PikaCycling

Raleigh CRAとDAHON routeを買ったばかりのサイクリング初心者。ポタポタとポタリングを楽しもうと思っています。

輪行で奥津軽を一周してきた 〜後編〜

新幹線輪行ではじめて降り立った奥津軽いまべつ駅
前回たどり着いた竜飛崎までは超余裕だったんだけど、本州ライドの罠はこの先に待ち構えていたのだった……!
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竜泊ライン

竜飛崎にはいろいろと観光スポットもあるのだけど、ボトルの残量には余裕があったし、足早に竜泊ラインを目指すことにした。

寄ったのは津軽海峡冬景色の記念碑くらいかな?
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記念碑に設置されているスイッチを押すと津軽海峡・冬景色が流れるのだけど、記念碑の向かいで移動販売しているおばさんもそれに合わせて歌い出すのはちょっと怖い。


竜泊ラインは本日最大の山場だけど、標高480mなんて丘みたいなもんだよね〜。
と、舐めていたのが運の尽き。
本州の暑さを全く計算に入れていなかった。

この日は運良くというか運悪く超がつくほどのド快晴。
夏の日差しは北海道のそれよりも垂直に近い角度から襲ってくる。
黒を基調としたウェアがどんどん熱を吸って、燃え上がるかのように暑くなる。
体に水をかけて冷やしたせいでボトルが空になり、危うく乾きで死ぬところだった。
完全に罠にはめられたぜ……。

峠を越える時は予備水を一本入れとかないと危ないね。

坂というより暑さで体力を奪われて、途中で休憩をはさんだり、押したりしながら1時間かけて登りきった。
道民にとって本州の暑さは命取りになりかねないと知った。
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しかし、登りきった後の眺めは最高っ……!
これがあるからヒルクライムはやめられない。

そして登りがキツかった分、下りは超絶楽しかった。
脳内麻薬が一気に放出されて、
「めっっっっちゃ楽しい!」
と叫びながら下った。

そんなときに限ってカーブを曲がった先にローディがいたりするのでかなり気まずい。
向こうから上がってくる人も軒並み自転車を押して登っていたので、本土民にとってもこの日の気温はヤバかったのだと思う。

小泊

道の駅こどまりには「ポントマリ」という愛称がついていて、アイヌ語だ! とちょっと興奮した。
www.town.nakadomari.lg.jp
「ポン=小さい」は北海道の地名でもままあるので(ポン木直とか)、青森のここらへんもアイヌの勢力下だったんだなあ、と感じ入った。

普通は道の駅には寄らないのだけど(コンビニのほうが便利なので)、竜泊ラインで消耗しきっていたので足を休めるチャンスとばかりに立ち寄ってみた。
店内はギンギンにエアコンが効いていて最高に涼しい!!!
冷風口の前の売り場をウロウロするなどして体を冷やした。

エアコン代として自販機でアクエリアススパークリングなる謎のドリンク(北海道では売ってない)を購入し、一気飲みして一息ついた。
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(これは帰りの駅での写真)
アクエリアススパークリングが気に入りすぎて、この旅で3本か4本は飲んだ。

エアコンとアクエリアススパークリングのおかげでだいぶ生き返ったので、本来の目的地であるファミリーマート小泊店まで進んで、定番の氷と水とゼリーを購入。
暑すぎて固形のものはほとんど補給できず、ゼリー頼りの旅になった。
ゼリーとアクエリアススパークリングがなければ生きて帰れなかったね。

十三湖

小泊から十三湖までもわずか20kmほどなんだけど、なぜかまたまた向かい風。
今別から竜飛崎まで北上したときも向かい風。
そして竜飛崎から十三湖まで南下するときも向かい風。
なぜなのか。

坂は山の上まで登れば終わるものだけど、風はその日一日ずっと向かい風という日もまれによくあるから困る。


十三湖に到着すると、屋台がたくさん並んでいるのを見つけた。
冷やかしのつもりで通り過ぎると、ちょっと近寄っただけでものすごい客引き攻勢が。
こういうのも今どき珍しい気がする(昭和テイスト)。

