使って、到着ごとにナビを終えてログを保存することにした。
都度StravaにアップロードされるからPBP一本のデータにはならないけど特に不便は無いし、その方法でもあとから合体させることもできるので、どちらでもいいんでないかな。

ウェア類

ジャージはAJジャージ(長袖)と、カステリの裏起毛、袖を外せる3シーズン対応のものの3枚。
特に前日受付と初日はAJジャージを着ていた方が、日本人だと分かりやすいのでオススメ。

ショーツはおなじくAJビブショーツと、カステリの防風タイツ&ショーツの3枚のほかに、夜用にレッグウォーマーを持って行った。
神奈川の追い風400も夜は相当冷えたけど、下半身は意外と寒さを感じないので今回もこの装備で十分だった。
ビブだと肩紐があってトイレで大変、という話もあったけど、さすがに気にしすぎな気がするw

インナーはミレーの網シャツ袖なしのほか、モンベルのジオラインを中厚手と薄手の2枚、そのほかにネックウォーマーと腹巻も。
この上からレインウェアと反射ベストを着こんでも夜明け前は死ぬほど寒くてPCで日の出を待つ羽目になったので、ユニクロのウルトラダウンでも持って行けばよかったと思った。

夜でも半そでで走っている外人さんも多かったし、寒さへの耐性は人それぞれなので、ここは自分に合ったものをチョイスするしかない。
自分は筋肉が無くて寒さに弱いので、今後は温感クリームを試してみようと思っている。

総括

そんな感じで、対PBP用決戦兵器というよりは、いつもブルベで使っている装備のご紹介になった。
基本的に200kmでも600kmでもほとんど同じ装備で走るようにしているので、それが1,200kmに伸びただけ、という感じ。
さらに今回はドロップバッグが2回も使えるので、むしろ普段より軽量だった説まであるw
(いつもは着替えも持ち運ぶので)
ハード面は考え方は人それぞれなので自分好みにすればいいと思うけど、振動対策をしっかりやっておくのと、Di2とDHバーは必須級にオススメ。

ただし、一番大事なのはウェアだと思う。
気温ヒトケタの時にどれだけ着込んでいれば走れるかを試しておかないと痛い目にあうだろう。

次回はPBP振り返り編の第二弾として、出走までの準備について振り返っていこうと思います。

【Road to PBP2023】完走後のあれやこれや

初参加のパリブレストパリ1,200kmを無事に完走し、ゴール地点をあとにしてランブイエ駅に戻ると予想通りにサイクリストで大混雑していた。

ホームまで入れないぐらいに並んでいたけれど、疲れてるから次に乗れなくても1時間待つわい、の気持ちで切符を購入。
そしたらすぐ近くに、ものすごく目立つピンク色のロードバイクを押している女性を発見。
これはもしや、サメハルさんでは?
ということは、その隣にいる男性はバルさんか!?


という流れで「もしかして、バルさんでしょうか?」と確認し、無事本人だと分かったのでPBPの資料が大変役に立ったことと、そのおかげで完走できたことのお礼を伝えることができて良かった。
奥さんがいなければスルーしていたぜ……。

バルさん作成の資料はどれも重要なんだけど、特にエクセルのPBP計画シートは手放せないくらい便利だったのでオススメです。
cannonball24.com
切符を買ったりしているうちになんだかんだで駅構内に入ることができて、隣を歩いていた日本人の参加者と話をしていたら、なんと自分と同じラレーCR-Aの色違いモデルに乗っているという偶然が!!!

6,500人参加者がいてラレーCR-Aに乗ってるのなんて(たぶん日本専売モデルだし)絶対この2人だけでしょ。
それがほとんど同じタイミングでゴールして、そして駅で一緒になるなんてなんという確率!!!


しかもその方はTwitterをやっているGuttiさんで、PBP参加者だからアイコンにはお馴染みだったけど、まさかラレーで参加しているとは思いもよらなかった。

そのあとは駅のホームの自販機でジュースが買えずに悶絶したり、電車内で寝落ちしそうになりながら二人で起こしあってラ・ヴェリエール駅で降りるという楽しい時間を過ごすことになった。


ホテルに戻ってドロップバッグを回収し、まずはがっつり風呂に入って88時間分の汚れを落とした。
メルキュールは風呂場にちゃんと浴槽があるのも素敵だ。

それから休む間もなく自転車の分解&梱包タイム。
明日は12時にチェックアウトするので、いまのうちに作業を進めておかないと帰れなくなってしまう。
だけどフレームをバラシて詰めたあたりで気力が尽きたのと腹が減ってきたので、北海道から来ているKuさんに「もし部屋にいるなら夕飯食べましょう」と連絡した。

ところが、部屋に行ってみると同室のはずのKiさんがいない。
聞けばすでにタイムオーバーだけど、時間外完走を目指していまも走り続けていて、ゴール予定は23時ころになるという。
マジか!
72歳にして、どれだけの気力の持ち主なんだろう。
自分だったらDNFしてるかな、いや、日没までに戻ってこれそうだったら頑張るかな。

Kuさんはぎっくり腰もあるし調子が出なかったらしく、ルデアックでDNFし、そのあとは他の参加者と一緒にブレストを楽しく観光して帰ってきたんだそうだ。
PBPのイラストに描かれているブレストの灯台を見たり、フランス観光をエンジョイしていてそれはそれで楽しそうだった。

外に出るのも面倒なので、Uber Eatsで日本食を注文。
しばらくするとホテルの入り口に黒塗りタクシーがやってきて注文した品を届けてくれた(Uberと兼業しているらしい)

焼きそばは完全にタイ風味、米もタイ米っぽい謎和食だけど、アサヒビールが飲めるのはポイント高いw
サーモンとアボカドの巻き寿司は結構ちゃんと美味しかった。

部屋に戻って寝ているといしさんも帰ってきたので、このためにハイパーマーケットで買ってきたビールを開けて2人の完走を称えあった。


久しぶりにちゃんとしたベッドで熟睡して、それでもやっぱり7時には目覚めて速やかに朝食会場へ。

そうそう、こーゆーのが文明人の食べる朝ご飯ですよ。


部屋に戻って残りのパッキング作業を終えて、ベッドでゴロゴロしている間に12時になったのでバスに乗り込む。
ありがとうメルキュール、またフランス領に旅行することがあったら筆頭候補にするよ。

バスでも寝ている間にいつの間にかパリ市街に入り、セーヌ川越しにエッフェル塔を眺めたり、

コンコルド(実物)を見ているうちに到着。

14時ころに到着するも、受付が開くまで2時間以上もあるというので往生した。
とりあえず、荷物を置いてフロアを下ってスタバをキメた。

スタバのアプリは日本以外で使えない模様。

小腹が空いてきたのでPAULというブーランジェリーで〆フランス飯としゃれこむことにした。

PBPの道中で食べたどこのパン屋よりも美味い気がする。
というかこのポール、羽田空港にもあって毎回東京に行くたびにカヌレを買ったりサンドイッチを食べてる店だった。
本店がパリにあるとは、道理でうまいわけだ。

