PikaCycling

Raleigh CRAとDAHON routeを買ったばかりのサイクリング初心者。ポタポタとポタリングを楽しもうと思っています。

BRM603北海道600km宗谷岬【前編】

8月に出場する予定のパリブレストパリは1,200kmというとんでもない距離を走ることになるので、その前になるべく長い距離のブルベを走っておきたかった。
選択肢としては宗谷岬600と紋別600の2択になるんだけど、さすがに両方エントリーするのは休みの都合上厳しい。
そう思って、まだ日本最北端には自転車で行ったことがないという理由で、宗谷岬に行ってみることに決めた。

激しい雨と風の予報

しかし開催一週間前の天気予報は、ほぼ史上最悪といっていい雰囲気。

稚内まで北上する間の300kmは完全に強烈な向かい風で、それに加えて2日間とも半分くらいは大雨になる見込みだった。
まあ、様似400を走った感じでは、自分は向かい風がそんなに苦にならないみたいなので問題なしとして、問題は雨と夜の寒さ。
ジャージが濡れたら走りたくなくなるから着替え一式をサドルバッグに詰め込むとして、明け方の寒さが怖かった。
とりあえず滝川まで行く途中にモンベルに寄って、ジオラインの薄手と中厚手を購入。
webshop.montbell.jp

600kmを300km×2と考えると、7時スタートで宿に入るのが22時過ぎ、そこから貯金を使って5時間休むとすると出発は午前3時のもっとも寒い時間になってしまう。
それならもう2時間借金して5時スタートとし、残りの300kmを18時間で走るというのも良さそう。
ただそうなると次のPCのクローズが13時だから、150kmを8時間で走る必要があって微妙にしんどいのが問題だったりする。

参加者の中にはわざわざ稚内を通り過ぎて豊富に泊まる方が何人かいたけれど、確かにその方が朝ゆっくり出発できて賢かったと思う。
初日350km走って0時過ぎに到着→5時スタートで次のPCまで100㎞を8時間制限で走る、というのは理にかなっているんだと(終わった後で)感心した。

前夜祭

今回悪天候にもかかわらずDNSしなかったのは、前夜祭の存在が大きい。
ゴール後ではとてもジンギスカンなど食べている余裕がないので、先に食べちゃおうということでTwitterからお声がけをしていた。
何人かDMでお誘いしてたんだけど滝川ではなく江部乙温泉に泊まる方がいたりDNSしたりで、集まったのはいつもの鉄夫氏と、今回出走しないけれど食事だけでもと来てくれたS女史の3人。

ジンギスカンには焼いた肉にタレをつけて食う「後付け流」と、タレに漬けこんだ肉を焼く「漬け込み流」の大きく分けて2種類があり、どちらが美味いか両派閥が羊肉を羊肉で洗う争いをしているかということは特になく、気分でどちらも食べている。
ちなみに自分は道南民なので後付け流ベルたれ派である。

松尾ジンギスカンは漬けダレ派でも一種独特な、じゃぶじゃぶのタレで煮込んでいくという「ジンギスカン鍋」だ。
このパターンだと鍋の表面に徐々に羊の脂が浮いてきてだいぶ羊臭くなってくるので結構上級者向けだと思う(自分は好き)。
しかしこの、羊臭くなってきたところにラム肉のつみれ(食べ放題メニューにある)を入れていくとめちゃくちゃに美味い。
つみれにはクミン塩かクリームチーズ、もしくはマーガオをつけて食べるんだけど、気分はもう中央アジアという感じで大変良かった。

だけどここでの失敗は、普段の焼き肉みたいにひたすらに肉ばかりを食べてしまったこと。
次の日から走るんだから鬼のようにご飯を食べてカーボローディングしておくべきだった。

スタート

前夜祭は満足したものの、果たして本当に出走するのか前の晩は本当に悩んだ。
寒いし辛いししんどいし、自動車で行って幌延丼食べて、ノシャップ寒流水族館もちゃんと見学してPCで参加者の応援をして、それで霧立亭でそばを食べて帰るのが正解なのでは……?
と思いながら寝たら、寝坊DNSして仕方なく観光するという内容のリアルな夢を見て飛び起きた。
あれはもしかしたら、違う時間軸の自分のことなのかもしれない。