せっかくだから「しじみアイス」なる謎スイーツを食べることにした。
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うーん、味は普通。
しじみが入っているかどうかもよくわからない。
どうせだったらもっとしじみしじみしてたり、いっそ乾燥しじみを上から振りかけるくらいでいいんじゃないかな。
恵山の昆布アイスもあまり昆布昆布していないので、アイスという常識の枠にとらわれてしまうとこのあたりが限界なのかもしれない。


アイスを食べながら予定を見直していたら計画の1時間遅れであることが分かった。
竜泊ラインで苦しめられたのと向かい風のせいで全くペースが上がっていない。
その危機的状況を脱するために目論んだのがショートカット。
当初の予定では十三湖の南側をぐるっと回ろうと思っていたのを、

一直線に湖の北側を突っ切るコースにした。

20kmを10kmに縮めてショートカットだぜ!
と思ったのが運の尽き。
実は十三湖の北側は全然湖畔ではなく、めちゃくちゃ山の中を通るコースだったのだ。
十三湖の道の駅があるんだから湖の近くだと勝手に思っていたけど、実際は
「道の駅 十三湖高原
だったという罠!!!

平地の20kmと峠越えの10kmでは、時間は変わらず疲労度は峠越えのほうが上なはず。
所詮は苦し紛れの浅知恵だったか(ぐぬぬ

しじみ亭奈良屋

灼熱の龍泊ラインと向かい風と思わぬヒルクライムに苦しめられ、本日最も楽しみにしていた「しじみ亭奈良屋」にたどり着いたころにはボロ雑巾のようになっていた。
www.shijimi.net
十三湖の名物はしじみで、ここの名物もしじみラーメン。
ただそれだと無難すぎてつまらない。
行程的に夕飯をきちんとした店でとるのが厳しい感じだったのでここで豪華一点勝負とばかりに、しじみづくし1,700円也を注文した。
しじみご飯が炊きあがるまでに20分かかると言われたけれど、むしろ休むには好都合だからと快諾。
その間にiPhoneやらイヤフォーンやらを充電しながら待った。

そうしてやってきたしじみづくしがこちら!!!
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いやー、これは優勝でしょう。
チャウダーしじみ汁もエキスがふんだんに感じられてパーフェクト。
ラーメンスープも合わせたら汁物が3つ被っているんだけど、それぞれに風味が違ってまるで三位一体だし、とにかくミネラルと水分を求めている体にはベストマッチだった。

しじみラーメンだけで終わるのは人生の損失だよね、これは。
ここまで来たら絶対しじみづくしを食べるべき。

一方でしじみ亭奈良屋に隣接するはくちょう亭奈良屋では、メバルの煮付けと刺身定食というのを出すらしいので、今度来る時はそちらにチャレンジしてみようと心に決めた。

しじみパワーで遅れを取り戻す!

しじみエキスパワーのおかげで体力ゲージが75%まで復活したので、やまなみラインは鼻歌交じりのお茶の子さいさいだった。
もしかして、しじみパワーってマジで凄いのか……?

蟹田デイリーヤマザキで水とゼリーを補給して、再び北上して外ヶ浜町にある湯の沢温泉ちゃぽらっとを目指した。
前線が北上して夕方から雨になるとの予報だったので先を急ぐ。
北上してくる前線のおかげでこの日初めての追い風となり、15km/hペースで計算していたのを30km/h近くで駆け抜けたので、一時間近くの遅れを一気に遅れを取り戻した。
おかげで到着予定時刻ジャストでたどり着くことができ、心置きなく温泉を楽しむことができた。

湯の沢温泉ちゃぽらっと

www.aomori-chousonkai.jp

ここは公営で施設がとてもきれいで、サウナ&水風呂完備で大変良かった。
サウナに入る元気はないけれど、高温風呂と水風呂を交互に行ったり来たりしているうちに完全にリフレッシュ。
風呂場に掲げられている外ヶ浜町に伝わる雁風呂伝説も味わい深くてグッド。