ちなみに地元函館には、札幌パリ函館湯川店というどこにあるんだか分からない名前のパン屋があるんだけど、ここはあんまり美味しくないw

さて、16時になってANAのカウンターが開いたんだけど、当然めちゃくちゃ自転車が多いので大混雑の大混乱だった。
再び「飛行機に全部乗せきれないのでは問題」が勃発したりしていてなかなかカオスw

保安検査場をくぐったあとは、お待ちかねの免税店タイム。

職場や親戚に配るようのバラマキ土産はすでにハイパーマーケットでゲットしているので、自宅用に紅茶を購入。
そのほかにいいものかないか物色していたら、同室だったいしさんを見かけたのでチーズやサラミのおすすめ情報を聞いてどんどん買った。
フランスに入るときに300ユーロ両替して、期間中には10ユーロ7枚くらいしか使わなかった(あとはカード払い)ため、残りの現金は全部お土産へと変換されることになった。

なんだかんだであっという間に登場予定時刻が近づいて、搭乗ゲート付近で座って待っていたらいしさんが、
「ちょっとトイレに行きたいから荷物見ていてください」
と言って、おみやげがたんまり詰まった大袋を置いてダッシュでトイレへと向かった。
序盤からおなかを壊してずっとトイレに行きっぱなしだったというので大変だ。
(自分は生水のせいなんじゃないかとにらんでいる)

まあまだ時間があるし、と思っていたらなかなか帰ってこない。
そのうちに搭乗手続きが開始され、優先搭乗が終わり、エコノミーの登場が始まったのでこれはヤバいと思い、いしさんの荷物を手に持って並んでいたら、ぎりぎりセーフで戻ってきてほっと一安心。
ゲートをくぐってふと、なんだか自分が身軽なことに気が付いた。
いしさんの荷物を持ってたから、自分のトランクを忘れてきた!!!
すぐ近くにあったからANAの職員に伝えて取ってきてもらえたけど、マジで間一髪だった(汗

帰りの便の座席は、非常口前の3列中央にした。

非常口前は墜落時にお手伝いをしなければならない代わりに、目の前に座席が無いので足を延ばしてゆったりと座れるメリットがある。
海外の航空会社などでは英語が喋れない人は断られたりするらしいけど、ANAなのでそれも安心。
トイレに行きやすいし、座っているのに疲れたらさっと立ち上がって体をほぐしたりできるのでとても良かった。

機内食はビーフカレーから。

ぐわー、本物の日本の米じゃ(歓喜

行きの便では使うか迷ったWi-Fiだったけど、帰りはほぼ寝ているだろうから迷わず使わないことにして、引き続きAudibleで読書タイム。
PBPの最中もだいたいずっとAudibleでプロジェクト・ヘイル・メアリーを聴いていた。

上下巻あるので読みごたえがある。
火星の人の作者なんだけど、今回は相方がいる分だいぶ面白くなっている。

走行中に聞いているから当然ものすごく聞き逃しがあるんだけど、それでも面白かったので結果オーライだ。
主にOpenFitを使い、充電が切れたらケースに入れて、その間はOpenmoveを使って、交替しながら使っていた。

iPhoneの方はだいたいずっとモバイルバッテリーにつなぎっぱなし。
あとはサイコンのRider750SEとDi2、Insta360 X3を1回ずつ充電したかな。
20,000mAhのモバイルバッテリーを3本持って行って、それで十分足りたので良かった。

機内食の朝ご飯はシーフードドリア。

フルーツサラダを食べるたびにPBPのことを思い出しそうだ。
(道中で5回くらい食べたと思う)

そんな感じで飛行機はようやく羽田に到着。

さてここからがちょいとしたタイムトライアル。
なぜかというと、函館行きの便が出るまで1時間半しかないのだ。
単純に第1ターミナルまで行くだけなら理論上間に合うんだけど、今回はロードバイクを受け取るというミッションがあるのからヤバい。

自転車は3、4台ずつエレベータで運ばれてくる。
そのたびに「また外れか」と肩を落とし、さながらロードバイクガチャをやっているような気分になった。
ようやく自分のが出てきたら、秒速でキャスターを取り付けて、ダッシュで京急を目指す。
ANAの職員から「バスより早いから」と京急のただ乗りチケットをもらっていたのだ。

ロードバイクとトランクと、おみやげが満載のドロップバッグを担いで構内を駆ける!
ホームからは空港のキャリアも使えないので、マジでキャリアを買っておいてよかった。

第1ターミナルにたどり着いてまず最難関はロードバイクの預け入れ。
大型手荷物のカウンターはいちばん端っこにあるので走るしかない。

ギリギリで間に合って手続きを始めるも、今度は検査員がなかなか来ないうえに、輪行解除するかってぐらいに厳しい中身チェックがあるので往生した(羽田空港あるある)。

それでもなんとか搭乗手続きが始まる前にたどり着くことができて、どっと疲れた。
PBP中だってこんなに焦らなかったぜ。

帰宅後のあれやこれや

無事に帰って荷物を開梱していたら、預け入れていたドロップバッグの方はかなりラフに扱われていたらしく、ハイパーマーケットで買ったゲラントの塩がひと瓶、中で割れて荷物を塩まみれにしていた。
このくらいの被害で済んで良かったけれど、ロードバイクを布輪行袋で運んでいて同じような目にあったら、と思うとぞっとした。

完走後しばらくしたら、道中に撮った写真が出来上がってるから注文しなよ、というメールが。

1枚13.9ユーロ(フィニッシュ時間つき)という超強気なお値段だったけど迷わず注文。
セブンイレブンで印刷して、ブルベカードやメダルと一緒に飾ってみた。

100円ショップの額とスタンドで、ちょうどいい感じにディスプレイできた。
ジャージと一緒に飾っている人もいてなるほどと思ったけど、PBPジャージは普段使いしていきたいw

そんな感じではじめてのPBPは無事に完走して、何事もなく帰宅することができた。
自転車も壊れることなく(多少傷は増えたけど)戻ってきたので良かった。
とはいえ、まだ肋骨がちょっと痛いのでしばらくはロードバイクはお休み中。
次回からはPBPのまとめをお送りする予定で、役に立った装備編、事前の準備編、PBP豆知識編の3部作になろうかと思います。
それでは更新をお楽しみに~

【Road to PBP2023】PC11からGOAL RAMBOUILLET(1,222km)

ペルシェのPCには、いつにもまして芝生ゴロ寝団が多かった印象。

さすがに1,000kmを超えてみんな体力が限界なんだろう。
自分もここで30分ほど仮眠をとって、ナイトライドに備えて昼間の疲れを取った。

日没からしばらくして、21時40分ごろにリスタート。
PCのクローズ時間は22時20分なので、まだまだ余裕はある。

しかし走り出して1時間もたつとまた眠くなってしまう。
昼間だと走行中に眠くなることはほとんどないので、暗くなって目に入ってくる光量が少なくなるせいなのかも。
顔をライトで照らしながら走ればマシになるかもしれない。

