PikaCycling

Raleigh CRAとDAHON routeを買ったばかりのサイクリング初心者。ポタポタとポタリングを楽しもうと思っています。

LEVELのマツダ自転車工場を見学

11月のある日、東京に出張があって帰りの日は自由行動だったので、せっかくの機会なので自転車屋さんをめぐってくることにした。
いま乗っているラレーちゃんに不都合があるわけじゃないんだけど、やっぱりそろそろ新しいバイクが欲しい気がしてきている今日この頃なのだった。
自分もだいたい人生の折り返し地点を迎えて、最後の一台、いわゆる上りのロードバイクを考える時期になってきたという意識があって、今すぐには買わないだろうけれど、ある程度候補は絞り込んでおきたいと最近思い始めている。

そう考えると、やっぱり自分の好みはクロモリかな、と。

見た目はもちろん、やっぱり金属の丈夫さが頼もしい。
年に3、4回は倒しているし自分の扱いも雑だから、カーボンはちょっと怖い。
あとクロモリの場合は、フルオーダーで自分の体に合ったバイクが手に入るというのが良いと思っている。
個人的に、ロードバイクの重量は全然気にならないし。

日本は競輪のおかげでフレームビルダーはかなり多くて、しかも「手作りでこんな値段で大丈夫?」というお得な価格だったりする。
東京にも何軒もあるんだけど、結構前から気になっていたのが、YoutubeチャンネルでもおなじみのLEVELさん。
www.youtube.com
オーダーを受けた自転車を紹介するときがあるんだけど、どれも見た目がとにかく好みだし、フルオーダーの自転車を作るにあたってユーザー目線で考えてくれそうなところがいいな、と思った。

というわけで、この日の午前中は荒川区にあるマツダ自転車工場さんへ。

さすがに人気店らしく、この日もお客さんとの打ち合わせが何件も入っていたところ、わざわざ遠くから来てくれたからとその合間に時間をとっていただいてありがたいかぎりです。

松田裕道さんから直接(しかもかなりの長時間)お話をうかがうことができて、かなり勉強になった。
一番印象に残ったのは、やはり自転車づくりの基本に競輪があるところ。

競輪の自転車は究極にシンプルでかっこいいもんなあ。
ひとりひとりの選手の体形や脚質に合わせた自転車を作っていることが、ロードバイク造りにも生かされているのだろうな、と感じた。

話を聞いた後で、いつも画面に映って気になっていた青いロードバイクに試乗させてもらうことができた。

このバイクが結構衝撃的で、うちのラレーと比べると本当に素直に進む。
ペダルを踏んだことに対する進み加減、反応がダイレクトで、何の抵抗もなくスッと前に出る。
ラレーもそりゃあ踏めば前に進むんだけど、結構強情というか、走り始めに身もだえるようなちょっとした抵抗感がある、というのが乗り比べてみてわかった。

松田さんにそのことを言うと、やはり既製品の大量生産に比べて、精度がかなり違うんじゃないかという答えが返ってきた。
前後のホイールとクランクと体の姿勢と、そういうのがピシっとまっすぐになっているかどうか、その誤差を小さくできているから、より素直に進むように感じたんじゃないかとのことだった。

今回試乗させてもらったのはフルオーダーではなく、基本的なジオメトリが決まっているセミオーダーのもので、当然自分の体と合っているかどうかも計っていないわけなんだけど、それでもここまで違いがあるものなんだなあ、と感動した。

カラーリングの自由度も高く、青メタリック一つとっても10種類以上、さらにラメのフレークの大きさやらデカールの色なんかも選べるので相当楽しそう。

ラレーのような量販品と違うのは、必ず塗装の下地にメッキ加工がされているところなんだそうだ。
メッキは丈夫だから塗装が剥げてしまっても錆に強いという大きなメリットがある。
むしろ塗装をしないでメッキを出すという選択肢もあるんだけど、そうなるとフレームを奇麗に研磨する手間がかかる(通常は塗装で滑らかにする)ため、料金が高くなってしまうらしい。

いいことづくしではあるんだけどひとつだけ懸念点があって、それは、基本的にリムブレーキのみ対応となるということ。
LEVELの自転車の美しさはフォーク部分のきれいなカーブにあると思うんだけど、こういう繊細な構造をしていると、ディスクブレーキの制動力を受け止めきれなくなるそうだ。
リムブレーキはタイヤを挟み込んだ力を、フォークの根元の一番丈夫なところで受け止める。
それに対してディスクブレーキは作用点がフォークの先端にあるので、テコの原理の考え方からいってもフォーク自体にかかる負担は相当大きくなる。
もちろん鉄だから太く作れば対応できるんだけど(ラレーのCR-Bはディスクブレーキだけどクロモリフォークだ)そうするとバネ感だとか素直な走行感覚が失われてしまうのだそうだ。

個人的にはリムブレーキで全然問題ないんだけど、業界的には結構問題で、というのもシマノもそれ以外のメーカーも上のグレードのコンポーネントは全部ディスクブレーキにしか対応しなくなってるのよね。
ラレーをDi2化したときも、新型105はディスクのみ対応なので、STIレバーは唯一リムブレーキが使えるアルテグラを使うことになったのだ。
まあ、リムブレーキが完全に無くなるっていうこともないと思うけど、今後10年乗るとしたときに不安が無くもない。

そんなこともあって、自分の印象としてはLEVELはすごく良かったし、お金に余裕があるのなら今すぐにでも頼んでしまいたいレベルに気に入ったんだけど、直ちにラレーちゃんから乗り換えるか、と考えると二の足を踏んでしまうなあ、と思った。
似たようなもの、リムブレーキでクロモリで普段使いできるような自転車を何台も買ってどうする、という問題が一番大きい。
どちらかというとLEVELのオーダーバイクは、ハイエンドな装備でブイブイいわすというよりも、普段のサイクリングを上質に乗るためのものである、という雰囲気はあった。
それを考えると、それこそラレーが壊れるまで(塗装がボロボロになるまで)乗ってから乗り換えるというのは全然あり。
ただしイメージでいうと、次の次、というところだろうか。

自転車熱がかなり高くなっている今ならば、とりあえずなにかハイエンドなロードバイクに乗り換えて、さらに5年たって落ち着こうかな、と思った時に選ぶのがジャストなのではなかろうか、みたいなことを考えた。

というところで午前の部は終わり。
午後からはそれこそハイエンド中のハイエンド、世界最高峰級のロードバイクを見に行くのであった。