MTBにスパイクタイヤをつけて冬期間も大手を振って自転車通勤ができるようになりました。
とはいえ最初のころは失敗も多く、試行錯誤を重ねてなんとか形になってきたので自分の冬季自転車通勤スタイルをご紹介します。
服装について
夏場よりも想定が難しいのが冬の服装でした。
なんといっても、とにかく暑い!!!
寒いの間違いではなく、汗だくになるぐらい暑いんです!
家を出ると寒いからといって冬着で外に出ると、漕いでいるうちにどんどん発熱して防寒着の中にこもってサウナみたいになっていました。
外は氷点下でも職場に着くと一人で汗だくという訳の分からない状態です。
試行錯誤の結果に編み出されたのは「上はウィンドブレーカー1枚でいい」という結論です。
モンベルとか高級品じゃなくて、ワークマンのイナレムの上下で十分。
workman.jp
これをシャツの上に1枚羽織る、これが最強でした。
乗り出しこそ少し肌寒いものの、5分もしないうちに体が温まってくのでちょうどよく、氷点下ひとけたくらいだと外の気温と体温が平衡して汗だくにならずに済みます。
最初のうちは夜は冷えるだろうとダウンジャケットも持っていってたんですが、全然いりませんね。
インナーが大事
冬は防風&汗冷え対策がキモなので、Tシャツは速乾性能が高いものを選ぶと良いです。
秋冬に着るTシャツをすべてヒートテックにしていたんですが、これは暑すぎるし汗の乾きも悪いので、激しく運動するときに着るには向いていません。
特に良かったのはミズノのクイックドライアンダー。
おたふく手袋 オールシーズンインナーも買ってみました。
これは布地がメッシュ地でべとつかず、汗の乾きも良かったんですが丸首しかないのがネックでした(首だけに)。うちの職場は冬場もノーネクタイなので、シャツの首元からTシャツが見えちゃうんですよねえ。
逆に、見えることを想定して黒を選ぶという選択肢もなくはないけれど……。
おたふく手袋でVネック半そで白があるのはJW-622 BT冷感・消臭パワーストレッチという春夏モデルしかないところが残念でした。さすがに冬に冷感は寒いと思われ。
首元はしっかりしておけ!
アウターがウィンドブレーカー1枚で十分なのは、一番寒さに弱い首元をガードしているからですね。
ただし持っているのがスキー用なので、顔を覆うと呼気で顔が蒸れてくるのが難しいところ。
スポーツ用のネックゲーターがあったほうがいいかもしれないです。
東川町に行くときはバラクラバをかぶっていく予定です。
手袋はVBLで
サイクリング中に手が冷えるのは手袋にしみ込んだ手汗が蒸発するさいの気化熱が原因なので、インナーにニトリル手袋をしてしまえば解決です。
使い捨てとはいえ一週間以上は使えるのでコスパも良し。心拍数が高いうちは指先まで血行がいいので冷えとは全くの無縁です。
週末にロングライドするときはちゃんとIntro Stinger5をつけてますが、通勤時はアリエクで買った格安冬用サイクリンググローブで十分。というかアリエク、衣類の質は結構いいのでおススメできますね。
ただしこの前の函館山登山のように、運動をやめてそのまま屋外に1時間立っていなければらないようなシチュエーションではむしろ湿気のバリアが凶器と化すので、そういった場合は替えの手袋を用意してた方が無難です。
足元は普通に冬靴が強い
初期はMTBにSPDペダルをつけていたんですが、冬道は路面状況が常に変化しており、凍結だったりシャーベット状だったりしていて一定ではないので、冬場はフラットペダルの方が安心です(転びやすいし、バランスもとりやすい)。
SPDシューズはパワーを確実にペダルに伝えるため、足にぴったりした形のものが多いんですが、真冬だと実はこれが弱点になっている感じがします。
というのも上着と同じく、温かさを保つためにはアウターと素肌の間に一定の空気の層が必要なんですが、あまり密着しすぎると靴の外皮と肌までの距離が近すぎて断熱ができなくなってしまう。
こうなるとメリノウールの靴下を履こうが重ね履きをしようが無意味。
それよりは普通の防水の冬靴を履いていたほうがよっぽど温かいです。
そんなわけで、最近はCHROMEのSTORM 415 TRACTION BOOTを履いていくことが多いです。
外皮は完全防水フルグレインレザー、パナレーサーとのコラボ商品なので、アウトソールはグラベルキングのパターンを採用しておりフラットペダルとの相性もバッチリ。
pikacycling.hateblo.jp
正直な話、汗対策さえしっかりしてしまえば汗だくで困ることがないので、むしろ夏場よりも自転車通勤は快適でした。
気温が高いとどんな服装でも汗まみれになりますからね……。
自転車の装備
タイヤはアイススパイカーPROを装備しているので凍結路でも安心。
札幌民はファットバイクじゃないとタイヤが細くて大変だと言いますが、函館の方は深く積もることがあまりないのでこの程度の太さで問題ないですね。車が掻き起こしたモサモサ雪は苦手なので、尻を浮かせて全身でバランスを取り、トラクションをかけずに惰性で乗り切ることにしています。
足をペダルから離して重心を移動させることも多いので、やはり冬場はフラットペダルの方が便利。
ただし、手持ちのフラペはDAHON用のFD-7しかなかったので(折り畳み機構が無駄)、これは新しく買いなおしたいところ。
そして尻でいうと、MTBは立ったり座ったりが多いし、荒れた路面を走るから尻へのダメージが大きいんですよね。
ロードバイクでロングライドするときは摩擦による痛みなら、MTBの場合は打撃系。
純正のサドルはちょっと堅めだったので、クッション性が高いと評判のセラロイヤル リメッド3を購入。
amzn.to
PBPはR.e.medで走り切ったのでセラロイヤルへの信頼度は高いんですが、これも結構いい感じです。
特に今回のはショートサドルなところが良くて、冬はズボンの上にもう一枚防寒着を履くから分厚くなっちゃうけど、ノーズが短いから内腿との干渉が少なくて良いです。
ロードバイク用のも次はこれにしようかな。
バーセンターバーは必須級!
