PikaCycling

Raleigh CRAとDAHON routeを買ったばかりのサイクリング初心者。ポタポタとポタリングを楽しもうと思っています。

2022BRM827北の国から400参戦記(後編)

峠だらけで雨まみれの地獄の400kmブルベ参戦記も後編です。

朝の11時にスタートするブルベは夜の来るのが早い。
三国峠を越えてセコマで小休止した後は、すっかり日が落ちた田舎道をPC2に向かって延々と南下する。
市街地を避けてコース設定されているため車通りは少なく、非常に快適。
雨も小降りになってきていて走りやすく、骨伝導イヤホンから流れるラジオをBGMに、闇の中をぽつんと走るのは何事にも代えがたい高揚感がある。

幹線道路を通るルートも認められていて、そちらを通ると名物のインデアンカレーにありつけそうだったんだけど、今回はeTrexのルートがおかしくてRWGPSの音声ナビに頼りっきりだったために断念。
www.fujimori-kk.co.jp

夕飯はいつものごとくPCでのコンビニ飯と割り切ってひたすらに走り続けた。

PC2にたどりついてゲットしたのはインデアンではなく日清のカレーメシ。
温かいものを食べたいけれど汁を飲み干すのはめんどい、というときにはぴったりで、スパイスの風味で食欲も増すので気に入っている。

R札幌のスタッフさんが待機していたので、これから越える狩勝峠での休憩スポットなどの話を聞いたりした。
ゴールは明日の昼頃になる予定なので、どうやってもどこかで仮眠を取らなければ走り切ることはできない。
屋根があったりベンチがあったり、雨風をしのげる場所をどう探すかも課題の一つなのだった。

雑談をしていると鉄夫氏がおいついてきて、パンク修理をしたからとスタッフさんからエアポンプを借りていた。
たまたま同じくらいの位置にいるのは脚力が似通っているんじゃなく、たまたまトラブルがあったからだったのか、と格の違いを感じた。

自分もエアポンプを借りてみるも、前日から走っている割にそれほどエアーが抜けていなくて大丈夫だった。
こんな雨の中、しかも真夜中にパンク修理だなんて悪夢すぎるし、慎重には慎重を期すくらいでいいかもしれない。

ボトルに入れてきたアミノバイタルがなくなったので、東川のモンベルで買ったペプチエイドを飲んでみることにした。
webshop.montbell.jp
が、これが死ぬほどまずい。
普通にゲ□の味がして吐きそうだった。
こいつはもう買わないぞ。

その代わり、一緒に買った顆粒のまま飲むアミノバイタルはいい感じだった。

運動の前と途中と終盤で1本ずつ飲むようにと3袋入りのが売られていたんだけど、言われた通りに飲んでいたおかげでかなり楽に走れた気がする。


PC2を出て狩勝峠を目指して走り出す。
夜になって気温が下がってきたけれど、イナレムの下に一枚薄手のパーカーを羽織っていたし、走っていると体温が上がっていくのでこのくらいの季節なら問題なかった。
あと、やはり便利だったのがミレーの網網インナー。

肌とジャージの間に空気の層ができるので、汗冷え防止にもなるしイナレムで外気をシャットアウトすると保温効果も生むようだった。
寒い時期から真夏まで、手放せないアイテムになってしまった。


狩勝峠の手前にある、新内パーキングが休憩場所にちょうどいいという評判を聞いていたので、まずはそこを目指すことに。

R札幌のフェイスブックで見た反ワクチンの貼り紙が気になっていたんだけどすでに撤去されていたようで残念(実は単に見つけられなかっただけだったことが後から判明)。

トイレの横には屋根のあるベンチがあったので、そこで靴下を脱いでしばらく座って休むことにした。

防水靴下を絞ると水がじゅわっと落ちてきた。
それでも、つま先が冷えたりすることはなかったので防水の役割をきっちり果たしていたっぽい。

ただし路面の水を跳ね上げてシューズの中がぐしょぐしょになってしまうので、やはり雨ライドでは(前だけでも)フェンダーがあった方が良さそうだ。


しばらく休んでいると後続のローディがやってきて、
「お疲れさまー」
の声があったかと思うとバサバサという音がして、何かと思って見るとエマージェンシーシートに包まれて即座に休憩に入っていた。

強い。

座って休んでいたらだいぶ元気を取り戻してきたので、自分はそろそろ出発することにした。
狩勝峠自体は斜度はそれほどではなく、へろへろと登っていけば苦しい峠でもなかった。
とくに登りはずっと登坂車線があって車との距離が遠いので登りやすい。

しかし眠い。
普段22時に寝ているので、23時ともなると相当に眠い。
PBPのレポートを読んでいると走行中に寝落ちして落車したみたいな話があって、「いやいや動きながら寝るとか無理でしょ」と思っていたけど全然ありそうだ。

なんとか狩勝峠の頂上にたどり着くと、かなり立派なトイレが見えた。
このまま下ったら途中で寝てしまってそのまま永遠の眠りについてしまいかねないと思い、自転車を建物の中に入れてトイレの個室に入った。
それから便座に腰を下ろした瞬間、暖房便座のぬくもりが伝わってきて一瞬で意識が飛んだ。

