PikaCycling

Raleigh CRAとDAHON routeを買ったばかりのサイクリング初心者。ポタポタとポタリングを楽しもうと思っています。

BRM603北海道600km宗谷岬【後編】

雨と風の中、13時間かけて滝川市から宗谷岬にたどり着いたよ、というのが前回までのあらすじ。

ここにくる前のノシャップで稚内灯台灯台カードをゲットしていたんだけど、実はここにも宗谷岬灯台というのがあった。
でもカードをゲットするためには長い階段を登っていく必要があったので断念。
それはいつかプライベートで来たときにしよう。

というかブルベを走っていると「いつかプライベートで来たい」と思わせる場所が多すぎる。
宗谷岬に来たのに白い道も通れないし、100歩譲って滝川から稚内まで1日で来たとしても、帰りは2日くらいかけてのんびり観光しながら走りたい。
ブルベは楽しいけれど禁欲的すぎるきらいがあるし、今年は死ぬほど走るにしても来年からは常識的な範囲まで参加回数を減らして、その分気軽な自転車旅を増やしていきたいなあ。

みたいなことを考えながら復路を走っていたら、パンクしたのか自転車をひっくり返して煌々と明かりをともして作業している人が見えてきた。
人が何人かいたから大丈夫だべと思って通り過ぎたけれど、あとからそれが鉄夫氏で、PC1の直後の謎の失速はパンクでそれが1回目、そしてここで2回めで予備チューブを失ってDNFすることになったと知った。
そうと分かっていれば自分のチューブ譲ったのになあ。
(自分は3本持ってるので)

この日の宿は宗谷岬600のトレードマークともいえるホテル奥田屋さん。

5階の部屋まで自転車を入れられるので神だった。

チェックインしたのは22時頃で、ようやく休めるぜと自転車を押して歩いているとロビーに浴衣姿の人がながまっていて、「ここでDNFしますわ」とのこと。
部屋に入ってTwitterをチェックするとこの寒いのにビブショーツでスネを出して若さを発揮していたジブぽんさんも、すき家で夕食を食べてるときに心が折れてDNFと、続々と現れるリタイア報告が嫌でも目についた。
彼らの分も自分が頑張るしかないな! と温泉に入りながら決意を固めた。

サドルバッグからジャージ一式を取り出して、ここで替えの手袋を入れてなかったことを思い出した。
仕方がないのでドライヤーを当てて温まったところをタオルでくるんで枕の下に敷いて寝たけれど完全に湿気は取れず。
水没したシューズは腹に仕込んできたスポーツ新聞を詰めることでそこそこ乾燥されたので良かった。

その後灯火類の電池を交換して就寝。
翌朝は3時に起きて4時出発、9時間かけて150km先のPCを目指すことにした。

通過チェック3 豊富温泉

300kmをいつものペースで走ったので特に大きな疲れもなく、快調な目覚め。
ただ、ここで失敗したのが朝ごはんをちゃんと食べなかったこと。
すき家はゲンが悪いし、途中のコンビニで何か買って食べようと思ったら、稚内の南側には何にも店がなくてミスった。
朝食はメロン大福とチーカマくらいで、あとはライド中にスポーツ羊羹を食べたことくらい。

そのせいか体にエネルギーがなくて、いくら漕いでも全然温まらない。
コンビニを見つけたらこの日もスポーツ新聞作戦を取ろうと思っていたのに後の祭りだった。

走っているうちに手袋とシューズが冷え切って体からどんどん熱が奪われていく。
そういや、去年の函館300とかは夜の冷え込みに備えてUNIQLOのライトダウンを持っていったりしたんだよなあ。
今回はジャージの性能を過信しすぎた。
というか、新品のジャージ一式をサドルバッグに詰めたせいで、積載量がパンパンだったのも良くない。
変に見栄をはらずにゆうパックでホテルまで送ってしまえばよかった。
もしくはいっそ、パニエバッグも装備して完全重量級スタイルで走るのも悪くないかも。


