PikaCycling

Raleigh CRAとDAHON routeを買ったばかりのサイクリング初心者。ポタポタとポタリングを楽しもうと思っています。

【Road to PBP2023】ランブイエからPC1 VILLAINES-LA-JUHEL(203km)

最終U組のスタート時刻、21時がついにやってきた。
DJの掛け声とともに一斉に走り出す!
とは行かず、列の先頭の方からじわじわと進んでいく。
実際の計測地点は待機場所からしばらく進んだ公園の出口付近にあり、そこを通過してからが本当のスタートとなるので、遅くなっても慌てることはない。
自分は定刻から2分31秒遅れてからカウントが始まったので、8月20日(日)の21時2分31秒の90時間後、8月24日(木)の15時2分31秒がタイムリミットになる。
まあ、2分差で足切りされるかどうかの争いをしてちゃダメなんだけどねw

ランブイエを出発してからしばらくは、混みあっているせいもあってなかなかペースが上がらない。
最初に頑張りすぎるとよくないと聞いていたけれど、それにしたって25km/hくらいで巡航したいなあ、と思っていた。
そうすると徐々に前に飛び出していく人が現れ始めたので、自分もそれに乗って続く。
おなじく北海道から参加していたN君から、
「後ろつかせてください!」
と声をかけられたのでしばらくは一緒に走っていた。

そのうちに結構速い集団が形成されて、イタリア人が2、3名と、特に腰のところにBRESTと書かれたおじさんがリーダー格になって、猛烈なペースで突き進んだ。
21時スタートなのですぐに日没になり、特に暗い街中はどこで曲がればいいか分かりにくいため、トレインを組んでいると迷わなくていいから捗る。
街の入り口には車が高速で突っ込んでくるのを防ぐため、道路にどでかいでっぱりがあり、そこを乗り越える際には「バンプ!」と叫んで後続車に注意を呼び掛けるなど、かなりマナーが良くできた集団だった。

にしても、トレインで走るのは緊張感がある。
そもそも巡航速度が速いし、前の自転車にぴったりくっついていくから前方の状況がよく分からない。
特に道路状況が北海道並に悪くて、穴ぼこがボコボコ空いているから前の人がよけた穴に自分だけ突っ込んだりして嫌な感じだった。
なのでちょっと距離を置き気味にして走っていたら、前述のBRESTおじさんから
「もっとクロースに近づかないと意味ないぜ」
的なことを言われたけれど、そんなのこちとら百も承知だぜ、という気分である。

風よけで空気抵抗を減らして速度を稼いだところで、他の人にぶつかって落車したり穴ぼこにハマってパンクをしたら一気にマイナスになっちゃうわけだし、ペースメーカーくらいの気分でついていくのがいいかもしれない。
集団の質もいろいろあって、地元フランス勢やイタリア人軍団はかなり信用できるけど、アジア系、特にインド人などはそもそも走りが怪しかったりして、誰の後に着けばいいかというのは結構難しい問題だと感じた。

特に今回はDHバーを装着してきたこともあって、全行程1,200kmのうち90%くらいはソロで走っていたけど、特にそれで問題になることもなかった。
オールロードバイクレボリューションによれば、集団走行による空力軽減効果はDHバーを使っているのとそんなに変わらないらしい。

それだったら、諸々のリスクを考えたら自分はソロで走った方が楽だ。
北海道でもいつもそうやって走っているし、逆に道産子ランドヌールだったら、普段のブルベの延長くらいの感覚で簡単に完走できるんじゃないかな。


しばらく爆走に付き合って、疲れてきたので集落のはずれでトレインを抜け、街灯の下で一休みすることにした。
さすがに119km休みなしに走るのは無理があるしね。
信号もないから、足を休めるタイミングが全くないんですよ。

ぼんやりしていたら後続の人が
「ハーイ」
などといって同じ場所で停まったのでカタコトの英語でコミュニケを試みた。
彼はドイツから来た人で、PBPに参加するのはもう3回目だそうだ。
隣の国だから来やすくていいなあ。
それに対してこちらは、ワイは日本の北海道から来たんやで、ドイツには”ホッカイドウ”って名前のカボチャがあるらしいな、いつかオクトーバーフェスでドイツビール飲んでみたいわ、ワハハ、などとテキトーなことを言った。
ついでにAJお土産バッジを「ジャパニーズアニメーションキャラクターや」と言ってプレゼントしたりと、つたない英語力で頑張る。