気が付くと1時間経過していて驚いたけれど、おかげで頭はすっきりして眠気も消え去っていた。
これなら峠を下れるぞ、と再スタートを切ったものの、寝起きの体にハイスピードの下り坂はめちゃくちゃ体が冷えて閉口した。
それでも夜中だしそんなにスピードも出さないし、寒さに耐えながら南富良野セブンイレブンに到着。

ここはイートインスペースもあったので、ホットコーヒーとブリトーで一息ついた。
先にキャンプマット氏が到着していて、峠を下った後の落合駅で仮眠したと教えてもらった。
なるほど定番の休憩スポットが峠の前か後になるわけだ、と、冷えた体をコーヒーで温めながら納得した。


(これは旭川で大量発生していた蛾、クスサン)

じょじょに空が青じろんでいく中、どうにかPC3に到着。

ここでだいたい300kmなので、残りは100km。
あとはどうやってもゴールできる時間と距離だ。
にしても函館300やトトロ300に比べてもここまでの300kmは相当きつかった。
晴れていればまだ良かったのかな……。


あとは富良野観光ルートということで、北の国からの名所を巡りながら北上。

(ぜんぜん見たことないけど)

最後の難関である十勝岳の手前のところでキャンプマット氏に追いつかれ、天気の話をしながらしばし並走。
途中にある後藤澄夫美術館を指差し、
「普段だったらあそこでレインウェアを脱ぐんだけど、まだ空模様が分からないかなあ。あそこが吹上までの最後のドリンクスポットだし」
というので、
「えっ! じゃあ自分はドリンク補給してきまーす」
と離脱。
ベテランさんと一緒に走るとためになることが多すぎる。

ここで気合を入れるため、リアルゴールドアミノバイタルのゼリーを飲む下すというドーピングを決めた。
ついでに雨具も脱いでしまって身軽になった。
多少雨が降っても登りは暑いし、あと、下半身はイナレムがまとわりついて微妙に邪魔。
ロングのビブショーツに防水スプレー吹いた方が良かったかもしれない。

しかしこれだけの準備をしても、十勝岳ヒルクライムは地獄だった。
斜度が10%近くの延々と続く。
地元のローディたちが身軽にスイスイと登っていくのを横目に、ここまで350km近く走ってきてヨレヨレの体で這い上がった。
キツさとしては裏城岱に近いかな。
しかもそれよりはるかに長い。
いっそ殺してくれと心の中で呪いながら、歩くことなくなんとか登り切ったけれど両膝は完全に破壊されていた。

さて吹上温泉である。
hokkaido-labo.com

これからの人生で再びここに来るだろうか、と聞かれたら、来ない可能性の方が高い(笑)
時間は午前9時で、制限時間の午後2時までまだ5時間もある。
PC1で買ったタオルも持っている(ここで伏線が回収)。

となると、入らないわけにはいかないでしょう!!!

タオル片手にさっそうと湯舟を目指すと、まさに天空の露天風呂が広がっている。

(これは掃除中の上の湯。めちゃくちゃ熱いらしい)


かけ湯をしてからお湯につかると、芯まで冷え切っていた体に温泉が染みわたる~。
ここまで登って来た甲斐があったね!

入口の所にランドナーが停めてあり、持ち主の初老の紳士も温泉に入ってきたので話を聞いた。
大阪の方に住んでいて、会社を退職してから夏は毎年北海道に自転車旅行に来ているというなんともうらやましいご身分。
自分もこうなりたいものだ。


さっぱりしたところでジャージを着込んで出発。
温泉で温まったおかげでダウンヒルも全然苦にならない。
つくづくいい温泉である。
だけど体を覆っていた皮脂分が失われたせいで、尻やら股間がジャージとこすれてひりひりするようになった。
それまでは天然の潤滑油的役割を果たしていたのかもしれない。
裸になったついでにJ-1クリームを塗りなおせばよかったなあ。


でもまあ残り50kmだしあとは下りしかないので気にせず帰ることにした。

最後は富良野の大平原を駆け巡るご褒美コースなので、ケンとメリーの木や

セブンスターの木を前に写真撮影。

風景を楽しみながらポタリング気分でゴール!

ゴール地点では先に到着していた参加者たちが反省会と称して談話していたので、自分もコーラをゲットしてから集まりに交わらせてもらった。
やはり話題の中心は雨対策で、GIANT純正のフェンダーがかなり良さそうだったので真似してみる予定。
レインパンツもやはりモンベルがいいのかなあ。
誕生日プレゼントに頼んでみようかしらん。

あと、吹上温泉に入ってきたと言ったら驚かれたんだけど、そんなに珍しいのかと逆にびっくりしてしまった。
せっかく普段走らない土地を走るのだから、その土地でしか味わえない経験も楽しみたいというだけなんだけども。
そういえばバナナマンの「せっかくグルメ」という番組は「せっかく〇〇来たんだから××食べていきなさい!」の略称だった。
自分もこれからは「せっかくブルベ」を自称していこうかな。


という感じで初の400kmブルベは無事終了。
史上最恐の400kmブルベと言われているとおり苦しい戦いだったけど、制限時間に余裕をもってゴールできてよかった。
これなら来期は600kmも大丈夫そうだなあ。
2023シーズンはなんとしてでもSRを取らなければならないのでこれで自信がついた。
雨のブルベは辛いけれども、まあなんとか頑張れないこともない。
もっとしっかりした雨具やフェンダーを用意しておくことにしよう。