野外で夜に寝るにはコツがあって、ひとつは、街灯があるところ。
完全に真っ暗なところだと危ないので、寝てるのが道路から丸わかりなところの方がいい。
それともうひとつは、他のサイクリストも寝ているところ。
だいたい良さそうなポイントにはゴロゴロと何台も自転車が転がっているので、そーゆーところに混ざって寝ることにしていた。

立ションされてるかもしれないのに外で寝るのは嫌だという神経質な人もいるけれど、街灯にピンスポットで照らされてる下でする人もいないし、寝ている人の隣でする人もいなかろう。
それにまあ、そもそも全身汗臭いんだから多少ションベン臭くなってもあまり変化は無いだろう、というのもあるw

要は、気にしすぎな人の話を気にしすぎる必要はないよ、ということ。
だいたいブロガーなんて(自分も含めて)自分のなした決断の正当性を高めるために理論武装しがちなので、話半分どころか1/100くらいにして聞いていた方がいいんだよね、マジで。


天井に天の川が広がる世界一豪華な帝国ホテルで目を覚ますと、今度は腹が減ってきた。
補給食はあるけど食べ飽きているし、私設エイドでもないかしらん、と思いつつ走っていると、なんと街の中に深夜営業のケバブ屋さんが!

混みすぎていてジュースが売り切れだったのは残念だったけど、このジャンキーな風味は疲れ切った体には最高のごちそうだった。

しかし、食べると眠くなるのが人間の生理というもの。
再び1時間ほど走るとまたウトウトとしだして、今日はアニソンメドレーを歌いながら眠気を我慢して走り続けた。
限界を迎えそうなその時、今度は大規模な私設エイドを発見!!!

コーラのカフェインと糖分がたまんねー!!!

ここのz自転車博物館はかなり有名な施設エイドらしくて、中には仮眠所もあってかなりにぎわっていた。
場所に余裕があればここで1時間くらい寝ていたかったなあ。

さらに走り出して、また1時間たつと眠気に我慢できなくなってきた。
自分の場合、からだが限界を迎えると幻覚が見えてくる。
具体的には看板に書いてある文字がフランス語ではなく、日本語に見えてしまうのだ。。
文字が目に入ると一瞬、モザイクが入った漢字のように目に映る。
AIに文字を書かせると意味の分からない漢字風の模様になるじゃないですか、ちょうどあんな感じ。
それからブブブッと揺れて本来のフランス語の字が現れるようになる。
多分脳の処理能力が無くなっていて、普段見慣れている日本語へと雑に判読しているのかもしれない。
2月の追い風400の時は寒すぎて限界を迎えて、道路沿いに立ち並ぶ看板が全てコンビニのものに見えたりした。
こーゆーときは無理せず休憩するに限る。

そんな感じで、勝負の行方は寝るか寝られるかみたいな雰囲気になってきた。

PC12 Mortagne-au-Perche(1,099km)

途中休憩が多すぎて、復路のペルシュにたどり着くまで82kmの道のりを7時間近くもかかってしまった(多分ほとんど寝ている)。
ただしこれだけノロノロ走っていてもアベレージは12.12km/h出ているし、制限時間的にはまだまだ余裕。

残り100kmを10時間で走ればいいうえ、日が昇って眠気とおさらばできれば仮眠時間も減るから大丈夫だろう。
ここでも30分ほど仮眠をとってからリスタート。

しかしまだまだ眠気との戦いは続く。
ペルシュを5時30分に出て、徐々に地平線のあたりが白ずんできた。

もうすぐ夜明けだ、これで勝つる、と油断したその時、

ガクッと姿勢が落ちて気が付いた。
寝てた! 転ぶ? 右に芝生! そっちだ!
寝落ちから覚めてからの一瞬の判断で、道路側ではなく右側の芝生に突っ込んだ。
倒れ込んでから芝の上をザーッと滑って、そのまま溝の中に突っ込んで停まった。
田舎で道路に縁石がなかったのはラッキーだった。

慌てて起き上がって自転車を溝から引っ張り出す。
後ろを追走していたイギリス人っぽいカップルが心配して声をかけてくれた。
大丈夫かというので体を触って確かめてみると、血も出ていないし骨も折れていなさそうだった。
幸い、芝に向かって腹ばいに滑り込むようにして倒れたので大きな負傷はなさそうだったし、自転車もリムブレーキがずれたくらいで特にダメージは無かった。

と、この時は思っていたけれど、帰国してからクシャミをすると胸のあたりが痛くなることに気が付いて、レントゲンを撮ってもらったら案の定肋骨にひびが入っていた。
眠くてダラダラと漕いでいたおかげでそれほど強い衝撃じゃなかったけど、これが本格的なダウンヒルの途中だったらと思うと恐ろしい。

落車のおかげで一気に覚醒して、やがてようやく夜が明けてくれた。
途中にあったTABACで、エスプレッソをドッピオにしてもらい、クロワッサンとともにたいらげる。

やがてマイユボア城が現れて、ドルーの街が近づいてきた。

ここから先は見渡す限りの田園風景の中を、ひたすらまっすぐに走り続ける。

帯広あたりだと四方を山脈に囲まれているのに対して、このあたりは地平線までずっと畑なのでスケールの違いを感じる。

そういえば、どこかの私設エイドで会った日本人の参加者に「フランスの道は十勝地方によく似てますねえ」という話をしたら、その人はPBPに4回連続で出場しているとのことで「だったら北海道で走っていろよ!」と吐き捨てられたので、あまりこーゆーことを言わない方がいいかもしれないw

PC13 DREUX(1,176km)

ドルーの街は平地にあって、かなり都会っぽい印象だった。
住宅街も整っていてオシャレで新しい感じ。
ただ、ここのPCはゴールから一つ手前ということもあって、あんまり力が入っていない印象だったかな。
最終組のクローズまで残り1時間ということで本当に店じまいモードだったため、残っていたフルーツとパリブレストで朝食にした。

泣いても笑っても残りは46km。
最後まで走り切るしか選択肢はない。


スタートしてしばらくすると、T組のバッジを付けたイタリア人が追い越していったので、後ろについていくことにした。
しばらくいいペースだったんだけど例のごとくダウンヒルで追い越してしまうので、再びソロで走る。
その後結構な登りがあってのろのろと這い上がっていると、今度はそのイタリア人が5人くらいのトレインになって追い越していった。
これはちょうどいいと思って自分も追いつくと、しばらく先頭を走っていたイタリア人がジェスチャーで「お前が引け」というので先頭でガチ踏みした。
もう体力を残していても仕方がないし、ガンガンに攻める。

ひとつ街を越えたところで今度はやんちゃな感じの青年が前に出て、でたらめなフォームでガシガシと踏む。
トルクをかけて自転車を左右に振りながらパワー系で走るので、よくそれでここまで走ってこられるものだと感心した。

そのあと再びイタリア人が引く段になって、めちゃくちゃ腹が減っていることに気が付いた。
ポケットを探っても、トップチューブバッグを探っても補給食は売り切れ。
困ったなあと思いながら背中のポケットを探っていたら、さっきのやんちゃな青年が「はらへってんのか?」と言わんばかりに食べかけのスニッカーズを譲ってくれたのでありがたくいただいた。

しかしここまで20kmほど爆走して、完全にハンガーノックを起こしそうだったので途中の街で脱落し、パティスリーに寄ることにした。

糖分を補給して、残り20kmの準備は万全。
最終組だと自分より前の組の人たちによる完全ギリギリトレインがよく追い越していくため、便利に活用できた。

そんな感じで残りの区間も快調に走り切って、無事にランブイエにゴール!!!

