PikaCycling

Raleigh CRAとDAHON routeを買ったばかりのサイクリング初心者。ポタポタとポタリングを楽しもうと思っています。

【しまなみ海道】Day3-1 ゆめしま海道ゆらゆらライド(前編)

旅行3日目は予定通り朝5時に起床。
ホテルにチェックインした時点では結構バテていたんだけど、一眠りしたらだいぶ回復してよかった。
とにかく食って寝たのがよかったんだと思う。

昨日の暑さに懲りてインナーを着ず、ミレーと長袖ジャージだけを着て外に出たら、流石に朝の6時だと外の気温はめちゃくちゃ寒くて往生した。
これが「羹に懲りて膾を吹く」というやつか(違うか

あんまり朝早くに出発しても空いている店がない問題というのは自転車旅あるあるなんだけど、この日に限ってはその点抜かりはなかった。
まずは渡船乗り場に向かって向島を目指す。

土曜日でしかも朝早くだというのに、野球部らしき生徒たちが何人も船を待っていた。

料金は自転車込みで110円とリーズナブルだけど、小銭の用意が必要なのがちょいとめんどい。

そういえば、行きも帰りも駅前渡船を使ってしまったけど、他にも航路はあるんだから帰りは福本渡船や尾道渡船を使ってみても良かったな。


朝日を真正面に浴びながら海峡を渡って、まず向かったのは住田製パン所。
www.sumidapan.jp
「朝一番早いのは」の歌でお馴染みなだけのことはあって、朝6時開店なので早起きサイクリストの補給食には完璧な選択肢だ。

こじんまりとした店内には所狭しと総菜パンが並べてあって、寝ぼけた頭で目移りしながらあんパンと、何か惣菜パン(エビマヨ?)を購入。
近くにある後藤飲料水で作っているソーダも置いてあり、そちらはこの時間まだ空いていないのでここで買って飲むつもりだったんだけど、ビンはここで返却しなければならなくて、ホテルからここまで走ってきただけで寒くて震え上がっていたため断念。

外にあるテーブルでなんらかの惣菜パンを味を確認する間もないくらい慌ただしく口に放り込み、周りに誰もいないことをいいことにサッとインナーを着込んでとりあえず日の当たる場所へと走り出した。

ちなみにアンパンの方はバックパックに詰め込んでおいて後で食べたんだけど、パン生地はモチモチだし味わいも自然でかなり美味しかった。

どうせならメロンパンやらメロンパンラスクやらも買っておけばよかったなあ。

あと、やはりなんとなく体にプロテイン分がたりなくなる感覚というのがあるので、ロングライド中に適度にザバスを飲んでおくのは大事だな、と思った。


因島に渡って昨日来た道を戻り、生口橋に到着したけどここは今回の旅ではもう渡らないので、ここで見納めとなる。

そのまま南下して次なる目的地は大山神社

大三島大山祇神社と名前が似ていて間違えやすいけれど、サイクリスト神社としてはこちらの方が格上なので外せないところ。
ooyamajinja.net
うっかり神社の下に自転車を止めたせいで長い階段を歩く羽目になったんだけど、ぐるっと回って横から入っていけば自転車で境内まで入ることができたらしい。
ここでは自転車お守りを買うつもりだったんだけど、しまなみカラーのあまりお守りっぽくないデザインのものを見つけてしまってうっかり購入。

ビニールで包まれていて汚れにくい工夫がしてあるところが気が利いている。

最近はこの3点セットが鉄板。

ANA QUICPaynanacoひとつで飛行機にも乗れるし買い物もできて捗る。
iPhoneを取り出してもいいんだけどマスクをつけているといちいちパスコード入力しないとならないし、いきなりタッチ決済できるキーホルダーはかなり便利だ。

鍵はこの前紹介したフォールディングブレードロックのもの。

実はこれ、使い始めたら便利すぎて一番のお気に入りになってしまった。
重いからヒルクライムレースとかに使うには不向きだけど、ゆるポタグルメライドばかりしている自分には頼もしい頑丈さが嬉しい。
取り付け位置に関しては公式としてはシートポストを薦めているんだけど、これだと走っているうちに回転してきて太ももに当たってかなりうざい。

今回輪行するからサドルバッグをつけちゃうし、どこに鍵を取り付けようか迷った挙句、ハンドルの前につけてみた。

この位置だとケーブルにいい感じに固定されてズレないし、ケースから鍵を外すのも簡単で良かった。

チェーンロックもU字ロックも、ライド中にどこに固定しておくかが結構な難題だったりする。
そーゆー意味でも今回プレゼントで当たったブレードロックはなかなかの優れものだった。

閑話休題
大山神社社務所にいたお姉さんがとても親切で、これからゆめしま海道に渡ると行ったらパンフレットやら缶バッジやらをいただいてしまった。

(右はさっき紹介した自転車守りの裏側。マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ柄でかわいい)
パンフレットはスタンプラリーになっていたんだけど、残念ながら岩城島スタートでゴールの弓削島で記念品と引き換えるというシステムだったため、逆コースの自分はスルーせざるを得なかったのだが。


