PikaCycling

Raleigh CRAとDAHON routeを買ったばかりのサイクリング初心者。ポタポタとポタリングを楽しもうと思っています。

【しまなみ海道】Day1 大阪縦断たこ焼きライド

そしてついに訪れたしまなみ海道への出発日。
飛行場までは家から自走して、前回紹介した横型輪行袋に颯爽と収納。

横型なので輪行手順は猿でもできるくらいに簡単なんだけど、自転車を飛行機に積み込むに当たって気を付けなければならない点は色々ある。

ひとつは、ツールボトルからCO2のボンベを抜いておくこと。

16gのやつは手荷物で普通に機内に持ち込めるので、上着のポケットに入れといて検査所でゴロゴロと出してやると手続きがスムーズ。
(CO2 16gという表記があるものを買うのがマスト)

もうひとつは工具について。
今回ライド中にゴープロマウントが緩んだので六角レンチで締めなおしたんだけど、それをツールボトルに入れるのを忘れてバックパックに入れっぱなしにしておいた。
それが帰りの保安検査場で見つかってしまい、危うく没収されてしまうところだった。

工具は折りたたまれていても伸ばした時の長さが15cmを超えると(どんな工具であれ)一発アウトなんだとか。
自分の携帯工具は折りたたまれているのは片側だけで、もう反対側は「いったん外して」向きを変える方法だったので九死に一生を得た(意味がわからない)。
まあ没収されても「新しいのを買うチャンスだ」と思うレベルのものではあるんだけど、これは気を付けておきたいところ。

大阪縦断たこ焼きライド

初の飛行機輪行は、ANAさんが丁寧に自転車を運んでくれたおかげで無事に到着できた。
自転車はターンテーブルではなく、手渡しなのも安心。

飛行機輪行を無事に終えて、次の課題は南港までの実走。
フェリー輪行のことをブログに書いたら、ツイッターで「大阪市内を自転車で走るなんて危険すぎる! 絶対にやめてください!!!」みたいなリプライが飛んできて、不安に駆られて夜もぐっすり寝られるほどだった。
だけど実際に走ってみると、学生時代に住んでいた札幌なんかよりも全然走りやすい。

まず、大阪はリアルに自転車の数が多い。
歩道を逆走してくるママチャリはもちろんとして、車道にはウーバーイーツーも縦横無尽に走っているから、ロードバイクで走っている人間の一人なんて普通に街の交通網に溶け込んでしまう。
ブルーラインが描かれた道も多いし、幹線道路も路肩が広いし、北海道よりも自転車という存在が街に馴染んでいるという雰囲気があって走るのが楽しかった。

というかはじめての街を走るのが単純に楽しすぎて、南東に進んでいけば南港にたどり着くだろうと方向だけ見て無暗矢鱈に走ってしまったレベルで楽しい。

観光名所も美味い店も全部スルーして駆け巡っているうちに、九条という駅前の商店街に通りかかったので、ちょうどおなかもすいてきたしタコ焼きでも食べてみることにした。

しかしうーん、あんまり美味しくない。
本場のたこ焼きとは言うものの、この情報化社会では作り方も材料も共有されているわけだし、日本中でそんなに差がないだろうか。
大阪市内で何軒も見かけるようなチェーン店だから仕方ないかもしれないけど、これなら銀だこでいいんじゃないかと思ってしまった。

そのあとコンビニを探してふらふらしていたら遊郭に入り込んでしまった。
人気のあまりいない薄暗い路地に沿って点々と料亭が並んでおり、店の中には白くライトアップされた女性たちがまるで陳列されたマネキンのようにポツンポツンと座っていて、ちょっとしたホラー映画のようだった。


いつの間にか日が傾いてかなり暗くなってきたので、今度こそ本気で南港を目指す。
Etrexのナビは都会だとあまり役に立たないので、Googleマップを使って音声ナビをaftershockで聞くというスタイルが強い。

だけどGoogleマップは今来た道を逆戻りして、港を大きく迂回するようなルートを指示してくるのでちょっと信用できなくなり、突っ切ってまっすぐ南に進んでみることにした。
そのうちにナビ音声もあきらめて自分が進んでいるルートに沿った案内をしてくれるようになったんだけど、ほっと気を緩めたときにあらわれたのが巨大な「なみはや大橋」だった。
www.travel.co.jp
大きな船を通るから橋も標高を稼ぐ必要があるというのはしまなみ海道の成り立ちとよく似ているんだけど、こちとら自転車が通ることなんて考えていないので斜度もきついしとにかく長い。

ほうほうの体で渡り切ってしばらく走ると、今度は地獄の三重ループ橋、新木津川大橋が待ち構えていた。

北海道内ではいろいろループ橋を巡ってきたけれど、大阪のそれは上りに来る人を拒絶するような峻厳なるいでたちで思わず足が震えた(疲れで)。

自転車でこういう橋を登るのは厳しいので、地元の人は渡船を使っているらしい。

2019年 - ドキュメント72時間 - NHK
次に大阪に来たときは、渡船巡りをしながら南港をめざすのもいいかもしれない。

Googleマップさんはこーなることを知ってて迂回する平坦ルートを教えていたのか!と後悔しながらようやくオレンジフェリーの乗り場にたどり着いた。

待合室内のサイクルスタンドにロードバイクをたてかけて窓口へ。
Web予約済みなのでさっそうとスマホの画面を差し出したところ、受付のお姉さんの口からとんでもない言葉が飛び出した。

「あの、お客さま?
 本日東予港から乗ることになってますよ」

とうよこう?
愛媛の???

