600kmという長距離のブルベとはいえ、例のごとく序盤の200kmくらいまではグルメに舌鼓を打ったり絶景を楽しむ余裕がありました。
だんだん苦しくなるのは200kmを超えてからで、だけど300kmまでは惰性で行ける。
300kmから先がブルベの真骨頂なんですよねえ……。
というわけで今回は200kmから折り返すまでの、苦しみの中編をお送りします。
休憩 こうほねの家 214km 17:44
天塩の市街地を抜けるとすぐにオトンルイ風力発電所が見えてきます。
ここは絶景スポット、そして今回は天気もいいので、何度も足を止めて撮影タイムとなります。
しかし右側には電柱があってちょっと邪魔。
風力発電所を通り過ぎた後の駐車帯で、逆から撮ったほうがいい感じのアングルになりますね。
だけどこれも2025年3月には稼働を停止して、徐々に大型のものに切り替え、台数も1/3に減らしていくようなのでこういった景色が見られるのは今回限りかもしれません。
さあ、楽しかったのはここまでで、風力発電所を抜けてからは全くの虚無となります。
いつまで走っても、青い空と、一直線に続く道路と、一面の草原、そんな風景が永遠に続いています。
まさに、精神と時の部屋。
集中力はなくなるし、向かい風も容赦なく吹き付けてくるのでペースも上がらず、ただ無心になってペダルを回し続けるのみ。
去年走った時は利尻島が現れた時、それがあまりに巨大に見えて（不思議の国のアリス症候群）ハッと目が覚めたんですが、今回は雲がかかっていて利尻富士もよく見えず。
それでもスタッフさんの迎撃を受けた時だけは元気なフリができましたｗ
そんな精神と時の部屋も、こうほねの家で終わりを迎えます。
www.city.wakkanai.hokkaido.jp
宗谷岬600にある2つのオアシスのうち、ひとつめがここ、こうほねの家です。
トイレもあるし自販機もあるし（缶は持ち帰り）、そしてなにより虚無空間から抜け出すことができるのでめちゃくちゃ助かります。
それにしても、いままで前後に誰も見えなかったのに、休憩ポイントに行くとたくさん参加者がいるのは何故なのかｗｗｗ
そこに９１０さんとゆーさんが二人でトレインを組んでやってきたので、4人で雑談をしながらまったりしていると、ゆーさんから
「稚内まで4人でトレイン組みませんか？」
とのありがたいご提案が。
ここまでずっと向かい風で、風景も変わらずほとんどメンタルブレイク気味になっており、平坦なのに20km/hも出なかったので本当に助かりました。
通過チェック ノシﾔップ寒流水族館案内板 237.8km 18:48
ここから稚内市までの約20kmは快適そのもの。
だいたい25km/hを上回らないような適度なペースで前を引いて、適度に先頭を入れ替えてまったりとグループライド。
「これこそが人権のあるトレインだ！！！」
と感動しました。
そして稚内市内に入ると出るわ出るわ、エゾシカが。
草むらを見れば鹿の群れ、民家の庭にも鹿の群れ、いたるところに鹿・鹿・鹿。
フレッシュ北海道で帯広方面を走った時も鹿だらけでヤベーと思いましたが、稚内での遭遇率は想像をはるかに超えています。
人よりも鹿の方が多いのでは？？？
ノシャップ寒流博物館にたどりついてもコレですよ。
カオス！
夕食 ラーメンさんぱち 稚内店 246km 19:31
そろそろ夕飯の時間だね～、ということで4人でラーメンさんぱちへ。
意外とこれが初さんぱちだったような気がします。
とりあえずほかの店であまり見かけない魚だし醤油ラーメンを注文。
「うおだししょうゆらーめんください」
と言うと店員さんから
「”さかな”だし醤油ですね」
と訂正されて腑に落ちない気分に。
別にどっちでもよくね？
味は悪くないけど次は難読メニューを避けて昆布塩ラーメンあたりにしようと思いました。
ところがここで、人権トレイン4人組の一人、某さんが胃の調子が悪く、ほとんど食べられないとのこと。
早めに宿に入ったら？ というとホテルもとっていないとのことで、しばらく休んで落ち着いてからリスタートしようと思う、とのことでした。
この時間ならギリ最終便のJRで帰られるかなあ、朝まで野宿で体調を崩したらどうしようかと心配しつつ、彼を残して先へ進むことになりました。
ここでゆーさんは先にホテルにチェックインする必要があるからと離脱し、ファイターズローソン前で即席の人権トレインは解散。
短い距離だったけど、まろやかに走れて楽しかったなあ。
通過チェック 宗谷岬信号機 273.3km 21:25
ここから先はめいめい、最北端を目指して進みます。
真っ暗闇の中を走っていると向こうの方から折り返しの参加者がやってくるので、鈴を鳴らしてお互いに励ましあいながら走りました。
