ロードバイク界には、サドル沼という沼があるらしい。
まあ、ロードバイク自体が深くて大きな沼ではあるんだけど、肩までしっかりと沼に浸かったあたりで心まで沼の色に染まってしまうため、あまり問題ではなかったりする。
だけどサドルについては個人の尻との相性があるため、自分とあったサドルを求めてさまよい続けるサドルゾンビと化してしまうらしい。
尻の形は人それぞれなので、誰かからいいとオススメされても全然合わなかったり、値段が高いからといって合うとも限らないし、長時間乗って初めて相性が分かるので気軽に試せないところが恐ろしいところだ。
自分の場合はラレーCR-Aについてきた標準のサドルで普通に200kmくらい走れてしまうし、サドルの問題というよりもしっかりとしたパッド入りのビブショーツを履いたり、クリームを塗ることで対応できた。
なのでサドル自体に特に不満があったわけではなかったんだけど、乗り始めてから2年以上たってロゴがかすれたり表面が剥げてきたので、そろそろ替え時だろうと考えた。
交換するサドルの候補はいろいろあって、その中でも最右翼だったのがBROOKS。
クロモリのフレームにはレトロな革サドルがよく似合うと思う。しかしこのサドル、かなり硬くて尻の形に馴染むまでが苦行だという。
オイルを塗ったり定期的なお手入れも必要だというので、ロングライド用というよりはオシャレに街乗りを楽しみたい人用のサドルかもしれない。
一方で、革サドルだけどブルベどころか1,300kmのパリブレストパリでさえも使えてしまうというのがセラ・アナトミカ。
性能的にはすごく良さそうだしカッコいいんだけど、お値段があんまりかわいくない(約2万円)なのが最大の欠点。ちなみにセラ(Sella)とはイタリア語でサドルを意味する言葉なので、セラ〇〇という名前のメーカーはほかにもセライタリアやセラサンマルコ、セラSMPなどたくさんあって目移りがしてしまう。
ほかに良さそうだったのはfi'zi:kのサドル。
フィジークはサドル以外にもシューズやバーテープなど、ちょっとオシャレ系のパーツを作っている印象があるうえ、サドルはアンタレス、アリオネ、アリアンテの3種類があって、それぞれライダーの乗車姿勢に合わせてカスタマイズされているのだという。見た目もカッコいいしかなり揺れたんだけど、どうせならフィッティングからしてもらえる店で買いたいしなあ、と思ってしまった。
さんざん悩んだ挙句、バーテープもGORIXなんだしサドルも見た目fi'zi:kっぽいやつでいいんじゃね? というところまで追い詰められた。
値段も安いし、もし合わなくてもお財布へのダメージは小さい。しかしバーテープは主に見た目で選ばれるものだから性能差はほとんどないだろうし、掌に比べてデリケートな尻に接する商品なわけだからもうちょっと他にないかなあ、と思ってさらに探索を続けた。
そうしたところ、セラ・ロイヤルという謎のメーカーのサドルがやたらと安く売られているのを見つけた。
価格は2,000円とフィジークの10分の1。
評判もいいし、商品名で検索してみたらブルベで使っている人もいるくらいしっかりした品質のようだった。
調べてみたらセラ・ロイヤルはれっきとしたイタリアのパーツメーカーで、ここの高級路線のブランドがfi'zi:kであるとのこと。
それなら全然問題ないだろうと、R.e.medの購入を決定。
見た目はサイバーでカッコいい。
Recovery ZONEと書かれたサドル後部は平らになっていて、どっかりと座ってのんびり漕ぐことを想定してるんだろう。
新モデルのR.e.med 2も併売されていて、こちらは座面がラウンド形状になっていて「点」で座ることになるため、よりレーシーなのかもしれない。
これまで使っていたラレー純正サドルがわりとフラットだったので、多分旧モデルの方が違和感なく使えるはず。
早速週末にロングライドに使ってみることにしよう。