タイトルにあるとおり、2022年シーズン初ブルベはDNFという結果に終わった。
不運もあったけど、原因は完全に油断&慢心。
地元だからとなめてかかったのが敗因だ。
走力的には全然問題なく走れる距離でも、天の理、地の理、人の理がそろっていなければ完走できないのがブルベだということが身にしみてわかった。
というわけで今回の振り返り。
前日まで
もともと今回の函館200はあまり乗り気ではなかったのだ。
というのも、一度完走しちゃってるのもあるし、津軽海峡沿いの国道229号は日本でトップクラスの舗装ボコボコ最悪国道なのであまり走りたくない。
コース的には木古内から先の一周コースは悪くないんだけど、距離を調整するために延長された北斗市から木古内までの往復が最悪なのだ。
だからテンションが上がらないブルベではあったんだけど、わざわざゴールデンウィークの混んでいる時期に遠出をする方がめんどくさかったし、地元民として走っておいた方がいいかもなあ、くらいのテンションだった。
装備についても、ここらへんは庭みたいなものだし、わざわざデカいサドルバッグをつけることもないだろうと、いつものトピークにモバイルバッテリーなど。
ライトもブルベ用に18650電池を使う大型のをずっと使っていたんだけど、最近は軽量化仕様にして取り外していたので、小型のものを予備と合わせて2つ装着。
ジャージも長袖の下にインナーを着ていけば大丈夫だろう、という感じで、普段のライドとほとんど変わらない体制で挑むことにした。
当日朝
6時から受付が始まるので家を5時に出て、なか卯で親子丼など食べて朝食。
駐車場に到着してみると、気温がやけに低い。
この季節は七分丈のサイクルクロップドパンツを履いているのだけど、ソックスとの隙間が非常に寒い。
ある程度なら走り出せば温まるから大丈夫だろうと侮っていたら、集まるブルベ民たちはみなガチの冬装備だった。
「これは、負けた……」
勝負はもうだいたいここでついていたといっても過言ではあるまい。
いきなりのパンク
それでも7時近くなって少し気温も上がってきたので、まあ走れなくはないな、という感じにはなってきた。
車検を受けてスタートし、最初の区間を快調に飛ばしていく。
とにかく漕げば暖かいので、補給を多めに食べながら走っていけば大丈夫だろうと思っていた。
途中でかなり速いライダーに抜かれたので、少し踏ん張ろうと思ってペダルに力を入れた瞬間、
プシュー!
嫌な音が足元から。
これはアカンと反対車線のバス停に退避すると、案の定パンクしていた。
国道229号は舗装の状態がめちゃくちゃ悪く、ひび割れを補修したアスファルトがさらにひび割れてその上から上塗りし、それもまた剥げてものすごい段差があったりする。
前日に空気を入れていたし、普通だと走り出してすぐにリム打ちパンクはあり得ないんだけど、運悪く段差に当たったのがバルブ直下だったようだ。
言ってみれば、360度分の1の不運。
この時点で「もう家に帰ろうかな」という気になっていたんだけど、ツイッターに写真上げちゃったしいきなり帰るのもカッコ悪いし、という気持ちになったので粛々と修理を行った。
不幸中の幸いでコンチネンタルGP5000はかなりハメハメしやすいタイヤなので、念入りにチェックしても約20分で修理完了できた。
怒涛の追い上げ
スタートして10分でパンクしたとはいえ、この200kmのブルベで20分のタイムロスは(たとえ最下位だったとしても)取り戻せるレベルだ。
ここから向かい風の中、いつもよりペースを上げつつ頑張る。
最近サドルを変えたら下ハンドルを持つ方が楽だというくらいに体が曲がるようになったので、前よりも向かい風が苦にならなかったりする。
ブルベのいいところは参加者が反射ベストを着ているところで、1kmくらい後ろからでも走っているのが視認でき、目標にするのに役立った。
どんどん追い越していったけど、途中のサラキ岬でチューリップの写真を撮るのは忘れないw
