PikaCycling

Raleigh CRAとDAHON routeを買ったばかりのサイクリング初心者。ポタポタとポタリングを楽しもうと思っています。

【しまなみ海道】Day3-2 ゆめしま海道ゆらゆらライド(後編)

しまないライド3日目の前半戦は、尾道から弓削島に渡ってゆめしま海道を走ってきた。
前日に亀老山ヒルクライムで一緒になった和歌山のKさんと、岩城島から生口島へ渡るフェリーの上で偶然の再会を果たしたというのが前回までのあらすじ。

お互いにここまでの旅の思い出を話しているうちに、あっという間に洲江港に到着してしまった。
レモンポーク丼を食べに行くというKさんと別れ、島の南岸を走って多々羅大橋を目指した。
ここで別れても後でオレンジフェリーで再開できるとわかっているので気分も楽だ。

それにしても腹が減った。

朝からパン二つ、バーガー一つ、ホットドッグ一つ、あとはINゼリーとレモネードしか口にしていないのでひもじくて仕方がない。

地元の店を探すのも面倒だし、わらしべ岩城島BASEで門前払いを受けたことがトラウマになっていたので、旅の強い味方である道の駅を目指すことにした。
今治市多々羅しまなみ公園は往路ではトイレ休憩に寄っただけなのでちょうどいい。
www.imabari-shimanami.jp

到着してみると期待通りした立派なレストランがあった。

名物は幻の高級魚マハタのお造り定食だというので即決。

期待に胸を膨らませながらマハタのお刺身を食べてみると、鯛よりも断然旨味が濃厚で、淡白なイメージのある白身魚とは思えないほどのこってりとした脂に大満足。
これは確かに高級魚だわ。
鯛塩ラーメンもいいなあと思っていたんだけど、これは食べておいて正解だったね。


続けて向かったのは大三島リモーネ。
www.limone2.com

ここもなななちゃんねるでチェックしていたので最初から寄る予定でいたんだけど、ブルーラインから逸れて集落の中をしばらくウロウロしなければならないのでわりと難易度が高い。

たどり着いてみるといい感じに趣味性が高いお店で、島でとれた無農薬栽培の柑橘を使った加工食品やお酒が所狭しと並んでいた。

ドリンクメニューも相当に美味しそうだったんだけどたくさんあって選びきれずに
「オススメはどれですか?」
と聞いたところ、一般には出回っていない希少品種「かがやき」のミカンジュースがいいとのことで、実は自分も「疲れに効く」の売り文句に惹かれていたのでそちらに決定。

これがもう、香りの鮮烈さが素晴らしすぎてたまらない。
ここまで結構レモネードとかを飲んできたけど、この強烈な風味は他に類を見ないレベルだった。

せっかくなので自宅用にリモンチェッロも買ってみたけどこれも絶品。
www.limone2.com
まるでレモンの良いところだけをぎゅっと濃縮したような味と香りに感動した。
結構お高いので常飲はできないけれど、通販もできるのでまた買って飲んでみたい。


「かがやき」のミカンジュースのおかげで輝きを取り戻したので続く伯方島は島の北側を通って一周してみることにした。

例にもれずこの島も外周は適度にアップダウンが続く歯ごたえのあるコースだった。
だけど終わりゆく旅のことを思えば、坂を乗り越えるペダルのひと踏みひと踏みさえも記憶に残るよう、噛み締めながら登ってしまう。

自転車に乗る楽しみという点だけでは、しまなみ海道だけじゃなく、いつも走っている北海道も、ときどき出かける青森の津軽地方だって、この前走ってきた知床だって同じくらいには楽しい。
だけどこの海。

穏やかで白波一つない鏡のような水面はまるで湖のようで、北の荒れ狂う海とはまるで違う。
水平線に目をやれば、遠くにここまで走ってきた島々が浮かんでいて、景色も文化も歴史も違う、自分が生まれ育った場所とはまったく異なる国にやってきたんだな、と感じた。
ロードバイクに乗っていなければ絶対に目にすることのなかった数々の景色が次から次に頭をよぎり、思わず「自転車、最高じゃん」とつぶやいた。


そんなことをぼんやり考えているうちに、伯方島で寄ろうと思っていた喫茶店も華麗にスルーしてしまったうえに、時間も午後3時と押し迫っていたのでこのまま一気に大島を縦断することにした。
大島の南端にある道の駅よしうみいきいき館は往路で訪れたときは朝早すぎて開店前だったし、確かソフトクリームのラインナップが伯方島の道の駅と同じで、レモンソフトクリームが置いてあったはず。
初手で塩ソフトクリームを食べてしまって「塩味だと他の地方のと変わらん」と思ってからずっとリベンジを果たしたいと思っていたのだった。
www.imabari-shimanami.jp
しかし道の駅の閉店時間は午後4時と異常に早いため、のこる足を使い切って全力で駆け抜けた。
閉店セールのごとくに足を売り切れにさせたおかげでどうにか3時40分に到着し、待望のレモンソフトをゲット。

さわやかなレモン風味とミルクの組み合わせが絶妙でかなりに美味い。
塩よりは絶対レモンだなあ。
というかレモン牛乳飲みたい(栃木名物だったっけ?)