タイムは88時間1分。
2時間残しているけれど、最後2つの区間で稼いだだけなのでむしろこれ以上遅くゴールするのは難しいレベルだし、本当にギリギリ隊だった。
PCに滞在しすぎ(19時間もいた)というのと芝生で寝すぎというのがギリギリになった原因ではあるけれど、それらの時間を短くして、代わりにたくさん寝れば解決したかというと何とも言えないところだ。
戦略うんぬんよりも、単純に体力がないから寝ないといけない→ギリギリの体力だったのでギリギリのゴール、というのが真相だろう。


なんといっても往路600㎞を38時間、復路600㎞を50時間だもんね。
特に900kmを越えて1,100kmまでの区間は、眠さも体力も限界を超えていて厳しかった。
これまで600kmまでしか走ったことは無かったんだけど、復路のルデアックまではなんとかなった。
そこから4桁に突入すると大変さが異次元のレベルに入るんだなあ、ということが身にしみて分かった。

だけどよく頑張ったよ、オレ。
痛みに耐えて良く頑張った、感動した。
自分で自分をほめてあげたい。

そんなことを考えながらゴールゲートをくぐると、人が全然いない。
クローズまで残り2時間、PBPというイベント自体がもう終わりそうな時間の上に、いきなり雨が降ってきて観客は帰り支度を始めている有様で、あまりのさみしさにちょっと泣きたくなってしまった。
これならPC11のヴィレンヌ・ラ・ジュエルの方がよっぽど盛り上がっていたわい。

と思っていたら、ゴール受付のあたりにはまだたくさん人が残っていたので安心した。
そういえばスタートの時もそうだったけど、スタート地点から計測ゲートまでの間は、延々となにもない砂の道を走らされるのだった。

自転車を駐輪場に停めて、ブルベカードにハンコをもらってその場でメダルもいただいた。
ブルベカードは回収されず、そのまま返却されるというのが面白い。
紙で集計するのも返すのも大変だから、認定は全部ICチップでやっちゃうのかもね。

その後はミールチケットをもらって昼食タイム。

結構いいもの食べたような気がするけれど、メダルが邪魔で全然見えないw
例の「ラストビール」も当然いただいて〆。
このあとは知ってる顔でも探してみようと思ったんだけど、そもそも自分より早い組の人は午後1時になればとっくにゴールして帰っている頃合いだし、雨も降ってきたしホテルに戻って帰国の準備をしなきゃだし、早々にゴール会場を後にした。

という感じで、初挑戦のパリ・ブレスト・パリを無事に完走できました。
1,000kmも走ったことがない人間がいきなり完走できたことの心当たりはいろいろあるけれど、反省や分析はまたの機会にまとめることにして、とりあえず次回は帰国編。
羽田に到着してから乗継便まで、1時間半しかないのに大丈夫か!? はたして無事に函館に戻れるのか、こうご期待!

【Road to PBP2023】PC8からPC11 VILLAINES-LA-JUHELまで(1,017km)

復路のルデアックには結局、クローズ時間の4時10分を過ぎて4時半くらいまで滞在していたんだけど、この時間でもレストランには人が多かったので朝食を断念。
最終組のクローズになったら前の組の人なんてほとんどいないだろうと思っていたんだけど、完全に誤算だった。

よくよく考えてみれば、制限時間がゆるくなってるからPCクローズ時間を気にしないで90時間以内でのゴールを目指す人もいるわけだし、そもそも時間外完走する人も全体の5%くらいいるし、DNFを決め込んで朝までルデアックで過ごそうと考える人もいるだろうという計算が抜けていたのだった。
最終組の罠だ。
往路ではルデアックのひとつ前で休むことに固執してしまったけれど、そうするべきはむしろ復路だったなあ。

レストランが混んで水を買えなかったせいで、ルデアックを過ぎてしばらくしてからボトルが空になってしまった。
まだ夜明け前だし気温が低いからなんとかなるだろうとチビチビ水を飲みながら、渇きを塩熱飴で癒しながら漕ぎ続ける。
乾きに我慢できなくなり、人のバイクからボトルを奪って飲んでやろうか、それともあの牛に混ざって水を飲んでやろうか。

などと考え始めたところでようやくTABACを発見!!!

クロワッサンを一口で食べきってコーラで流し込み、二本のボトルに水も補給してようやく人として大丈夫なくらいに気持ちが回復した。
足下を掘れ、そこに泉あり、とはよく言ったものだ。

続いて私設エイドがあったのでチョコパンと温かいスープで癒される。

もうこのぐらいの限界態勢になると、飲み残しのカップがどれだけ放置されていようとも、ハエがぶんぶん飛んでいようとも、缶ジュースを冷やしているタライの水がどれほど汚かろうとも全然気にならなくなる。

パンにむさぼりついていると二人の日本人が隣に並んで、
「うわっ、汚い」
とかなんとか言っているので、
「補給させてもらえるだけありがたいですよ」
と余計なことを言ったら
「まあ、カンボジアの時よりましかな」
みたいな謎のマウントを取って来たのは面白かったw

WP5 Quédillac(8/23 08:17 842km)

ケデヤックは往路でいい思い出が無いので、秒でスルー。

速やかにタンテニアックを目指した。

出発した頃から日が出てきて徐々に走りやすくなってきた。

夜明けからお昼までが一番走りやすい時間で、もうひとつは日没から丑三つ時まで。
夜明け前の時間帯は寒すぎるので眠くなっても野外で寝にくいため、その時間はなるべくPC内でやり過ごす必要があった。
逆に昼から日没の時間帯は、暑さでバテるけれども寝落ちするようなことは無いので、疲労を覚悟で走らざるを得ない。
PBPの1日の流れは大体そんな感じだった。

PC9 TINTENIAC(8/23 09:23 867km)


涼しくて走りやすい時間帯だったおかげでタンテニアックに着くころにはだいぶおなかが空いており、途中で飲んだスープのおかげもあって胃の動きも活発になっていたのでガッツリ系で攻めてみた。

