高雄のドミトリーは居住性が最高で、この日も5時にすっきり目覚めました。
歯を磨いて顔を洗ってフロントに下り、地下の倉庫に続く謎スペースから自転車をとり出して出発です。
明け方の頃はまだ交通量が少なくていいんですが、郊外にある工場地帯に差し掛かる頃にはめちゃくちゃな通勤ラッシュで、煤やら埃やらで体中が真っ黒になりそうなほどの排気ガスに包まれます。
だいぶへこたれてきたところで、肉まん屋さんを見つけたので朝食を取ることにしました。
ここはパン屋のように、並んであるものをトングで掴んで会計するシステムなので楽勝です。
ついでにレジで「ビントージャン(冷たい豆乳)」まで注文して完璧な布陣。
ここの肉包がもう、絶品。
作り置きなので多少冷めてはいるんですが(あとで聞いたら蒸し器の中の熱々のも選んで良かったらしい)、
中の餡の生地への染み込み方が抜群で後を引く旨さだったので、食べおわったあとに今度は胡椒餅も購入しました。
これはジャージのポケットに突っ込んで、東港まで走った後にいただきました。
フランスではジャンボン・サンドイッシュを、台湾では胡椒餅をジャージのポケットに入れて走る私だw
ここから南に進んでいくと、どんどんと田舎になっていきます。
なにか食べたいなと思っても適当な店がなかったり、アップダウンやら向かい風に苦しめられているうちにお腹が空いてきました。
さらには気温はどんどん上がっているのにボトルの水は尽きそうで、ちょっとまずったかなあ、と後悔し始めてきた頃にようやくセブンイレブンを発見。
日本でも有名な海底楼の春雨スープと、鶏チャーシューの大型おにぎりで一息つくことができました。
ずっと都会を走ってきたのであんまり意識しませんでしたが、田舎になると補給の重要性がかなりあがってきます。
ゆっくり休んで体力も復活したところで、再び走り出して台湾の最南端に到着しました。
ここでは二人組のおじさんたちが仲良く話していたので、ついでに自分の写真も撮影してもらいました。
彼らがいなくなった後はしばらく誰も訪れず、風の音をBGMにここまでの旅のことを振り返りながらしばし海を眺めて贅沢な時間を過ごしました。
とはいえ、最南端までのルートは結構なアップダウンがあって大変です。
往復でへとへとになったところで、隣接する鵝鑾鼻公園を訪れると、オフシーズンなだけ合って閑散としている中、かろうじて空いているお店を発見。
ご飯ものもいけるようでしたが、メニューの中にマンゴーのスムージーがあったのでこれに決めました。
うめー!
脳に来る美味さ!
冷凍でこれだけ美味いんだから、真夏に来て生のマンゴーを一度は食べてみたいなあ(自転車では来られないけど)。
ちょうどよく体も冷えてリスタート、するも、今度は前方にゴミ収集車がいて全然先に進めません。
追い越せばすぐ越されて、その先でまた収集を始めるからすぐに詰まってしまってという感じなので、あきらめて昼食を取ることにします。
この墾丁はリゾート地なので、おしゃれなカフェで水出しコーヒーとチーズハンバーガーをいただきました。
帰り際には猫が撫でさせてくれるというサービス付きで、家の猫達と離れてしばらく経つのでかなり癒やされました。
観山民宿
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台湾最南端という折り返し地点を迎えて、次に目指すは台湾の東側ですが、そこへ行くにはかなりの山越えを要求されるため、この日の宿は山の麓にある四重渓という温泉地にしていました。
ここでは客室温泉付きのドミトリーがあったので、温泉でゆっくり疲れを取った後に峠を越えるという作戦です。
四重渓まで登る途中に陸軍の訓練所があるあたり、ニセコに近い雰囲気があります。
温泉街の方は、その名称からイメージできる雰囲気よりもだいぶ寂れ感があるこじんまりとしたもので、それでもセブンイレブンと食堂も2,3軒開いていたので必要十分という感じです。
宿の方はというと、もともと別荘だった建物を民泊にしているような建物で、若いお兄ちゃんが出迎えてくれました。
翌朝5時ころに出発すると言うと、自分は1階で寝ているから起こして鍵を返してくれとのこと。
宿代の2000元 = 10,000円(高い!)と支払うとBooking.comを開けと言い、言われるがままに操作をすると宿をキャンセルさせられました。
多分こうすることで手数料分をちょろかましているんだろうなあ(汗
さて、温泉は、というと客室に立派な浴槽があり、露天風呂ではないもののガラス張りになっており外の風景がよく見えます。
これはたいしたものだ、と感心していると、
「もしお湯がぬるかったらこれを調整すると良い」
と、バルコニーにある湯沸かし器を指さしました。
これ、温泉じゃなくてただのお湯なのでは……?
いろいろ疑念が残る宿でしたが、湯船に使ってサッポロ黒ラベルを飲めるというのは至福のひとときです。
ここは当然洗濯機などはないので、素直に着替えて街へと繰り出しました。
途中で一軒、地元の食材を使っているというお店があったのでそこに決めました。
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注文したのは地鶏と漬物の鍋、イノシシの黒こしょう炒め、あとは白飯とビールです。
この鍋のスープがいかにも滋味!という感じに味わい深く、ご飯といっしょに相当量飲んじゃいました。
イノシシも脂のコクがすごくてビールが進みます。
という感じで本日は160kmほどを走破。
距離的にはたいしたことはないんですが、高雄郊外の排気ガスにだいぶ気管支をやられて、鼻水はとまらないし鼻をかむとすぐに鼻血が出るという有り様。
さらには北回帰線を越えて太陽光の厳しさが増したせいでちょっと夏バテ気味になっていました。
なにせ最高気温10℃、最低気温はマイナスの世界から来てまだ一週間もたっていないので、暑熱順化もなにもあったもんじゃありません。
それでもまだ、最南端までたどりついたのであとは太陽を背中に背負って走ればいいというのは安心材料ではあります。
折り返しを迎えて、明日は山越えを経て池上へ。
その次の日は花蓮でサイクルトレインに乗って頭城。
そして最終日は最東端、最北端を経由して台北に戻ってゴール、という予定。
ここまで順調に来れたけど、なかなかそうは問屋が卸してくれないわけでした(続く