いよいよ旅のフィナーレとなる来島海峡大橋を、ゆっくりゆっくり感触を確かめるように踏みしめながら、というか、夕方になって吹き出した強烈な南風に逆らってじわじわ進むしかなかった。

旅の間中こんな風が吹いていたら楽しむどころではなかったなあ、と震えた。

旅の締めくくりは当然、サンライズ糸山のSHIMANAMIプレートの前で。

次にここに来るのは2年後の3月かなあ。
その時まで健康でいようと胸に誓った。


心の中で流れる旅のエンディングテーマを背景に今治市内を通り抜け、本日の〆となるのは今治名物焼豚玉子飯!!!
youtu.be
これは広島の女性Youtuberあーちゃんねるで見て知っていたんだけど、彼女らがおススメしていた重松飯店は18時から開店だったため、もう一カ所評判が良かった白龍という店を目指した。
www.oideya.gr.jp

店主はカウンターで新聞を読んでいる系のぶっきらぼうな感じだったけど、唐揚げセットの玉子飯小で、と頼んだら
「小は卵2個だけどいいの!?」
と聞き返してくれたので親切(小で十分な量でした)。

B級グルメとして有名な焼豚玉子飯だけど、これが抜群に美味い。
とろりととろけた卵の黄身と、甘辛い焼豚のタレの組み合わせは特A級。
小でもかなりボリュームがあったんだけど、唐揚げも美味いしあっという間に完食してしまった。

今回いろいろA級グルメを食べ歩いてきたけれど、もしかしたらここが最強だったかもなあ。

あまりに感銘を受けたので、家に帰って自分でチャーシューを作って焼豚玉子丼を再現してみた。

自作の方がタレがB級の味わいになったのが面白い。


残る東予港までの道のりは消化試合みたいなもので、夕闇に包まれかけた幹線道路を巡航速度でタラタラと流す。
22時発のオレンジフェリーの受付時間は20時からなので、パンクなどのトラブルに備えて19時につくようペース配分するのがセオリーだ。
寄るべき場所ももう無いし、あまり頑張っても明日もあるので、最後はクールダウンみたいな気持ちだった。

定刻通り19時に東予港にたどり着き、オレンジフェリーの明かりが見えたときには自宅に帰ってきたかのような懐かしい気持ちになった。


待合所に到着して外で休んでいると、少し遅れて和歌山のKさんが戻ってきた。
もうこうなると気分は戦友みたいなもので、お互い走ってきたルートの話をしたり、お互い地元でよく走っている道のことを話したり、Stravaのアカウントを教えあったりとサイクリストらしい交流ができて良かった。
ちょっと面白かったのが、去年知床を走ってきたよという話をしたら、
「あそこに行っていいんですか? 船で渡ったんですか?」
と、完全に北方領土と勘違いしていたところ。
自分も北海道以外の地理は解像度がとことん低いので人のことは言えない。

この時の会話をもとに思いついたネタツイートをしたら、かなりバズったので良かった。


以前に函館の夜景を渡島半島のくびれのことだと勘違いしたツイートが話題になっていたけれど、実際住んでいない人にとってはそのくらいのものだろう。

20時近くまで二人で話をしていたら、作業服を着たおじさんがやってきて
「自転車の人はそろそろ積み込み始めるってゆっとるで」
と声をかけてきた。
船の乗組員の人だろうか。
だけど自分はそのまま持ち込む派だし、Kさんも輪行袋に詰めたところなのであまり関係がない。
キョトンとしているとそのおじさんは、自分の自転車を押してやってきたんだけど、それがパニエバッグを備えたキャンプツーリング仕様だったからびっくりした。

聞けば会社を退職してから日本中を自転車で旅しているそうで、今回は自分の家がある大阪から4日かけて野宿しながら尾道まで辿り着き、それから3日間しまなみ海道にいたんだけど、台風が近づいてきたからフェリーで帰ることにしたんだそうな。

おじさんの話は尽きることがなかったんだけど、乗船時間になったので「また後でな!」と言って自転車を乗せに行ってしまった。
また後でと言われても、部屋もわからないし、でも下船時に集まるからいいか、と我々もオレンジフェリーに乗り込んだ。

車輪を雑巾で拭き上げて、客室に入れば見慣れたこの光景。

いいねえ。サイクリストの宿はこうあるべきだ。

風呂に入ったら寝てしまいそうだったので、まずは食堂で晩酌と洒落込むことにした。
夕飯は焼豚玉子飯を食べてきたので、オレンジフェリー自家製のフランクフルトと瀬戸田クラフト酎ハイ。

船で自家製とか謎しか感じないんだけど、普通に美味いから凄い。

チューハイもそんじょそこらの居酒屋の生レモン搾りチューハイ並に美味しくてよかった。

というわけでこの日のRelive。

それにしても、しまなみ海道は楽しかったなあ。
走りやすいし食べ物も美味しいし、景色は綺麗でサイクリスト天国だった。
行程上スルーせざるを得なかった名所もいっぱいあるし、普通に2回3回と走りにきたくなっちゃうもんなあ。

あと今回の旅では、オレンジフェリーが神すぎて最高だった。
伊丹空港からフェリーに乗って、次は九州を攻めてみるのもいいかもなあ。
体が元気に動くうちに、日本中のあらゆる名所を自転車で走り回ってみたい、そんなことを考えながら眠りについた。