PC1からPC2まで
そうこうしているうちにPC1の知内町にたどり着いた。
なんとか15km/hペースで来れたので遅れを取り戻し、無事に完走できそうな雰囲気が出てきた。
体がヒエヒエなので缶コーヒーで暖を取っていると、この段階でカップヌードルをズルズルと食べている猛者が。
個人的にはタイムロスが心配になるものなんだけど、どうやら毎年来ている参加者らしいので彼にはこれが最適解なのだろう。
ここから先は峠越えがあるので(向かい風が気にならない分)楽なんだけど、坂を下ってみると風がかなり強まっていて恐ろしいくらいだった。
こりゃ、ディープリムなら死んじゃうな。
海沿いに出てみると果たして白波が大暴れしていて、強風注意報が出ていることもあってここで引き返す人を何人か見かけた。
白神岬もいままで見たことがないくらい大荒れで、まさに白い神が荒ぶっていると感じた。
PC2の松前町のセイコーマートまでの区間はずっと西向きで向かい風に耐える必要があるけれど、ここから先は北に向かうので多少は楽になるはず。
ここではおにぎりとホットのほうじ茶を飲んで、おなかの中でお茶漬けにする作戦をとった。
そしてPC1のときとはまた違う猛者の人が、レトルトのお粥にお湯を注いで食べているのを発見。
ほかの参加者を見ていると勉強になるなあ。
DNFを決意
松前町の桜を見ている余裕も、ニシンそばを食べている時間もないのでとにかく前に進み続けるしかない。
松前町の北のはずれにはPC2とは別に、ホットシェフがあるセイコーマートがあるためこのコースを走るときには必ず立ち寄ることにしていた。
というのも、ここから先は40km補給する場所がない、行ってみればPoint of NO Returnだからだ。
店内に入ると室内の空気がやたらと暖かく感じられ、思った以上に体温が低下しているのを感じた。
さてどうしよう。
ここまで100km走ってきて、体力的にはまだ余裕がある。
だけどこのペースだと最後の峠では日が暮れてしまうし、体温の低下が心配だ。
それと序盤でパンクして残りのチューブがないのが一番の問題。
森の中で二度目のパンクをしたら帰ってこれなくなってしまう。
これまでブルベを走ってきたときはちゃんと防寒着も持ってきていたし、サドルバッグには予備の予備のチューブも入れていた。
今回はいろいろと準備不足だったし、安全を取って諦めておくのも手かもしれない。
というわけで初のDNFを決断。
一息ついて、もう後続が来なさそうなタイミングを見計らって来た道を戻ることにした。
しかしそれでも後続の参加者とすれ違うことになるのでなかなか気まずい。
気まずさを抱えつつも、帰りは追い風なので相当に楽だった。
雲も晴れてきて背中に日の光を浴びて、あっという間に福島町の道の駅まで戻ってきた。
ここで運営にDNFの連絡を入れ、ひとまず道の駅の向かいにあったラーメン屋さんで辛味噌ラーメンを食べて暖を取った。
しかしつくづく考えてみると、ブルベを完走すること自体にはあまりモチベーションが保てない性格なのかもしれない。
どちらかというと知らない土地の美味しいもの目指しつつも制限時間内に走るという、ひとりグルメフォンド的な楽しみが重要らしい。
次に同じコースを走るにしても、制限時間をオーバーしようが松前町でなにか美味しいものを食べておくべきだっただろう。
というか、GWは日高や十勝でもブルベが開催されているので、次はそっちに出場するというのが正しいかもしれない。
それと最近はStravaを見すぎるせいで、タイム偏重思想に偏っていたのも良くなかった。
多少重くなろうとも、大型サドルバッグにきちんとした装備を積んだり、万が一のナイトライドに備えて強力なライトを持って行ったりしなければだめだね。
次は八戸で開催される十和田200に参加する予定なので、自分にとっては未知のコースということもあるし、楽しみながら完走できるよう十分に準備を整えて挑もうと思っている。