自分の英語力では、相手の言っていることは分かってもそれに対する返事が出てこないので、とにかくテキトーにまくしたてた方が楽だ。
だいたい相手も似たようなことをしてくるしw

そんな感じで異文化コミュニケーションをクリアして、外国にいる感じがだいぶ出てきたところで最初のウェルカムポイントに到着した。

WP1 Mortagne-au-Perche(8/21 01:32 119km)

今回はトレインに乗っていたおかげもあって、最初のWPであるペルシェまで119kmを4時間32分、平均26.25km/hという快適なペースで到着できた。

ウェルカムポイントはPCじゃないので立ち寄る必要はないんだけど、いい感じの距離を走ったので適当に覗いておくことにした。
自転車を停めてまず気になったのは、ソーセージが焼けるいい匂い。
外のテントではグリル焼きソーセージのサンドイッチを売っていたので早速注文してみた。

が、これが大失敗。
昼からずっと焼いていたのか炭みたいに固くて苦くて食べられたもんじゃなかった。
これは最終組スタートの数少ないデメリットのひとつだろう。

休憩所になっている体育館の片隅では飲み物を売っていて、そこでは切りたてのパンとハムとチーズを挟みたての作り立てサンドイッチが買えたので、口直しに買いなおした(これは美味しかった)。

体育館の奥の方は売店になっていて、ジュースや水も売っていた。
ここでミネラルウォーターを買っておこうと思い、0.5リットルのを2本買うか、1.5リットルのを買うか、ぼんやりと迷ってしまった。
意外と疲れているらしくて思考が散漫になっており、それを振り払うようにして大きい方を購入。

ボトルに水を詰めていると見慣れた顔の人が歩いているのが見えた。
なんとそれは、前日受付の時に電車で一緒になって、切符代を払ってあげたおじさんだった。
声をかけると向こうも自分のことを覚えていて、ついに電車賃の3ユーロを払ってもらった。
ついでに余った水を譲ることができたのでWin-Winである(?)

リスタートするため休憩所を出ようとすると、今度は北海道のKuさんとすれ違い、
「最終組なのにもう追いつかれたの? 速いねえ」
と、お褒めの言葉をいただいた。
「速いトレインに乗れたんで調子良かったです」
と答えつつ、頭の中で
(KuさんはR組で、自分はU組だから3つ前か)
と計算していた。
最終組の良いのはこれで、とりあえず自分と違う組の人を追い越していけばまずタイムオーバーにならないからめちゃくちゃ気が楽なのだ。


そんな感じでご飯を食べたり話をしていたら、あっという間に1時間近くたってしまった。
本当は20分で出る予定だったんだけど、それでもペルシュまで5時間半かけてくる予定が4時間半で収まったので、むしろ計画より速いペースではあった。
だけどやっぱり足を止めると道中で頑張ってきた部分がチャラになってしまうので、休息は計画的にとらないと危なないぞ、とも気を引き締めた。


次のPCであるヴィレンヌ・ラ・ジュエルまでは、真夜中なので特に写真は無い。
さきほどまで一緒だった人たちも当然いなくなっているので、真っ暗な道を一人で突っ走るだけだ。

結局いい感じの集団に出会ってもPCに入ればバラバラになるし、トレイン頼りの考え方は捨てた方が楽なんじゃないかな。
追い越していくのは自分よりも速い人だから足を使わされるし、遅い集団に追いついたって邪魔なだけだし。
まあ、自分はソロが良くって最終組を選んでいるわけだし、人の考え方はそれぞれなんだけどさ。