ホテルをチェックアウトして、まずはすき家で朝ご飯。

寝ぼけていたのかいつものまぜのっけ定食ではなく、たまごかけ定食にしてしまうというミス。

スタート地点について車検が始まると、なぜかベルが脱落していて超焦った。
ベルはRECマウント一体型のものをつけてたんだけど、いつのまにか落ちてしまったらしい。

(後日自宅の床に転がっていたのを発見)
慌てて他の参加者に予備のベルを持っていないかと聞いたところ、見送りのためにスタート地点に来ていたスペースパンダ虫さんが、たまたま車にロードバイクを積んできているとのことで譲り受けることができて九死に一生を得た。
ベルと反射ベストは予備を車に積んでおかないと危ないなあ。

ボトルも忘れて札幌で買い足したし、本当に今回はポカが多かった。

PC1 セイコーマート鬼鹿店

スタートが出遅れたけど滝川市街地は信号も多いので、なんとか先頭グループに混ざることができてトレインを形成。
やはり向かい風基調では集団が強く、10人くらいでめちゃくちゃに飛ばすことができた。
途中で雨が強くなってきたけれどあまりに鉄夫トレインが快適すぎて途中下車できず、そのままPC1に到着。

今思えばこの時点でちゃんと雨具を着込んで対策をしておけばよかったなあ、と思ったけれど後悔先に立たず。
ビブタイツが撥水だから大丈夫やろ、とレインパンツを持ってこなかったんだけど、そのせいで上から垂れた水がシューズに伝わってバケツ状態になってしまったのも痛い。

Northwaveのウィンターシューズは防水性は完璧なんだけど、裾から入り込んでくる雨水には無力なうえに、完璧な防水性がたたって一度入り込んだ水が排出できないというのも辛い。

帰宅後に靴を洗ってみたらバケツに使えるぐらい漏れなかった。

雨が予想されるときは裾をビニールテープで縛ってしまうのがいいかもしれない。
もしくはレインパンツを履いておけば上から落ちてくる水を防げたし、最低でも防水ソックスを持って行っていればギリ助かっていた。
どちらにしても、雨対策を甘く見ていたのが敗因だなあ。

PC2 セイコーマート天塩川口店

PC1では軽い補給だけにして、鉄夫さんについて出発。
が、その後しばらくして鉄夫さんが停車してしまったので、そのまま先を急ぐことにした。
ここから先は向かい風の中一人旅になったんだけど、DHバーを握っていればそんなに苦にはならない。
あと集団になると、ウェット路面でフェンダーを付けていない人が前にいると跳ね上げた水が顔にかかってしんどいので、一人の方が楽というのもある。

今回は集団走行が予想されたのでBBBのフェンダーを導入。

PBPだとフェンダーがないとトレインからBANされるとも聞いたので、マナーのためという側面が大きい。

サドルバッグの濡れもかなり軽減されて良かった。

途中で何か暖かいものを食べたい気持ちはあったんだけど、飲食店が極端に少ないのと、びしょぬれでローカルなお店に入るのもはばかられたので途中のセコマのホットシェフでおにぎりを食べるくらいで済ませた。

今年もメロン大福がラインナップされていて超嬉しい。
北海道産のお菓子の中でもトップクラスに美味い。
今回のブルベでは3個くらい食べた記憶がある。

雨に震えながらどうにかPC2にたどり着いたんだけど、足が寒い。
カステリのビブタイツは確かに撥水ではあるけれど多少はしみこむし、しみ込んだ水が徐々に体温を奪っていく。
靴の中もびしょびしょでどうしようもないし、ひとまず天塩のDCMに立ち寄って防水パンツとタオル、替えの靴下を購入。
これでだいぶ生き返った感じがする。

胴体も薄手のジオラインだけではやはり寒いので、スポーツ新聞を買って腹に仕込み、その内側にホットのペットボトルを入れてカイロ代わりにした。

さすがに使い捨てカイロなどはもう売っていなかったけど、セコマには6月でもホットの飲料が売られているので捗る。
北海道の田舎はDCMとセコマに支えられている。

通過チェック1 ノシャップ寒流水族館

天塩川を越えていくと晴れ間が見えてきて、海岸線はなかなかに楽しいライドになった。

オロロンラインに入ると海には利尻富士が現れるのだけど、見えた瞬間は視界を遮るような巨大な山に見えて驚いた。

冷静になって見直すと海の向こうの遠くにある山、でしかないんだけど、自分はたまにこうなることがある。
ニセコのエコーラインを下っていてカーブの向こう側から羊蹄山が顔を出す瞬間も、視界に入らないぐらい巨大に感じてしまうんだよなあ。
これは何なんだろう。
山の霊圧を感じているのか、不思議の国のアリス症候群か。