タルタルステーキにご飯、ジャガイモに、バナナが売り切れだったのでオレンジと、いつもの野菜スープ。
もちろんコーラは欠かせない。

タルタルステーキは中が赤いのが気になったけど、目をつぶってえいやっと食べた(大丈夫だった)。
本物のフランス料理のタルタルステーキは全部生だし、これはいわば”焼き”タルタルステーキなのでまあ安心、かもしれない(日本だったら絶対食べないが)。

ここまで平均18.55km/hで来ることができたおかげで、ルデアックを出たときには30分の借金があったものを、タンテニアックを出る時までに30分の貯金にまで取り戻すことができて調子が良かった。
一見ぎりぎりだけど、復路の制限時間は12km/hで計算されているから、前に進みさえすれば完走が約束されている。

リスタートしてからしばらくして、ショッピングモール的なところを見つけたので、そこのパン屋で補給を試みた。

いろとりどりのケーキが並んでいて美味しそう、なんだけど、選んだのはフルーツサラダ。

フルーツの缶詰でも食っておけよ感はある。

たしかここでちょうど900kmくらいだったので残りはたったの300km。
しかも残り時間まであと27時間もあったのでだいぶ余裕な感じだった。
普段なら300kmなんて15時間あれば走っちゃうし、90時間どころか80時間でも楽勝だったんじゃないの? ぐらいの気分である。

しかし気温がどんどん上がるので、木陰に入ってサンドイッチを食べながら一休みしたり、

フジェールの街に入ると城やら城塞都市が見事すぎて見とれているうちにどんどん時間は過ぎていくのだった。


というか、普通に考えて900km走ってきた体が「普段と同じ」わけがない。
結果的に残り300kmを25時間かけて走ることになるのだから、人生とは分からないものだ。

PC10 FOUGERES(9/23 14:24 928km)

フジェールのレストランは往路で美味しかったイメージがあるので期待していたんだけど、ここも最終組の呪いが続いていて激混み。
こーゆーときは秒速で諦めて、すぐ近くにあるバーキンに向かった。

BBQバーガーなる謎のものを食べたけど、肉は焼きすぎ感があってイマイチ。
やっぱ普通のワッパーがいいね。

もぐもぐと食べながらTwitterを見ていたら、デジタルクリエイターのる〜さんが応援イラストをあげてくださっている!!!

twitter.com
超絶うれしい~。
iPhoneの壁紙サイズにリサイズしてもらったので、これを見ながらテンション上げていくことにした。

ついでにリプライを見ていたらだいぶゲンナリする内容のものもあったので(今更そんなん言われてもしゃーないやろ、的な)、やはりブルベ中のTwitterは基本的に一方通行、投稿だけしておくに限る(が、応援イラストは本当に嬉しかったので難しい)と心に決めた。
鍛えろ、スルー力。

バーキンを出てリスタートするも、この午後3時くらいの時間帯がとにかく暑くてペースが上がらない。
3日目はカステリの袖を外せるジャージを着てきたので、完全冬装備な昨日よりもだいぶ過ごしやすかった。
だけど袖がないということは日に焼けるということでもあり、そこの塩梅は難しい。

過ごしやすいとはいえすぐにバテてしまうので、私設エイドを見るや否や足を止めることになる。

ここでは水にかき氷のシロップを混ぜたようなものを「ジュース」といって提供してくれたんだけど、いやー、これがマジでありがたかった。
当然常温だし、味も薄いし、日本だったら絶対飲まないよ。
でも1,000km近く走って限界まで疲れた体にはマジでありがたい。
水に味がついている! それだけで嬉しい。
こーゆーのでいいんだよ!!!

逆に、スポドリにしちゃった水は、味に飽きてしまって全然飲み切れなかった。
塩熱飴が良かったのは味が豊富だし食べてみるまで何味かわからないというギャンブル性があるうえ、舐めながら水を飲むとジュースっぽく感じるところだったかもしれない。

飽きる問題は飲み物だけじゃなく補給食もそうで、大量に持って行ったにもかかわらず後半戦はほとんど手を付けられなかった。
パッケージをあける前から味が想像できてしまうと結構辛い。
最大でも2個ずつくらいにして、バリエーションを豊富に持って行けばよかったなあ。
トカプチ400でもらったグラノーラは美味しかったし、ナッツバー系が必要だったかも。
あと、昼間は塩分が足らなくなるので煎餅とかオカキが食べたくなった。
米菓子は㌍高そうだし、意外といいかもしれない。
ベビースターラーメンとかもいいかもね。

みたいなことを考えているうちにPC11 ヴィレンヌ・ラ・ジュエルに到着。

PC11 VILLAINES-LA-JUHEL(8/23 20:38 1,017km)

なんかものすごく盛り上がっていて、本当にここがゴールみたいな雰囲気で感動した。
(むしろゴール地点より盛り上がってた説ある)
www.youtube.com
ついに1,000km越えを達成して大台に乗った。
残りは200kmなので、もはやゆるポタディスタンスと言ってもいい距離。
ここまで「復路の600kmは観光モード」「残り400㎞になれば必勝」と強がりを言いながら耐えてきたけども、実際のところ、ここでようやく完走が現実味を帯びてきたというのが本音だった。

身体のダメージも痛みもないし、めちゃくちゃ疲れたということもない。
問題はエネルギー残量がスカスカだからすぐに眠くなってしまうことだけど、残り200㎞に対して18時間以上余裕があるから、どれだけ仮眠をとっても間に合うだろう。

あとはとにかく大きな事故にさえ気を付けて、慎重に走りさえすれば完走は確実……!
そう思った時にこそ、事故はやってくるのだった。
次回、恐怖! ダウンヒルで居眠り運転!? の巻。こうご期待!

【Road to PBP2023】PC6からPC8 LOUDEACTまで(782km)

1,200kmという長丁場のPBPもついに折り返しのブレストに到着して、あとはスタート地点まで戻るだけとなった。
こうなると俄然完走が現実味を帯びてくる。
特に制限時間90時間のところ、前半600kmを38時間で走破できたのは大きい。
これまでの完走者のデータを見るに、往路を40時間以内に走り切ることができれば時間内完走の確率がグンと上がるのだそうだ。
それに何より、残り600kmを52時間で走ってしまえばいいというのは心理的に余裕がある。

そんなわけでPBPにおける最重要PCであるブレストに辿り着いたんだけど、裏を返せばブレストは「人が一回しか通らない」ということでもあり、さらには最終組のクローズまであと2時間ということもあってレストランの在庫も乏しかった。
さらには賑やかしにブラスバンドの演奏なんかもあって、芝生で寝ることも許されないという有様だったので、足早に立ち去ることになった。

ブレストの街はランブイエと同じかそれ以上に都会で、ファーストフード店もスーパーもあるし、リフレッシュするにはいい感じだった。
だけどコース沿いにスーパーがあったのはPCに入る前までだったため、リスタート後しばらくしてからあったTABACに立ち寄った。