知らない道を一人で走っていても、かならず前の方のはるか遠くには誰かが走っているので迷う心配もないし、見知らぬ外国を走っているという不安はほとんど感じなかった。

それにしても、夜のフランスは結構冷える。
ペルシュを出たのが2時半で、そこから日の出にかけては15℃くらいまで下がるので、夏の北海道に気候がよく似ている。
この日の服装はAJジャージの長袖に、薄手のモンベルジオライン、さらに腹巻と、アンダーは同じくAJビブショーツとレッグウォーマー。
ペルシュを出てからレインジャケットも着込んだけれど、それでも結構上半身が寒い。
前回はこれよりさらに10℃低くなったというし、新聞紙を体に巻いてでもいないとやっていけないんじゃなかろうか。

PC1 VILLAINES-LA-JUHEL(8/21 06:11 203km)

半分凍えそうになりながらPC1のVILLAINES-LA-JUHELに到着。
この区間の84kmは4時間半、平均22.60km/hで来られたのでまだまだ良いペースだ。
時刻は6時11分で、スタートしてから9時間ちょいで200㎞走っているので、グロスで考えても悪くない。
いつも走っている北海道ブルベのペースだ。


ここのPCは通路の両サイドが駐輪場になっているので狭いし混んでいるしでかなり停めにくかった。

無理せず奥の方まで進んでしまった方が空いているので、次回参加する人はそうした方がいいと思う。

コントロールに行ってブルベカードにスタンプを押してもらって食堂に向かうと、なんだかびっくりするぐらい品ぞろえが少ない。
ほとんどのものはすでに食べつくされてしまったのかもしれない。

仕方なくチョコパンとコーヒーとオレンジジュースをもさもさと食べるも、これでは全然おなかいっぱいにならない。

ちなみにアミノサウルスはYoutuberのまさくんの動画でダイマしてたので買ってしまったんだけど、めちゃくちゃ効果がありそうな味がした。
いまから思えばこんな序盤ではなく、折り返してから飲めばよかった。

食堂を出てあたりを見回すと、駐輪場となっている通路の反対側にも建物があり、そちらもレストランになっているようだった。
朝6時にも関わらず子供たちが案内のために働いていたので、嬉しくなっておみやげにAJバッジをあげた。

おみやげ缶バッジは10セット買ったけど、自分用の1セットを除いて最後までに全部配り終えることができた。
私設エイドは頑なに「ノーフィーだ」といってお金を受け取らない人も多かったので、こーゆーお土産を持って行くのは非常に捗る(かさばるけど)。
1回だけ、子どもにあげたら「またこれか」的な顔をされた(そのあとでメルシームシューと笑顔をくれた)ので、意外とかぶらなかったのかな。
オリジナルのデザインの缶バッジもいいけれど、メルカリとかで弱虫ペダルのグッズを安くゲットしておくのも手かもしれない。


それはさておき子どもに案内されてレストランに赴くと、温かいスープもあって非常に良かった。

ボロネーゼ(「ボロ?」と聞かれる)は味がしっかり効いていて美味しかったし、PBP飯についてよく言われている”絶望的に味がない”という感じではなかった。
PCと違う施設だったから良かったのかもしれない。
(あとで聞いたところによると、先に入ったのが軽食コーナーで、こっちがレストランだったらしい。うまく見つけられてラッキーだった)


トレイを持ったまま食堂まで下りていくと、先ほどのコントロール横の軽食コーナーに比べてガラガラに空いていて非常に快適。
やっぱり他の人もこちらのレストランを探せないでいたのかもしれない。
ご飯を食べ終わった後は、日が出るまで30分ほど仮眠をとることにした。

そんな感じでPBPの最初の200㎞を終了。
普段の目標の10時間を下回るタイムでで走ることができたので、かなり良い調子だと感じていた。

ここまで200kmで獲得標高1,500mくらいあるんだけれど、感覚的にはスーパー大平坦ステージだった。
峠があるわけでもなく、街の中に入るときにちょっと登るくらい。
アップダウンはしているものの、登りで稼いだ重力エネルギーを全部下りで使い切れるタイプの素敵な勾配だったので全然苦にならなかった。
フランスの道はかなり北海道っぽいので、いつものペースを守れたのかもしれない。
そーゆー意味では、直前にトカプチ400で十勝平野を走ってきたのはちょうどいい予行練習になったと感じている。

というわけで次回はPBP2日目の様子をお送りします。
フランスの予想外の暑さにどう立ち向かったのか、立ち向かえなかったのか、その戦いの行方はいかに!?