改造ポイントで忘れちゃならないのがバーエンドバー(というかバーセンターバー)。
もうね、これ無しで乗るのが考えられないぐらい気に入ってます。このバーだけ握って走ることはほぼないんですが、ここに親指をひっかけてハンドルを握られるのが便利。
ちょうどキーボードをたたくような手の置き方、手のひらの付け根をハンドルバーに押し付けて、親指と人差し指でセンターバーを握ることになり、姿勢がとにかく楽なんですね。
その姿勢のまま腕をひねって小指側を下に向けるとドロップハンドルの持ち方になるので、ロードバイクに乗りなれているから自然に感じるのかも。
あとやっぱりこれがいいのは、バーセンターバーを握りながらブレーキも違和感なくかけられるところですね。油圧ディスクブレーキなので、小指と薬指で軽く握るだけでがっつり止まるし。
これがDHバーだとブレーキと手が離れるからMTBには向いてないような気がします。
惜しむらくはとりつけるときにバーを通す形になっているため、グリップを外さないとセンターに取り付けできないところ。
DHバーみたいに半円のパーツを組み合わせる形ならいいのになあ。
ライト
ライトはキャットアイのGVOLT70を新規に購入。
MTBはハンドルバーのいろんな場所を持つことになるので、下側に取り付けして持ち手の邪魔にならないところが気に入っています。Volt400でも良かったけど、通勤では市街地しか走らないし、週末も夜は走らないのでこのぐらいでいいんじゃないかな。
夜といえばランナーがよく腕につけている光るバンド、これを使ってみたらめちゃくちゃ目立つので良かったです。
さすがにブルベで使ったら他の参加者から怒られそうだけど、通勤なのでこのぐらい派手な方が良さそう。
くるっと腕に巻き付くタイプなので手間が要らなくて便利でした。
バッグ類
そのほかの小物としては、トップチューブバッグは家に余っていたトピークのもの。
クロモリフレームのラレーだと斜めに傾いてきて使えず、ヤフオクで出すのも面倒なので死蔵していたところ、ちょうどよく使えたのでラッキーでした。主に羊羹とiPhoneを入れています。
フレームがスローピングでボトルケージが一つしか取り付けられなかったため、パンク修理キットや鍵などはコーナーバッグに収納。
完全に見た目だけでFAIRWEATHER corner bagにしたんですが、防水はしっかりしているし、グローブをしたままでも開け閉めしやすいジッパーだったり使い勝手も良くてなかなかです。フェンダー
悪路を走るのでフェンダーは必須装備なんですが、これはちょっと失敗したかな……。
まずフロントですが、サスペンションの穴に「下から」差し込んでバーエンドキャップのようにねじを締めて固定するタイプです。ということは振動するたびに上下に力がかかるので、何度増し締めしてもすぐに落ちてきて外れてしまうという欠陥品。
あと施行アンカーによる天井板の崩落事故みたいなもんですね。
これはさすがにベルクロ固定型のものを買いなおしました。
そしてリア。
シートポスト固定型なので悪くはないんですが、取り付け部分がかなり上になるためサドルバッグが取り付け不能になるという欠陥が……!東川町に行くときはサドルバッグを使いたいし、路面が解けてるということもないからフェンダーなしで行く予定。
MTBの装備は人によってまちまち
いろんな人からアドバイスを聞いたりネットで調べながら装備を調えていったんですが、わりとどこでも走れてしまうMTBというのは、その万能性ゆえに「その人にとっての最適」がずいぶんと分かれるものなのだなあ、と思いました。
特に冬は積雪量も路面の状況も違うし、どこに住んでいるか、どこに走りに行くかでも全然違う選択肢になります。
ロードバイクなんて結局のところ、なんだっていいじゃないですか(暴論
エントリークロモリロードでコンポがSORAでも600kmのブルベは走れるんだから、装備としては必要十分。
その上で電動コンポとか余計なものを付け加えていくのは、自分の弱点を補うためのオマケに過ぎないわけで。
「舗装路の上を走る」というのが最大の強みだから、それ以上のものは何もいらない。
世界からアスファルトの地面が失われたときにこそ、本当の選択肢が生まれてくるのかもしれない。
スノーでもグラベルロードがいいという人もいれば、MTBにドロップハンドルをつけて雪上ロードバイクにする人もいる。
www.cycling-hokkaido.com
最近グラベルロードがにわかに熱いのも、単に高くて軽いパーツを買えば正解という価値観から脱却して、本当の選択肢を自分で選ぶこと、何が正しいかを自分で考える楽しみがあるからなのかなあ、と思ったり。
舗装路から離れたところにこそアドベンチャーがある。
なぜ冬にわざわざ自転車通勤するか、という問いへの答えもそういうところ、自分で考えることが多いからなのかなあ、と考え始めている今日この頃です。