途中で開源パーキングエリアに立ち寄ると、トイレの中が異様に熱く感じられた。

(やばい、これは低体温症の前触れだ)
と、前回DNFした函館200のことが思い出される。
喉の痛みに加えて鼻水も出てきて、本格的に体調が悪化してきているようだ。

とりあえずなにか温かいものを食べないと死んじゃうと思ったので、豊富町のセコマまで急ぐ。
ほうほうの体でたどり着くも、開店が6時でまだ30分もあるので完全に詰んだ。
どこか暖かくて休めるところはないかと探すとちょうど豊富駅が近くにあるのが分かったので向かってみると、そこには先客が。

開源パーキングエリアで一晩過ごしたが、寒さで膝の痛みがひどいうえ、ここから先はずっと雨だと言うのでDNFしたとのこと。
たしかに天気予報を見ると、夕方までずっと雨が降るっぽい。

開店したセコマでカレーヌードルを筆頭に大量に食物を摂取したおかげで体調は回復してきたものの、これから雨の中を走るのはちょっと無理そうだと思い、ここでDNFを決断。
今回はとにかく雨と寒さを甘く見て対策が不十分だったので、それが分かっただけでも勉強になったと思いたい。
このまま続けてもミスの上塗りにしかならんしね。

PEKOさん印の超軽量輪行袋を持ってきていたのでいそいそと輪行準備。
横型は幅は取るけど、引っくり返してホイールを外すだけだから楽勝だった。
肩紐の通し方は難しかったけど。

途中でもう一人参加者が来たので
「いやー、DNF連絡しちゃいましたよ」
と地獄への道連れを増やそうと声をかけたんだけど、勇敢にもリスタートを切った(エライ)。

ちょうどやってきた始発に乗り込むと、まさに鉄夫氏とジブぽんさんも同じ列車にいたので3人で残念会を開くことにした。

車窓を眺めていると雨の様子もそれほどではなく、走れないこともなかったかなと少し後悔。
まあ悔しくないわけがないよね。
稚内で腹いっぱい食べてから出発すれば良かったかもだし、睡眠時間を削ってもランドリーで手袋を乾燥させたほうが良かったかもしれない。
思い返すと間一髪で避けられたかもしれないミスをたくさん踏んでいたので、次回以降の教訓にしたい。

電車はあっという間に旭川に到着し、快速に乗る二人を残して自分は向かいのホームに停車していた鈍行に乗車。
滝川に着いて輪行解除し、雨の中走ってスタート地点に戻り、自転車を車にしまっているといつの間にか鉄夫氏が!
30分後に出発した快速は鈍行の10分後に到着して、自分が輪行解除している間にふたりが到着、タクシーで公園まで来て追いつかれたとのことだった。
快速電車、速い。
というか電車、速い。

その後は3人で松尾ジンギスカンに移動して残念会。

自分だけ後泊だったのでひとりだけビールを飲ませてもらうw
今回はまじめに反省が残るブルベになったので、この悔しさを忘れないためにジンくんのぬいぐるみをゲット。

今後はこいつをお供に走るのだ。

たらふく肉を平らげたあとは、ゴール地点に戻ってスタッフの方々に挨拶。
エントリーリストを見せてもらうと、それでも出走者の半分以上がDNFせずに走り続けていることが分かった。
自分もまだまだ半人前だ。


その後は天気も悪いしホテルの中でゴロゴロ過ごし、翌朝はのんびり起きてビュッフェなど優雅にいただく。

まともなホテルの朝食を食べるのは久しぶりだったのですごく満足した。
鴨汁うどんはごぼうのだしが効いて美味しいし、スープカレーもスパイシーで手がかかっていて、どちらもお代わりしてしまった。

そんなこんなで3泊4日の宗谷岬への旅は終了。
前夜祭から反省会まで、楽しかったし出会いもあったしDNSせず出走したのは良かったと思っている。
DNFしたのはまあ、単純に経験不足だよなあ。
これが400kmだったら普通に勢いでゴールしてただろうし、400kmまでとそれ以上では違う難しさがあるということが分かった。

PBPでは1,200kmの長い行程の中で、必ずどこかで雨が降るだろうし夜の寒さも同じくらいだし、今回の経験がきっと糧になると思う。


そんなわけで、宗谷岬を完走したらDNSする予定だったきのこの山300にも出場することを決めた。
山というからには当然自分の苦手な山岳ブルベな訳だし、やはり雨を風に見舞われそうな微妙な天気。
でもまあ行くしかないな!

ブルベの仇はブルベで果たす!