なんと、うっかり予約を間違えて、行きと帰りを逆順で予約していたのだった。
サーっと血の気が引いていたところ、たまたま運よく空きがあったこともあり、受付のお姉さんの粋な計らいでその場で予約を取り直していただいて九死に一生を得た。
最悪ダメでも自動車と一緒に甲板に積んでしまえばいいんだけど、ロードバイクを客室に持っていくというのが今回の旅行のメインイベントの一つだったので本当にラッキーだった。

ロードバイクを押してエレベータを上がっていくと、連絡通路を通った先でバケツと雑巾を使ってタイヤを拭くという作業が発生する。
輪行袋にしまう手間を考えたらお茶の子なので、船内を汚さないようめちゃくちゃ丁寧に拭きあげた。

オレンジフェリーの船内に入ると高級ホテルみたいな豪華なロビーに出迎えられ、さらにこの日は訓練の日だったらしく、大勢の従業員があれやこれやと丁寧に案内してくれて王侯貴族のような気分になった。

そして部屋に入ればこの光景ですよ。

どんな5つ星ホテルよりも、部屋にマイバイクを持ち込める方が最高、という結論でよろしいでしょうか。

特に今回は荷物も多くて、サドルバッグには着替えがはいっているし、Insta360やらモバイルバッテリーやらが取り付けてあるので、部屋まで持っていけるのがかなり助かった。
シングルとデラックスとの価格差は約2,000円で、さらに輪行袋に包まない自転車を持ち込むと1,200円アップするんだけど、そのくらいなら全然元が取れると感じた。
(そもそもDXシングルだって最高でも10,150円しかしない)

加湿器もあるし、浴衣もあるし、アメニティグッズとしてフェイスタオルがもらえるし、個室だからプライバシーも守られるし、快適さが全然違う。

そして盲点だったのは携帯電話の電波。
船とはいっても瀬戸内海の真ん中を走るので寝るまでの間普通にスマホを使えていたのだけど、船の外側にあって窓があるDXとは違って、一般的なシングルの部屋は船体中央にあるため携帯電話の電波が通じにくいらしく、これだけでも随分な差だと感じた。

船内レストランも豪華

一息ついてまずは腹ごしらえだとレストランへと繰り出した。
入口には各種地酒や焼酎のサーバーがずらりと並んでいて思わず唾をのんだんだけど、コロナ禍のため販売休止。
その代わり、マンボウが明けてカウンターでは普通にお酒を買うことができるようになっていたのでセーフだった。

お目当てはもちろん、宇和島鯛めし。

ブランド鯛の鯛一郎くん(函館の回転寿司でも食べられる)を、生卵とだしを溶いたタレに浸してご飯に乗っけて食べるという究極のメニュー。
そしてお供には愛媛の地酒、石鎚の純米吟醸という完璧な布陣だ。

それにしてもこの料理、美味い鯛を食べ飽きた人向けのメニューという感じさえもする。
別途わさびと醤油をもらって普通に刺身として食べても美味いのに、そこにあえて卵を絡めていくという貴族的発想だ。

あと、小鉢と漬物がやたらと美味しかったのが良かった。
トラックドライバーが多いせいか周りのお客さんは唐揚げ定食の注文率が高く、復路で乗船するときにはそっちに手を出してみようと思った。

お風呂も広々

おなかがいっぱいになったところで展望大浴場へ。
展望という割に外の景色は全然見えないけれど、広い湯船に入れるというだけで天国気分。
特に翌日に泊まったホテルはユニットバスしかないタイプだったので、疲れた体をたっぷりのお湯でふやかす喜びが味わえず、オレンジフェリーのことを懐かしく思い出したりもした。


そんな感じでオレンジフェリーはホテルとしても快適なのにそれが寝ているうちに動いて目的地まで連れて行ってくれるという神サービスだった。
www.orange-ferry.co.jp

地元だと青函フェリーしかなくて、3時間40分という微妙な時間だから寝ているわけにもいかないし、雑魚寝の2等寝台でいいし、そもそも新幹線の方が速いじゃんってことでほぼほぼ使う機会がないからフェリーという乗り物自体の存在を見くびっていた感がある。

おなじく大阪南港から出ているフェリーとしては、さんふらわあ別府と志布志がそれぞれ1955発なので、次にマイルがたまったら九州行は全然ありかもしれない。


夜中にふと目覚めて外を見れば、頭上には瀬戸大橋が。
streamable.com
これは吉兆に違いない。
明日からのしまなみ海道ライドはきっといい旅になるだろうと思いながら再び寝床についたのだった。