ここで新しいジャージに着替えて心機一転。
汗を流すとほんと新しい気持ちになれるからいいね。

Oh!だいば

やまなみロード以降は、急に涼しく快適になった。
津軽半島の東側を走るため、太陽が早い段階で西側の山に隠れてしまうのだ。
気温は同じ30度でも、日が出ているのと出ていないのでは大違いなのだ。

さらやかに走っていると「Oh! だいば」なる道の駅の看板が現れて脱力してしまった。
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道の駅にはそれぞれニックネームを付けることになってるっぽいんだけど、道の駅たいらだてのそれが「Oh!だいば」だった。
近くに平舘台場跡があるから「だいば」なんだろうけれど、もうちょっとなんとかならんものか。
真面目に考える気がないならニックネームをつけるのをやめるとかさ。


今回通りかかった道の駅は全部で5つ。

ひとつめの「道の駅みんまや 龍飛岬」は全然問題ないよね。
旧町名の三厩が残っているのもナイスだし、それだと分からなくても龍飛岬が併記されてあるから間違えようがない。

ふたつめの「道の駅こどまり ポントマリ」も、アイヌ語の「ポン(小さい)」と和語の「トマリ(港)」が組み合わさった旧地名を残していて大変よろしい。

みっつめの「道の駅十三湖高原 トーサムグリーンパーク」のトーサムも実はアイヌ語で「湖のほとり」を意味しているのだそうだ。
湖が十三湖あるわけじゃないんだね。

ここまで来てよっつめの「道の駅たいらだて Oh!だいば」のやる気の無さが悪目立ちしているのが分かるだろう。

ただ、実際のところ最も問題なのはスタート地点でありゴールでもある「道の駅いまべつ 半島プラザあすくる」だった。
なぜオフィス機器メーカーの名前を冠しているのかずっと謎で走り始めてから戻ってくるまで10時間くらい考えていたのだけど、もしかしたら

いまべつ
 ↓
今 別れる
 ↓
明日 来る

という謎のダジャレなのだとひらめいた(これはひどい)。
新幹線の駅と引っ掛けたのかもしれないけれど、このネーミングセンスはちょっとヤバいね。


道の駅の奥に灯台を見つけたので灯台カード目当てで寄ってみた。
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が、平舘灯台には灯台カードは置いてないらしい。
このあとで立ち寄った高野崎灯台にも無くてダブルショック。
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今別に戻る

そんな感じで予定通り、17時には今別町に戻ってくることができた。
127kmを8時間21分なので、階段国道をよじ登ったり釜飯を食べたり風呂に入ったりした割には良いペースだと思う。

残念ながら今別町には気軽に立ち寄れそうな飲食店がなく、やむなくファミマのイートインを利用することに。
期せずしてソーキそばとポークたまごおにぎりで沖縄風になってしまった。
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奥津軽いまべつ駅に併設する道の駅では今別牛のステーキなどを食べさせるらしいのだけど、午後4時閉店なのが悲しい。


18時すぎには奥津軽いまべつ駅に戻り、再び屋内駐車場の隅っこで輪行バッグに詰めて帰る準備は完了。

おなじく新幹線に乗り込む輪行おじさんを見かけたけれど、横型輪行袋で、しかもサドルをニョキーンと袋の上に突き出したままというルール違反スタイルだったので絶望。
こーゆー老害おじさんにはなりたくないね。


そして帰りの新幹線で痛恨のミス。
行きとは座席順が逆のため、行きで最後部だった座席番号が帰りでは最前列になってしまっていたのだ。
行きと同じく車両には自分も含めて2人しか乗っていなかったので、車掌さんに断って席の前に置かせてもらうこととした。
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そんな感じで、初の輪行および初の青森遠征は無事に終了。
予想通り津軽半島は「疎」の塊で、密を完璧に避けられて大正解だった。

そして近いとは言え北海道とは異なる部分もたくさんあってめちゃめちゃ楽しめた。
日帰りで急行軍になってしまったのは少々もったいなかったので、次回は泊まりを交えて楽しんでみたい。

しかし、新幹線が半額になるのはマジで嬉しいなあ。
新幹線で輪行すると一気に世界が広がる。
とくダネスペシャルが終わる前にもう一度くらい利用しておきたい。