TABACはいわゆるタバコ屋さんで、ちょっとした規模の街にあるコンビニ的なお店屋さん。
(村レベルではなかなか無い)
主に夜走っていた往路では全然見かけなかったけど、復路では大変お世話になった。

TABAC(タバ)の何が素晴らしいって、ジュースがガチンコで冷えているところ。
相変わらず飲み物のラインナップはコーラとオランジーナくらいしかないけれど、ちゃんと冷蔵庫に入っている飲み物が買えるというのは、何事にも代えがたい喜びがあった。
PCでは気温より冷たい飲み物が飲めるかどうかは完全に運任せなのだ(泣

そしてこの日も昼を過ぎてからどんどんと気温が上がっていった。
夜の寒さに対応するため、裏起毛の冬用ジャージなんか着てきてしまったのでなおのこと辛い。

いや、夜はいいよ、結構寒いし。
しかし昼間の暑さはちょっと異常なくらいだったので、ブレストの街を出て田舎になってからは、上のジャージを脱いでしまってミレーの網インナーの上にPBPの反射ジャケットという恥ずかしいスタイルで走ることになった。
でもまあ素肌の上に反射タスキな人も見かけたので、それよりはだいぶマシな格好ではある。

そうはいっても、天気がいいというのは何より素晴らしい。

(この時点ではまだ元気)
ついに大西洋に辿り着いたぜ〜!!!
どうせだったら海の水をボトルに入れて持って帰ってくれば良かった。

名物のプルガステル橋の眺めも良かったし、

タイム的にも余裕が出てきたので村ごとの教会コレクションを撮影する余裕も出てきた。




峠道にさしかかると山側がちょうどよい日陰になっており、たくさんのサイクリストがごろ寝を決めていたので真似してみたり、

ブーランジェリーを見かけては背中に指すためのサンドイッチを買ってみたり。

ここではゴールドのロードバイクにゴールドのシューズでバシっと決めた日本人の参加者がいて、話を聞いたら「チェーンもゴールドだったんだけどオイルで汚れちゃって」とのことで痺れた。

シークレットPC PLEYBEN

そんな感じで楽しんでいたら、2つめのシークレットPCであるプレバンに到着。

気温も高い時分だったので、シークレットな飲み物を補給して仮眠。

PC7 CARHAIX-PLOUGUER(8/22 19:02 697km)

シークレットからカレまではすぐ近くなので、のんびりのんのんと進むだけ。

到着したのは19時2分。
予定よりも1時間ほど遅れ気味だけど、貯金自体はたんまりあるのであまり気にしない。
暑さに胃をやられ気味なので、温かいスープとパリブレストで夕食とする。

ここでも芝生で寝っ転がって、小一時間ほど休憩を取った。
とにかく今回のPBPは暑さのダメージが大きく、速度も出ないし休まないと走っていられないしで大変だった。
夜中は眠さと寒さという敵はいるけれど走るには最適な時間帯なので、本来夜に寝ようと思っていた貯金を切り崩して、昼間に仮眠をとりながらじわじわ進むしかないのだった。

カレを出てからは日が沈んで気温もだんだん下がっていき、走りやすくなってきた。

だけど、途中にあるWPのグアレックは全然記憶にない。
記録では40分くらい滞在したことになっているけれど、ご飯の写真がないから特に何か食べたわけではないはず。

途中で半分公設みたいな私設エイドがあって、そこでコーヒーを飲んだことは覚えているんだけど。

この時点で走り始めてから50時間ほどたち、眠さがだんだんと極まってきた。
特に集団の中にいるとテールライトの明かりに幻惑されて頭がくらくらとしてくる。
平気でライトを点滅させている参加者もいるし、注意しても無視されるし、だいぶテキトーなんだよなあ。
まあ、日本のブルベでも規則で決まってても点滅させる人間はおるから仕方ない。

そんな感じで眠い目をこすりながらぼんやりと走っていると、後ろから
「もしかしてPikaさんですか?」
と話しかけられた。
聞けばその方はMotoさんといい、Twitterで参加者をチェックしていたので自分に気が付いたのだという。
x.com
眠い時に日本人から話しかけてもらえるとめちゃくちゃ助かる。
国内で走るときはサドルバッグにジンギスカンのジンくんをつけているんだけど、今回は荷物になるからと外してきたのは失敗だったなあ。

実は日の丸の手ぬぐいを持ってきてたんだけど、どこにも付けることができなかったのでキャップ代わりに頭に巻いていたという。
(ヘルメットを外さないと見られないので意味がない)

MOTOさんから、心拍数を上げるためにルデアックまで一生懸命走ろうという提案があったので一も二もなく同意して、ふたりで鬼のように爆走した。
知らない外国人とトレインを組むのはリスキーだけど、こうやって息が合う人と一緒に走るとものすごく楽だ。

走り方も似ていて、下りでフル加速してからその勢いで次の登りを登り切っちゃうパターンが共通しているので本当に走りやすかった。

真・PBPの走り方

2019年に参加した人がPBPの走り方を紹介していたのが印象に残っていて、URLは忘れたのでうろ覚えではあるんだけど、登りでは一定のパワーで踏んで、頂上についても足を休めず、スピードが出てから休む、という内容だったと思う。
だけど今回実際に走ってみて、それだとちょっと甘いんじゃないかな、と感じた。
というかやはり自分のようなクロモリ乗りは、他の人と違う走り方になるようだ。

自分の走り方はこうだ。
まず、上りの頂点を越えたらギアをどんどん上げて、DHバーを握って空気抵抗を減らし、下りながらフル加速する。
クランクがセミコンパクトでスプロケットもトップで11Tだから、フル加速しても50km/hいかない程度で足が全速力で回っている感じになる。
そのまま登りに入っても同じ速さで回転を続け、ちょっとでも足に重みを感じたらすぐにギアを下げる。
2✖️12速全部使ってケイデンスを維持したまま走り続けて、速度をほとんど殺さずに登りを越す、という感じ。
ここらへんは、無限にアップダウンが続くけれど斜度が緩やかなPBPならではのテクニックだと思う。
北海道ならまだしも、本州では危なかしくって使えない。

こんな感じでだいたいの坂はアウターのまま越えられるので、感覚的にはPBPのほとんどが平坦コースだと感じていた。
インナーローまで下げても越えられないときは素直に死んでしまうので、頑張った記憶がほとんどないだけともいうw

アップダウンの度にほぼ全部のギアを使うことになるので、Di2が無ければ手首がボロボロになっていたと思う。
下りで快速なのもDHバーのおかげだし、まさに三種の神器だった。

例の走り方では下りで休むことになるけれど、せっかくスピードが乗っているのに殺してしまうのはもったいない。
日本でもフランスでもトレインを組んでいて困るのは、せっかくの加速度を登りで全部殺してしまってから「よっこいせ」とペダルを回し始める人が多すぎること。
加速度を活かして、下りでケイデンスを上げてその勢いで次の上りを楽に越えるというのがPBPにおける必勝パターンだった。

