ロードバイクに乗り始めてからずっと気になっていたことがある。
それは、「なんでわざわざお金を出してまで坂を上りたがるのか」
ということ。
つまりは、ヒルクライムレースなるものの存在意義が分かっていなかった。
ブルベの場合は登りもあるけど楽しい下りや平地も待っているのでちょいとしたスパイスくらいの気分で味わえる。
でもスタートからゴールまで登りっぱなしってのはどうなのよ。
それはさすがにビターすぎる。
そんな思いもあったし、そもそもヒルクライムレースに参加しようなどと目論む面々はガチ中のガチ勢であるからして、週末に海鮮丼を食べるために遠出するのがロードバイクに乗る主な目的となっている自分のようなゆるポタ鈍脚おじさんローディには出る幕がない。
地元でもStravaの記録で比べるとだいたい下から二番目くらいの成績なので、「函館で2番目に遅いローディ」を自称するくらいの鈍脚だ。
あとはやはり機材の問題もある。
ヒルクライマーならカーボンフレームにデュラエースがまずはスタートラインで、それをどこまでUCI規程ギリギリの6.8kgまで近づけていくかみたいなところから勝負が始まっているといっても過言ではない。
我が愛車であるラレーCR-Aちゃんはクロモリフレームのエントリーロードなので、ボトル無しでも10kgをオーバーしてしまうためはなから勝負にはならないのだった。
とはいえ、絶対的な重量ではたったの3kgなわけだし、ライダーの実力でひっくり返せない圧倒的な差ではないことも事実。
それならばカーボンロードの群れの中に単騎突入して自分の実力を見比べてやるというのも悪くはない。
ニセコ花園ヒルクライムは毎回500人くらい参加する、北海道のサイクルイベントの中でもダントツに人気が高いわけだし(ブルベだとせいぜい50人くらいだし)、ヒルクライムの何が楽しいのか、自分で実際に試さなければ食わず嫌いに終わってしまう。
そんなわけで、ヒルクライムレースの魅力の謎を解明すべく、われわれ探検隊はニセコの奥地へ向かったのだった。
イベントは8月7日の日曜日午前10時からの開催だったので、朝早く家を出れば十分間に合う時間ではあった。
でもそれだと慌ただしいし、コースとなっているニセコエコーラインは何度も下ったことがあるけど登るのは初めてだったし、前乗りして実力のほどを確かめておくことにした。
当初は積丹半島周りでうに丼でも食べてこようと思っていたんだけど、さすがに前日に180㎞とか走ったら疲れちゃうのでここは自重。
いつも通りに倶知安のくとさんパーク駐車場に車をデポしようと思っていたら、この土日は倶知安町のジャガイモ祭り会場となっているとのことで、やむなく少し山を登ってスポーツセンターの駐車場を使わせてもらった。
ここから出発してエコーラインにIN。
全ダウンヒルの中でもこのニセコエコーラインの下りが一番好きなんだけど、その理由は眺めの良さのほかにも、標高の高さのわりに斜度が緩やかで位置エネルギーの恩恵を得られる区間が長いことにもあったりする。
登ってみてもその感覚は正しくて、スタート地点からゲート付近まではずっとなだらかな傾斜が続き、平地と変わらない勢いで走れる箇所まであった。
ある程度この区間でタイムを稼いでおくことが、平坦番長な自分への課題になるだろう。
全長14.6㎞のコースのうち、ここまでが10.6kmで、残り4kmからが本格的なヒルクライムになった。
前半戦はAVE20km/hでこれたのでだいたい30分。
残りを30分で登りきるためには時速10kmをキープしなければならないので、かなり厳しい戦いになった。
それでもラスト1kmは山を登り切っての平坦区間となるので、本当の勝負は約3キロ。
気合で登り切ってゴール時間は57分くらい。
これならなんとか足切りされずに済みそうだ。
なお、この時点ではスタートから1時間で足切りだと思い込んでいたけれど、実際はゲートまで1時間、ゴールまで2時間というゆるふわ関門なのだった。
後から気がついたけどMTBや小径車も参加できるイベントなので、そんなにきついわけはないんだよね。
走り終わっていつもの神仙沼レストハウスまで向かうも、ニセコの頂上は8月とは思えないほど気温が低く、ヒルクライムの汗が一気に冷めてしまったためスイーツを食べる気にもならず、やむなく海老味噌ラーメンなんぞに手を出してみた。