大山神社を出て続いて向かったのは鮮魚一色商店。
isshiki.sun.bindcloud.jp
ここの「おさかなバーガー」はサイクリスト必食と言われているので、開店と同時に飛び込んで揚げたてをゲット。

昼食にするからと伝えると、太刀魚のフライが揚げたてだから挟んでしまうとタルタルソースが溶けてしまうからと、わざわざ別に包んでくれるという親切さがうれしかった。


そしてここからは今回のメインルートであるゆめしま海道を目指していく。
www.kamijima.info

弓削島に渡るための家老渡港にいく必要があるんだけど、そこまでの道のりは激しくアップダウンがあってなかなかに厳しい。
途中に造船所があるせいで細い道にトラックも通るし、難易度が高かった。

一色商店がある因島の土生港から生名島にある立石港に渡り、そこから佐島→弓削島まで行ってからそのまま時計回りで岩城島まで戻るようなコースの方が正統派ルートなのかもしれない。


家老渡にたどり着くとちょうど渡船が出航する直前で、招かれるままに乗り込んであれよあれよというまに弓削島にたどり着いた。


まず目指したのは佐島にあるというUターンブルーライン
辿り着いたからといって特に何かあるわけじゃなく、佐島は島を一周する道がないため、南端まで伸びて突き当りでUターンしているだけ、というそれだけのスポットだ。

弓削大橋を渡って佐島に入り、ブルーラインに従って山の奥に入っていく。
ほとんど人が使わない道路らしく路面状況はなかなか悪い。
しかも、途中で謎の四叉路に出くわして困ってしまった。

方角的には南の方に行けばいいんだけど、どうにも怪しい。

これほど標識の意味がわからないのも初めてだ。
Googleマップとにらめっこして、どうやら長磯方面の行き止まりがUターンらしい。


降りていくと集落があって、レンタサイクルで走っているお姉さんを発見。
後ろからこんにちわ〜と声をかけ、
「Uターンブルーラインってこっちであってますかね?」
と聞いたところ、
「この先の道をまっすぐ。さっきも3人組が走っていったけど、人気のスポットなんですね」
との答えが返ってきたので、お礼を言ってさっそうと追い越した。

しかしダッシュできたのはそこまでで、すぐに厳しいアップダウンが連続する山道に入ってしまったので往生した。
獲得標高的にはたいしたことがないんだけど、自分のロードバイクはインナーローに入らない状態だし、道もあんまりよくないしで結構厳しい。
半分涙目で走っていると、さきほどのレンタサイクルお姉さんが言っていたローディ3人組が道の真ん中でたむろしていたので、
「すいませーん」
と声をかけてどいてもらった。

そこからしばらく下っていくと、ついにUターンブルーラインが姿を現した。

ここには特に何もないし、だれもいない。

あるのは瀬戸内海に面した絶好のビーチと、海と、青空と、海辺に浮かぶ漁師たちの小舟だけ。
まさにここには「何もない、がある」と言いたくなるような光景が広がっていた。

これを待っていたんだぜ、とさきほど一色商店で買ったばかりのおさかなバーガーを取り出した。

いやー、これ、世界で最も贅沢なランチかもしれないね。

惜しむらくはコーヒーが缶コーヒーだったことか。
大三島ブリュワリーのビールみたいに、コーヒー屋さんも淹れたてのコーヒーをボトルに詰めて、サイクリストが持ち運びできるようなサービスを始めたら需要が増えるのではないだろうか。

しばし休憩しながら、さっきのお姉さんはここまで来るだろうか、いや、あのアップダウンを見たら引き返すだろう、なななちゃんも確か途中で引き返していたしな、となどなど考えて、Uターンブルーラインを後にした。


次の生名島は特に寄ろうと思う場所を考えていなかったので素通り(ちょっともったいなかった)。
復路はフェリーの時間もあって序盤はあまりのんびりできないのが辛いところだ。

またここを走るとしたら、今度は広島から「とびしま海道」「ゆめしま海道(岩城島スタート)」「しおまち海道」を通って、福山まで行ってみるのも楽しいかもしれないな。
できることなら次は尾道ではなくどこかの島に泊まってみたい。


生名島を通り過ぎ、今回のゆめしま海道ライドの目玉、岩城大橋に到着。

今年の3月にこの橋が開通したおかげでゆめしま海道がひとつになり、ぐんと走りやすくなったことから今回走ってみることにしたのだった。
ライダーたちが写真を撮り終わるのを待って自分も撮影していると、あとからひとりのローディが走ってきたので、お願いして写真を撮ってもらった。
撮ってもらった時の常として
「そちらも写真撮りますか?」
と聞いてみると、
「いやいや大丈夫です」
と断られたので「おや?」と思ったら、その人が先に来ていたライダーたちと楽しく談笑し始めたのでびっくりした。
まさかロードバイクとオートバイで一緒に旅をしているのか!?
いやはや世界は広いなあ、と感心しながら真新しい橋を通り過ぎた。