相変わらず向かい風は厳しいけれど、DHバーを握っていればなんとかなる。
北海道のブルベはこのところずっと向かい風ばかりで、体幹が鍛えられきたのか下ハン握りっぱなしにも慣れてきちゃった。
体内パワーメーターの「頑張らない」に目盛りを合わせて疲れないように踏んでいけば特に気にせず進んでいられる。

途中でオロロンライン名物の風力発電所群が見えてきて、足を止めて写真を撮るか、そのまま突っ切るかかなり悩んだ。
でも天気も良くないし映えないし、いい調子で回っているのを止めちゃうのはもったいないしで突っ切ることに決めると、道の先にはAJ北海道のスタッフが!

偶然にも疾走感のある写真になって良かった。

自分の真後ろに全く誰もいないのが最高にいい。

自分が走っているところを見る機会はまずないので、こうやってコース上で写真を取ってもらえると本当に嬉しいし、一生懸命走るモチベーションにも繋がるので助かるなあ。
できれば「何時くらいにここらへんにいるぜ!」と事前に公表してもらえると捗るんだけどw

その後しばらく走ってこうほねの家を発見。

むかしはここに仮眠所があったんだっけ?(違うか)
先行していたふたりの参加者と雑談したり、セコマで買ったメロンパンをぬるくなった紅茶で流し込んでリスタート。
稚内市内に入るまでは風景がひたすら単調なおかげで思考停止状態だったため、ここまでは全然長く感じなかった。
記憶的にはワープに近い。

ところが市内に入って情報量が増えてきて、マップも見なきゃならないラーメン屋がないか探さなきゃならないとなると時間の経過がゆっくりになる。
今回はこのあたりから新導入のOpenFitで音楽を流し始めた。
greenfunding.jp

骨伝導ではなく、耳の横に小さいスピーカーがあるタイプの、むかし良く出ていた”なんちゃって”骨伝導イヤホンと仕組みは同じ。
なのに音漏れはほとんどないし、ロードバイクに乗っていても意外と音がよく聞こえるのでびっくりした。
本物の骨伝導のAftershokzと比べても遜色がない。
むしろ向かい風のほうが音が大きく聞こえたりして、耳の周りの空気の流れで大きく左右される感じ。

後頭部にツルがないからヘルメットとの干渉もないし、かなり良かった。
電池の持ちも十分で、イヤホン単体だと7時間、ケースにしまって充電させれば28時間使えるから便利。
今回はスタートから電源を入れっぱなしでRidewithGPSのアラートだけ聞いて、10時間後から音楽をつけたんだけど、こういう使い方だと朝の7時から21時まで充電無しで使えたので強い。

そんな感じでノシャップ寒流水族館に到着。

そして稚内灯台灯台カードをゲット。

ようやく旅の前半戦が終わろうとしている。

通過チェック2 宗谷岬

ここからは宗谷岬を目指していくんだけど、さすがに腹が減った。
が、コース上に取り立てて食欲が湧くようなお店がない。
なると屋もビクトリアも重そうだし、できればラーメン。
と、いうことは、日本最北端の山岡家に行くしかないのでは!?

コースからは片道1km離れているけど完全に誤差。
ブルベ中に食べる特製味噌ラーメンが美味すぎるwww

しかしだいぶ胃腸がやられているらしく、餃子はあまし気味にしてしまった。
思った以上に向かい風と寒さで体にダメージがあるようだ。
オロロンラインの中盤辺りから喉の痛みが微妙にあって、鼻で吸って口で吐く呼吸をしてたんだけど、風邪のひき始めに近い感じで体が火照っていた。
それでもラーメンを食べてだいぶ回復してきたので、すぐそばにあるホテルを尻目に北上を続けた。

宗谷岬までの区間は市民薄明の時間帯で、夕焼け色に染まった空が鏡のように凪いだ海に反射して、幻想的な光景だった。

まさにフィナーレに相応しい道。
ここは往復コースなので先行者とのすれ違いもあって、さながらウィニングランのようだった。

そんな感じでついに今回の目的地、日本最北端の地に到着!!!

最東端は知床縦断ライドで行ったので、残すは九州の最西端と最南端だけ。
来年あたり飛行機とフェリーを乗り継いで行ってこようかな。
マイル力もかなり貯まっているので飛行機代は無料で行けるだろうし。

というところで前編はここまで。
後編はホテル泊&悲しみのDNF編をお送りします(泣