前回はここまで300㎞を走ってようやくウナギにありついたところまで。
pikacycling.hateblo.jp
そしてウナギ600参戦記の後編は、ここまで来た道を300㎞走って帰るだけの行程となる。
最初で最後のPCである鷲頭駅前に着いたのが18時くらい。
割と山岳が多い函館300でも17時間くらいで走破しているので、平坦なのにこれだけかかるとは(ウナギや海鮮丼を食べてるとはいえ)やはり都会の信号峠は恐ろしいのだと分かった。
600kmブルベの時間制限は40時間なので、残りは22時間(0時スタートだと計算が楽で捗る)。
300㎞÷15km/h=20時間と計算しても、だいたい2時間くらい貯金がある計算になる。
これなら仮眠を含めても十分完走できるだろう。
ここからは暗い夜道を延々と戻る。
そしていきなり田んぼの真ん中に派手なラブホテルがあってビビる。
風向きは微追い風になってくれたので快適そのもの。
Aftershokzで空気階段のラジオを聴きながら延々と漕ぎ続ける。
一切特筆する出来事がないままに走り続けて、通過チェック5の御前崎のファミマには21時に到着。
ついにここで目標時間を上回ることができてほっと一息。
復路は16km/hペースで計算しているので、なにか大事件がない限りは確実に完走できそうな予感が漂ってきた。
焼津の街を走っているうちに、徐々に眠気を感じてきた。
さすがにスタートしてから400km、ほぼ24時間たつと眠くなってくる。
途中でコーヒー休憩をはさんだり、人がいないことをいいことに歌いながら走り続けて通過チェック6の清水市に到着。
さて、ここから課題になるのが「仮眠をどこで取るか問題」である。
多いのは浜松市内の快活クラブ浜松都盛店を使うパターンらしい。
でも浜松あたりではまだまだ元気だったし、風向きも良かったのでついつい先に進んでしまった。
あとでTwitterを見て良さそうだと思ったのが、スーパー銭湯の「エキチカ温泉 くろしお」
spa-kuroshio.com
コースからもほど近く、かなり良さそうな感じだったけど後の祭り。
こちらは快活CLUBの一択しか選択肢を持っていなかったので、清水市にある快活CLUB清水春日店を狙っていた。
コースから2.5kmほど離れているけれど、シャワーも個室もあるし完璧だ。
ここをキャンプ地とする!
ブレードロックでがっちり施錠して入店し、モバイルバッテリーを充電しつつまずはシャワーへ。
(ここはシャワーにタオルを置いていないので要注意)
体を洗ってさっぱりしたあとは、J-1クリームを塗りなおしてここまで温存していたカステリのビブショーツに履き替えた。
そのあとは個室に戻ってiPhoneとVivosmartでアラームを1時間後の午前2時にセット。
音を鳴らすと周りの利用客に迷惑なので、バイブのみの設定にしておいた。
それから泥のように眠りについて、ハッと目を覚ます。
時計を見ると時間は午前4時!
2時に起きる予定が、2時間も寝過ごしてしまった。
毛布の上にiPhoneを置いていたせいで、振動に気づかず寝過ごしてしまったようだ。
全身の血の気が引いていくけれど、とにかく即座に身支度を整え、といっても寝る前に全部着込んでいるので40秒で支度を終えて店を出た。
2時間の寝過ごしは厳しいけれど、2時間残しの38時間でゴールする計画だったのでちょうど貯金がゼロの状態。
残りの180kmを15km/hで走り切ればギリ間に合う時間帯だったのが助かった。
あとで鰻タイムラインを見ていたら、ホテルの立派な部屋からおやすみツイートから寝坊したツイートまで8時間過ぎていた人もいて(さすがにDNFしていた)、逆にむしろ快活の硬いマットのおかげで途中覚醒できて幸運だったたのかもしれない。
気ばかり焦るけれど微妙な向かい風で速度は上がらない。
はやる気持ちを抑えきれないままに由比バイパス横の太平洋岸自転車道に入った。
すると、自転車道は右車線のさらに右側を通っているため、対向車のハイビームがまともに目に入ってきて前が全く見えない状態に。
そのうえ道はテキトーにクランクしているので、気が付くと目の前に壁が迫ってきていて慌てて急ブレーキ。
なんとか横に倒れて正面衝突を避けたけれども、ここはマジで危険だった。
静岡に入ると夜が明けてきて、富士山もよく見えるけれども写真を撮ってる余裕もなく、ひたすらに走り続けるだけ。
ここから箱根の峠に入っていくのだけど、沼津市側からの登りは斜度がゆるやかで助かった。
だけど寝坊したせいでちょうど通勤通学のタイミングにハマってしまったのは大誤算。
信号のほかに横断歩道を渡る子どもを待つのに足止めされたりとさんざんな目にあった。
まあ、セーラー服の女の子と一緒に並走するのは学生時代を思い出してちょっと楽しかったりしたけれども。
疲れもピークに達して途中で何度か休みつつ、どうにか峠を登り切って通過チェック7に到着。
疲れ切っていてただ生存確認のための写真を撮ることしかできないレベル。
だけどどうにか貯金が30分で来たので、少し気持ちに余裕が出てきたので、おにぎりで朝ご飯を食べてから再スタート。
元気になってきたのでようやくまともな富士山の写真を撮れた。