積丹の海老を使っているとのことだったけど、やはり一幻なんかと比べると(比べてはいけない)濃厚さに欠けるし、麺も緩い感じだったのでまあまあ。
その後は同じ道をダウンヒル。
エコーラインの下りはゲートを過ぎてカーブを曲がって羊蹄山が目の間に大きく表れる瞬間が一番好きだ。
しかしやっぱりヒルクライムよりダウンヒルの方が5000倍くらい楽しい。
それなのになぜ、ひとはヒルクライムレースなんぞにはまってしまうのだろう。
謎は、まだ、解けない。
そんなこんなで旭ヶ丘スキー場に設置されている会場に戻ってきてみると、ブースが並んでいたり受付が始まっていたりして、朝よりもだいぶにぎやかな様子だった。
とりま受付だけ先に済ませておくことにして、事前に送った健康管理チェックシートの受付確認(メールの画面を見せるだけ)をし、ゼッケンとタイム計測のためのICチップのほか、チラシやら試供品やらわさわさと渡されてちょっと焦った。
自転車で自走してきてたら持って帰られないところだ。
あと、ニセコHANAZONOヒルクライムの参加料は6,500円とブルベと比べると破格に高いのだけど、記念Tシャツももらえるので実質無料みたいなものだった。
これを着てサイクルショップに行けば強者感も出るだろうし。
来年はニセコクラシックにも出てみようかな。
しかし会場にあると言われていたブースはかなりこじんまりとしてさみしい雰囲気。
どうも、YouTubeでサイクルモードなどのイベントを見て期待値を上げすぎたみたいだ。
ゴキソみたいな高級品のハブは自分とは無縁だし、インソールはちょっと興味あったけどそーゆー面白そうなのは混んでいたし。
これを楽しみに早めに会場に戻ってきたけど、時間をつぶす何物もなさそうだ。
というわけでニセコのおしゃれなスイーツでも食べてくることにした。
荷物を車においてから、羊蹄山を横目に国道5号をひたすら南下。
この区間、サイクリング天国のニセコにしては路肩が狭くて走りにくいと思っていたら、近いうちに拡幅工事が行われるとのこと。
来年はニセコヒルクライムを中心に観光が楽しみやすくなりそう。
目的地はニセコチーズ工房。
www.niseko-cheese.co.jp
ここのモッツァレラチーズソフトがかなりに美味いという評判を聞いてきたのだけど、ソフトクリームよりもやはり本命はチーズそのもので、その場でチーズの試食ができたりもはやケーキと見まごうばかりのここでしか食べられない特製チーズが置いてあったりと、クオリティが高すぎる。
ソフトクリームのほかにフロートも選べたので、迷わずモッツァレラフロートをチョイス。
いやこれは凄いね。
モッツァレラチーズの外側の白い部分の風味を凝縮させたような味と香りで、人を選ぶほどの強烈さ(自分は好き)。
今度来るときは普通にチーズをおみやげに買って帰ろう。
そんな感じでウォーミングアップがてらニセコまで往復して、今夜の宿に。
torifito.jp
トリフィートホテルは値段も安くて施設も新しいカプセル風ホテル。
扉がなくて廊下とはパーテーションで仕切られているだけではあるけれど、カプセルホテルに比べたら広くて過ごしやすい。
ただし防音効果はゼロなので、真夜中にチェックインした客が騒いだり目覚ましアラームをかけてみたりとやり放題だったので耳栓は必須だと思った。
(禁止されているけどそーゆー輩は漢字が読めない)
ランドリーもあるし大浴場もあるし、値段も安いのでかなり良かった。
サイクリストのお客さんも多く、札幌市民だったらここまで自走で来るのにちょうどいいんだろうなと思った。
夕飯はついていないので近くの焼き肉屋へ。
daijinmon-kucyan.gorp.jp
小樽焼肉というよく分からないジャンルではあったけど、ひとりでも個室をゆったりと使えて最高だった。
肉も美味しいし肉汁を吸ったタレを最後に割スープで割って飲むというのも良かった。
帰りはホテルに隣接するマックスバリュとローソンで水やら夜食やらを買い込んだ。
トリフィートホテルは隣にスーパーとコンビニがあることで星1つぶん加算されていると思うw
という感じで初日は120%英気を養って気合十分。
いよいよ明日はヒルクライム本番だ!