MOTOさんは結構自分と似たような走りで、下りでも登りでも前の人を全員ごぼう抜きする(そしてスピードが死んでからは頑張らない)タイプだったのでめちゃくちゃ捗った。

PC8 LOUDEAC(8/23 02:34 782km)

というわけで、二人で爆走して眠気を吹き飛ばし、快調快速にルデアックに到着。

すでに仮眠を取ってきているから先を急ぐというMOTOさんと別れて、ドロップバッグをゲットしてから今回はじめて仮眠所を使ってみた。
寝る前にまず受付に行って、2時間後の午前4時に起こしてもらうよう伝えておく。
ベッドを確保してからゆっくりと、例の刑務所みたいなシャワーを浴びてさっぱりするのがセオリー(と、往路でJ1クリームの人に教えてもらった)。

寝るところはコットだったので、寝るから床の冷たさも伝わってこないし、毛布も厚くて非常に快適。
まわりは人でいっぱいで、イビキもうるさいしざわざわと物音がしたり、目覚ましのアラームが鳴ったりしていて結構うるさい。
耳栓をホテルに忘れてきたのでヤバいかなと思ったんだけど、目を閉じた瞬間、まさに一瞬のうちに熟睡していた。

受付の人に起こしてもらったのは4時20分で、約束の時間からだいぶタイムラグがあった。
念のため4時30分にアラームをかけておいたから良かったけど、時間には余裕をもって頼んでおいた方がいいみたいだ。

そんな感じで、久しぶりに食堂の机でも、芝生でもないところで寝られたのでだいぶ体力が回復した。
と言いたいところだけど、実際はこの後も何度も寝た。
単純に睡眠時間が足りていないだけなのか、こまごまと外で寝るより仮眠所でまとめて寝た方が有利なのかは分からない。
暑さでバテていたのもあるし、ここまで800km走って体の中のエネルギーがスカスカだったせいもあるし、何が原因か突き止めるのは難しい。

こーゆーことがあるから、PBPを走る前に国内で1,000km超のブルベに参加しておけ、ということなんだろうな。
限界を超えたときにどんな寝方をするのが自分に合っているのか検証するとしたら、その方法しかない。

だけど国内だったら多分ガッツリと宿を取って寝るだろうし、コンビニでご飯食べて快適に過ごしちゃうだろうし、距離だけ条件を揃えてもPBPリハーサルになるかどうかは分からないよなあ。
結局のところ、予想外のことが起きても動じずに臨機応変で対応したり、道端で平気で寝られるような「ド根性」があれば完走できてしまう、という結論でFAなのかもしれないw


というわけで走行距離は800kmを超えて、次回は体力の限界をも超えた1,000km地点までの模様をお送りします。
眠さの限界を超えたとき、人は幻覚を見るという!!!

【Road to PBP2023】WP2からPC6 BRESTまで(604km)

レストランが外れだったり駐輪場で自転車を倒されたりした外れWPであるケディアックから、次のPCであるルデアックまではたったの25kmほどしかないので、スルーして頑張って走った方が良かったかもしれない。
今回唯一後悔するポイントはここくらいかな。
混んでそうなルデアックのひとつ前で休むことにこだわり過ぎてしまった。

PC4 LOUDEAC(8/21 21:57 435km)

ルデアックに着くころには、日が落ちてすっかり夜になっていた。
1,200kmの行程を3分割して、だいたい400km、800km地点にあるルデアックはドロップバッグ置き場にもなっており、PBPにおける最大の山場だ。
ここで着替えたり大休憩を取ったりするのが参加者のセオリーになっているため、全PCのうちで一番混んでいた。

そして自転車の台数が多すぎて、自分のを探せなくて迷ってしまったというね。
こんなときのためにAirTagを仕込んでいたんだけど、大まかな位置しか探せないのでだいぶ無力だった。
少なくともルデアックでは、自分の自転車の位置をおぼえておくために写真を撮っておいた方がいいと思った。

スタンプをもらって、まずはドロップバッグを受け取りに行く。
駐輪場のスペースから屋外の階段を下って、ワンフロア下がったところにある建物の中がドロップバッグ置き場になっていた。
事前のイメージでは半屋外のガレージみたいなところだと思っていたので、思いのほかきちんとしていたのでだいぶ迷ってしまった。

この日受け取るものは事前にジップロックに小分けしてあるので作業はスムーズ。
ただ、補給食はあまり食べなかったので減った分だけ追加することに。
最終組だったこともあってレストランもそれほど混んでおらず、座って食べられたのが大きかったかな。
水で戻せるおにぎりは、作るのが面倒くさくて結局ホテルでしか食べなかったし。
良く食べたのはクルミ餅ともち麦スティック、塩熱飴くらいかな。

あと、ビタミン類は不足しがちなので、アミノバイタルの顆粒とアミノサウルスはもっと持って行けば良かった。
(COMPのグミを忘れてきたのは痛恨だった)

それから着替えをもってシャワーへ向かったんだけど、ここの施設はなかなかのハードモード。
更衣室の床は無垢の木がベコベコしていてゴミでざらついているし、男子更衣室の奥に女性用シャワールームがあるので、全裸になった横をランドヌーズがぞろぞろ通り過ぎていくというカオスっぷり。

シャワールームは仕切りなんぞ一切ないだだっぴろい空間で、当然ここの床もゴミだらけ、壁際にあるボタンを押すと天井にあるシャワーヘッドからなまぬるいお湯がじゃばじゃばと落ちてくるという有様で、日本の男子刑務所だってなんぼかマシだぞ、という感じ。
いちおうシャンプーはあって、床に転がっているのを自由に使うシステムだった。
受付で貸してくれるシーツみたいなどでかい布は全然水を吸わないし、これに関しては日本から持って行った冷えるタオルがあったので助かった。

ルデアック近辺で宿をとる人が多いと聞いていたけど、さもありなん感が大きい。
こーゆーところを平気で使えるド根性が、PBPには必要なのだった。


ここでは日本人参加者と一緒だったのでいろいろ雑談をしていたんだけど、ジャージと尻にプロテクトJ1を塗りこんでいると、
「それ、塗って5分くらい全裸で待機してないと塗膜できなくないですか?」
と謎の質問をされた。
いや、5分待てば被膜ができると書いてあるけど、それまで待つ必要はないのでは……と思ったけれどそこは軽く聞き流しておいた。

プロテクトJ1 クリーム

プロテクトJ1 クリーム

  • Earth Blue(アースブルー)
Amazon
ちなみに尻の皮は1,000kmを超えたあたりで限界を迎えて、尻を傾けながら漕いでいたというのは秘密w
保護効果が8時間しか持たないので、まじめにやるなら道中で10回くらい(それこそPCごとに)塗らないとダメっぽい。