宗谷岬ではスタッフさんの出迎えがあり、記念撮影もしていただきました。
ここから折り返しとなり、人権トレインのうち3人が一緒になったのでついていけるかなと思っていたんですが、二人ともペースが早い早い。
「これは、稚内で泊まる人間の走りだな！」
もうすぐあたたかい布団が待っていると思えば、ペダルを踏む足にも力が入りますよねー（涙
通過チェック 豊富温泉総合案内板 342.2km 1:36
自分はと言えばまださらに70km（正気か？）も進まなければならないので、稚内にある最後のコンビニで大量に食料を買い込みます。
豊富温泉あたりにはコンビニがないので、補給食と夕食と、翌日の朝食まで持っていく必要があるのでなかなかしんどかったです。
宿ではポットのお湯が自由に使えたので、カップラーメンを中心にかさばるけれど軽いものを中心に選びましたが。
稚内を出ると完全に一人旅、真っ暗な一本道をひたすらに突き進みます。
ここからAudibleをオンにして、この日は前回積丹400の時に聞いていたホルモー六景の前の巻、鴨川ホルモーを聞きながら漕ぎ続けました。
続きは出ていないんですが最近、「鴨川ホルモーワンスモア」なる劇が公開されているというので、そっちも書籍にならないかなあ（劇をずっと見てるのは無理）、と思いました。
そしてついに現れたのが国道40号のオアシス、開源パーキングシェルターです。
www.webcartop.jp
宗谷岬６００を走るうえで、こうほねの家と320km地点のこのシェルターは2台拠点といっても過言ではありません。
狩勝峠の展望台トイレと同様に、この季節でもしっかり床暖房が効いており、自動販売機もあって完璧な布陣。
ホットコーヒーを買って床に座って飲んでいると一人の参加者がやってきて、宿をとっていないというので「ここで仮眠取る人、結構多いですよ～」と自分の座っていた場所を（後ろ髪を引かれる気持ちで）あけて先に進むことにしました。
ここまでくれば豊富温泉はすぐそばです。
豊富駅前のガソリンスタンド（交番の横）を見つけて（去年もここで休んだなあ）と思い出しながらホットコーヒーを飲んだりしながら進みました。
豊富温泉の前までやってくるとこんな深夜だというのにパトカーが追い越していき、温泉街の入り口にある公園の前で停まりました。
様子を見ながら横を通ると、なにやら参加者の一人が事情聴取を受けている模様。
公園で仮眠をとっている間に荷物を盗まれたのか、もしくは宿の人から通報されたりしたのかしらん、と思っていたんですが、あとで聞いたところによるとこのすぐ手前でヒグマをみかけて、それを通報していたとのことでした。
っていうか、その道自分もいま通ってきたじゃーん！！！
まさかのニアミス（（（ ；゜ Д ゜）））
熊鈴はずっと鳴らしてきたけれど、まああんなの気休めに過ぎないしなあ。
宿泊 湯治の宿 ウカスイモシリ
通過チェックの写真を撮って、宿にチェックイン。
ukasuymosir.com
この宿は、事前に送られてきたメールでルームナンバーで入場できるイマドキの宿なので、こんな深夜に泊まろうという異常な人間にとって大変助かります。
自転車は食堂に入れられるし、電子レンジもお湯のポットも自由に使えて便利。
「湯治の宿」というけれど温泉はなく（よその温泉に入りに行くシステム）シャワーだけですが全然OK。
ただし残念だったのが、乾燥機が2台とも故障していたこと。
いっそ洗濯してしまおうか、と思っていたのでこれはショックでした（替えのジャージを持ってきているので無問題でしたが）。
うっかり洗ってしまっていたら、ずぶぬれの衣類をずーっと運ばなきゃならないところだったぜ……。
あと全然関係ない話なんですが、ブルベをやっていて困るのがソシャゲがプレイできないことなんですよね。
特にポケモンスリープは壊滅的で、寝られないのはまだ救済措置があるけれど、カビゴンに食事を与えるのもままならないし、食材があふれてエナジーに代わってしまうのも辛い。
ところが最近ドはまり中の学園アイドルマスターはよくできていて、アイドルを育成できないときは、たまっていくスタミナをアイテムと交換できるので捗っています。
ほとんど無課金でもそれなりにガチャが引けるし、月額課金すると推しにメガネをかけさせたりできるので実質無料みたいなものです。
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という感じで話が脇道にそれたので、続きはまた次回。
後編は「ブルベ中に食べる○○○が一番美味い」「人がミスコースしたと思ったとき、自分のミスコースを疑え」「感動のフィナーレ」の三本をお送りします。
おたのしみにﾉｼ