ここから熱海までダウンヒルだけど、めちゃくちゃな急斜面なのでブレーキを握りしめてズルズルと滑り落ちるだけで、全然スピードを出せないのには参った。
さらに熱海の街は観光客でごった返しているうえに急坂でヤバい。
上り坂で勢いよくペダルを踏んだらチェーン落ちしてしまい、慌てて歩道に入って確認したら、スプロケットの裏側にチェーンが入り込んでおり、ホイールを引っ張ってもなにしても抜けなくなってしまった。
(これはオワタ)
こうなったらチェーンを切るしかないと覚悟を決め、これでDNFするなら仕方がないと証拠写真を撮るためホイールを持ち上げたら、どうしたことかすんなりとチェーンから外れて九死に一生を得た。
あれはなんだったんだろう……。
そして熱海のあたりでは翌日スタートの方とすれ違っていた模様。
後半楽しみにしております。
— Aquamarine@BRM1210アタック那珂川…完走出来ました。 (@Aqua212418) December 15, 2022
熱海駅の近くですれ違ったと思います。(Pikaさ〜んとお声がけしましたが一瞬のすれ違いでした)
私もラレーで完走しました。
仮眠前までは余裕があって反対車線を通るローディに手を振ったりしてたんだけど(夜だから全然気づかれなかったけど)、熱海では時間との戦いで焦っていて周りを見る余裕がなかったっぽい。
というか、今までTwitterでもあまり絡みがない人からも特定されているとは身の引き締まる思いで、今後も品行方正に乗らねばならぬなと気持ちを新たにしたのだった。
熱海から先は軽い登り&向かい風だったけれど、車通りもゆるんできたのでちょっとだけペースが上がって12時20分に最後の通過チェックに到着。
ゴールまで残り45㎞、残り時間は3時間40分。
時速15㎞ペースを守れれば十分にゴールできる距離だけれど、1パンクでも厳しくなってしまう。
しかもここから都心に入って信号峠が厳しくなるうえ、アップダウンも交通量もめちゃくちゃ多い。
あとは自分を信じて事故なく休まずひたすらに漕ぎ続けるしか道はない。
体的にはほとんど限界で、まず熱海を越えてから左手がしびれてきて、フロントの変速ができなくなってきた。
小指と薬指がしびれて親指の握力もないので、外から押してやることができない。
なのでいちいち手を内側に回して、人差し指と中指で引っ張ってやる必要があった。
いつも使ってる激安中華グローブしか持ってこなかったけど、ロングを走るときにはちゃんとブルベ用のグローブを買った方が良さそうだ。
あとで調べたら北海道のランドヌールは手のひらにダイソーのパフを仕込んでいるというブログを読んだんだけど、実はみんなそんなことをしていたのか、と分かってびっくり。
それともうひとつ、信号で止まるたびに再スタートのため右足で強く踏み込むうちに、右足のアキレス腱が痛くなってきた。
回している間は悪くないんだけど、力を入れると痛い。
こればっかりは都会の弊害だなあ。
まあ、今後はほとんど都内なんて走る機会がないだろうからいいんだけども。
全身ボロボロになりつつも、徐々に徐々に距離は伸びて行って15時20分ごろに無事、ゴール。
ゴール報告に対してTwitterに「おつかれ」のコメントがたくさん寄せられたけれど、ほんとマジで疲れた。
だいたいは寝坊のせいなんだけど、都心部で頻繁にストップ&ゴーさせられるのは本当につらいし、交通量も半端ないし大変なコースだった。
これなら限界まで軽量化したくなる気持ちは分かるなあ。
鍵を持っていくのは諦めることにしても、普通の輪行では使わない非常用の超軽い輪行袋を持っていくといいかもしれない。
まあ今回は上半期のうちにSRを取るため非常手段を使っただけだし、ブルベで関東に来ることはもう二度とないだろうな、と思った(フラグ)。
どうせならもっと楽しいコースを走りたいし、羽田から富士山まではそんなに遠くないから、輪行解除して富士山まで自走して、しかるのちに登山とかはいずれやってみたいかも。
どちらにしても、初の600kmブルベをちゃんと完走することができて良かった。
課題なのは「600㎞を走り切った時点で疲れ果ててしまった」体力のなさ。
いや、体力がないというよりも、使いすぎてしまったことが重要なのかも。
ストップ&ゴーで消耗するのはパワーが低いのもそうだけど、自重が重いのも原因だと思われる。
いまも食事を記録して減量に取り組んでいるけれど、マジであと5kg痩せて標準体重にしないとダメだろうな。
春からは断酒して真剣に挑もう。
ほんとうは本番前に一度は1,200kmを走っておきたいんだけど、なかなかそこまで休みが取れなさそうなので、ぶっつけになるのは厳しいかもしれない。
とはいえ、ぐっすり寝て翌朝には左手のしびれと右足のアキレス腱の痛み以外は回復していたので、600km+10時間の睡眠+600kmなら不可能じゃない気もしないでもない。
とりあえず次のブルベは来春からになるけれど、今回600kmをクリアしたからといって慢心することなく、道内の600kmブルベには参加して調整していかないとダメだろうな。
そんな感じで、課題はいろいろ見つかったし、無事に完走できたし、遠征した結果が実を結んで良かった。
寝坊で間に合わなかったら泣くに泣けないからなあ。