シャワーは大変だったけど、とりあえず着替えてさっぱりできたのでそのまま食堂へ向かった。
この時間、先のグループの人たちはだいたい仮眠をしているので、駐輪してある自転車の台数のわりに食堂は全然混みあっておらず快適だった。

魚のクリーム煮とご飯の相性がバッチリ。
食べ終わった後は、そのままテーブルに突っ伏して仮眠をとった。

当初の予定ではここで5時間ほど滞在して仮眠所でゆっくり寝るつもりだったんだけど、とにかく昼間は暑さが厳しくて全然走れないので、仮眠を短くして夜のうちに距離を稼いでしまう作戦に切り替えた。


そういうわけで22日の0時過ぎにリスタートしたんだけど、とにかく眠い。
この時間になるとそこそこ寒いし、暗いし人も少ないので、走るペースも緩慢になる。

しかもルデアックを出てから登りが厳しくなったのもつらかった。
長い長い上り坂では全然頑張らない(頑張れない)ので、心拍数も下がってマイクロスリープが頻発することになる。

思わずガクッとなって左に大きく傾いたとき、後ろから
「大丈夫ですか?」
と、女性の声がした。
その瞬間、目がバッチリと醒めて
「ああごめんなさい、つい眠くなっちゃって」
と答えた。
相手が女の人というのもあるし(重要)、脳が会話モードに切り替わって活性化しているのを感じた。

人と話していると眠くなくなるという効果もあるのだなあ。
でも、グループで走っていて、一人が眠くなってみんなで待機したという話も聞いたので、たまに話すから効果が大きいのかもしれないよなあ。

その人とは、そろそろシークレットPCがありそう、とか、WPのサンニコラなんじゃないか、とか、Twitterで見たらその手前に別にあるようだ、みたいな話をしていた覚えがある。
そういうことを話していたらだいぶ気力が戻ってきたので本当に助かった。


大きな上り坂を越えたところには臨時カフェが開店していて、さながらサイクリストホイホイのようだった。

ここでコーヒー分を補給するとともに、ちょっとだけ仮眠。
元気が湧いてきたので、ここから先の山道では大声で歌いながらヒルクライムをしていた。
中島みゆきとか槇原敬之とか、頭にしみついていて考えなくても歌詞が思い出せるような懐メロを延々と歌い続ける。
どーせ周りは外人ばかりだし、聞こえたって影響あるまい。
(日本国内でも結構歌っているけれど)
実際問題、夜中は外国の人も結構歌っていたしね。

シークレットPC(Canihuel)

そんな感じで適当に走っていると、カヌエルという街にあるシークレットPCに到着。
コース通りに走っていくと必ず通過するように作られていたので、今回は誤って通り過ぎる人もいなくなったんじゃないかな。

本当にこじんまりとした施設だったので、チェックだけしてもらって先を急いだ。

WP3 Saint-Nicolas-du-Pélem(8/22 03:21 482km)

サンニコラがシークレットPCなんじゃないかと言われてたんだけど(シークレットに到着したとき「サンニコラだ!」という叫び声が聞こえた)、スタンプにはカニュエルと書いてあったし、果たして7kmほど進むとサンニコラに到着。

サンニコラから次のPCであるカレ=プレゲールまでは32kmしかないので、ここも華麗にスルー。

PC5 CARHAIX-PLOUGUER(8/22 05:23 514km)

というわけでカレ=プレゲールに到着。
(港町のカレーではなく、ブルターニュ地方のカレ)

前半戦、ランブイエからルデアックまではほとんど平坦基調で楽勝モードだったんだけど、ルデアックからカレまでの区間は激しい登りが多くて往生した。
PBPは平坦ステージだといったな、あれは嘘だ。
79kmで840mの登りがあって、平均速度は15km/h台にまで落ち込んでいた。

足に疲れがたまってきていたので、ここでは糖分主体の補給。

謎野菜スープはPBPにおける定番中の定番になった。
ほんと、これがなければ完走できてなかったと思う。
どんなに胃が疲れていても飲めるし、暖かいものを入れると胃が動き出して、次のPCに到着する頃には普通の食事が食べられるようになった。
レストランに頼る戦略じゃなければ相当厳しかったなあ、と今でも思う。

ほかにリンゴの甘いパンと、名物のパリブレストもいただいた(正直、ビアードパパの方が美味い)。
さらにニンジンサラダとヨーグルトで栄養バランスもいい。

座って食べるとタイムロスになるからと忌避する考え方もあるけれど、座っていれば疲れもとれるし、補給食よりは栄養のバランスもいいし美味しいし、いざとなればそのまま席で寝られるし、レストラン補給戦略は自分にとってベストだった。


カレでも日の出まで仮眠をとって、貯金を順調に食いつぶしてからリスタート。

朝はブーランジェリーが開いているので補給食をゲットするに限る。

クロワッサンとコーヒーはその場で食べて、他にトルティーヤのサラダを注文してジャージのポケットに差し、走りながら食べた。

PC7 BREST(8/22 11:12 604km)

そんな感じでいよいよ折り返し地点のブレストに到着。

これで全行程の半分を終えたことになる。
到着したのは22日の午前11時12分なので、だいたい38時間かな。
ウナギ600のときより早く走れている(あの時は仮眠で寝過ごしたけど)ので、思った以上に良いペースだ。

ここまでたどり着ければほぼ勝ち確で、というのも復路は制限時間が断然にゆるくなるのだ。
前半の600kmは制限時間が40時間で、通常の600kmブルベと同じペースなので結構マジで走らないとならない。
だけど後半は同じ600kmで50時間のペースになるので、かなり余裕が出てくる。
いきなり10時間もらえるわけじゃないけれど、前に進んでさえいればチェックポイントに着くたびにどんどん貯金が増えていくので、休みもとりやすい。
観光もやりやすいし、街で食事もとり放題と、後半戦からがいよいよPBPの楽しみが始まるといっても過言ではない。
と、思っていたのだ。
この時までは。


そんな感じで往路の600kmを終了。
とりあえずここまでは、大変ではあるけれど予想の範囲内という印象。
前半500㎞が平坦で、最後100kmでヒルクライムを残しているところがブルベらしくていやらしいコースではあるけれど、北海道のブルベの方が難易度は高いと思う。
むしろ本州民だったら、信号峠もないしリアル峠もなくて楽勝すぎるんじゃないのかな、と思ってしまうレベル。

問題は寒暖差で、昼間は暑さでバテるし、夜は寒くて眠くなるし、その対応が大変だった。
8月は家に引きこもってばかりで全然運動しなかったけれど、しっかり暑熱順化してくるべきだったなあ。

というわけで次回は、再び訪れる復路のルデアック。
暑さ、寒さに加えて現れた第3の敵、その名も眠気!
外人さんのイビキが響き渡るルデアックの仮眠所で、無事に眠ることができるのか、こうご期待!