11時を過ぎて小腹がすいてきたので岩城島でなにか食べるところはないかな~、とGoogleマップを開くと、すぐ先に岩城島BASEという良さげな店があったので寄ってみることにした。
warasibefarm.thebase.in

海沿いにあるこじんまりとしたおしゃれ風のお店で、看板には「本日のスパイスカレー」なる貼り紙が掲げられていて否が応にも期待が高まる。
ヘルメットとグローブを外して自転車にもしっかり鍵をかけて、さあカレーを食うぞと店に入ると
「すいません、今日は予約が入っていて食べ物全般売り切れなんですよ」
との無慈悲な言葉が。
だったら看板にそう書いておけよ!!!
アホか!!!
そう思ったものの怒りはあとで冷静にGoogleマップの口コミに書くとして、ここは冷静にレモネードなどを軽く注文。

客への対応は間抜けでもレモネードの味は裏切らない。
でもまあ、昨日寄った大三島の笑家の方が(価格に利益が入っていない分)美味しかった気がする。

店を出ると美男美女の二人組ローディが華麗に入店しようとしていたので、
「食べ物全部売り切れらしいですよ」
と伝えて入店を阻止。
彼らも
「こんな朝早くから売り切れなんて馬鹿にしてんの!?」
とプリプリ怒っていたので良かった。


さらに走っていくと岩城物産センターもあったんだけど、お土産を買っても重いしなあ、とスルーした。
www.kamijima.or.jp
しかし家に帰ってから調べてみると、中にある喫茶レモン・ハートでは噂のレモンポーク丼を提供していたというから地団太を踏んだ。ぐぬぬ


空腹を抱えたままに岩城島の左側を時計回りにぐるっと半周して北部へと向かう。
左手に生口島を見ながら交通量がほとんどない道を走るのは快適以外のなにものでもないんだけど、思った以上にアップダウンがあるので余計に腹が減った。
たまらず途中にあったヤマザキショップに立ち寄り、INゼリーで補給。

レジで会計をしていたら地元のおじさんに話しかけられ、
「積善山には登ったか?」
と聞かれた。
登ってないというと、ここまで来たなら絶対登った方がいい、眺めが素晴らしいぞ! と劇推しされた。
だけど山頂まで1時間かかるとしたら帰りのことを考えると結構厳しい。
それにとにかく腹が減っているので、また次に逆から走るときに挑戦するよ、とおじさんには答えておいた。

生口島に渡るための小漕港にたどり着くと、うれしいことに休憩所ではホットドッグを販売していた。
渡りに船とはこのことだ(渡船場だけに)。

ホットドッグにはフィッシュフライと鶏からの2種類があり、昼飯に一色鮮魚店のおさかなバーガーを食べたことだし鶏からをチョイス。

衣に味が染み染みで実にうまい。
海沿いを走ることも楽しいけれど、走り走った先々で海を眺めながら美味いものを食うことこそ、自転車旅の醍醐味なんだよなあ。


しばらく待って到着した船に乗り込むと、なんと昨日出会った和歌山のKさんが後から追いついてきた。
実は彼も自分と同じアルファーワンに宿泊していて、しかも朝7時と自分より1時間遅く出発した挙句、積善山ヒルクライムまで終えてから追いついてくるという超速ローディだったのだ。
聞けば積善山の登りは昨日の亀老山や開山公園よりも厳しいうえに、山頂の桜はほぼほぼ散ってしまっていたとのこと。
ヤマザキショップのおじさんの甘言に乗らずスルーしてきて正解だったか。
今回も相当ベストシーズンではあったけど、もう1週間くらい早い3月下旬くらいがしまなみ海道のベストオブベストなのかもしれない。


ゆめしま海道はしまなみ海道に輪をかけて誰も走っていないのですごく楽しかった。
卑近な例だけど、自分がいつも週末に走りにいく北海道の檜山地方に雰囲気がちょっと似ている。
風景が良くて海があって山があって、あとは天気さえよければそれだけで最高のサイクリングじゃん。

誰かと速さを競うわけでもなく、何か果たすべき目的があるわけでもなく、純粋に自転車で走りたいから走りにいく。
そしてその走りを究極的に楽しくしてくれる道路が、ゆめしま海道にはあった。

しまなみ海道にはもちろんまた走りに来たいけれど、次も絶対このゆめしま海道に来ようと思う。
また来るときは岩城島スタートで積善山ヒルクライムに挑戦してみようかなあ。
なんて、走っている最中から次に来る時のことを考えてしまうほどの体験だった。

というわけで今回も長くなったのでここまで。
次回は午後から始まる絶品づくしのグルメライドの模様をお送りします!