今回参加したブルベは、0時または4時という変則的なスタート時間が設定されていた。
0時出発組は大鰐温泉スタートの300kmブルベに続けて参加するとのこと。
そんな大それた野望もない自分は4時スタートで良かったんだけど、そうするとコースの大部分を日中の暑い時間帯に走らなければならないという懸念があった。
この前の奥津軽一周ライドでも本州の暑さに苦しめられたし、ここはあえて0時出発を選ぶのも手かな、と。
そのためには大鰐温泉を22時ころ出発して、23時に弘前到着が良いだろうと思ったので21時まで寝るというのが当初の計画。
だけど早い時間に寝て眠りが浅いせいもあり、他のお客さんがチェックインしだすとそのざわめきもあり、夕方には目が覚めてしまった。
まんじりともせずそのまま布団でゴロゴロしていたけれど、全然眠れない。
どうせ寝られないのだから、早めに弘前に行ってしまうことにした。
自転車で行ってもいいのだけど、昼間に乗れなかったサイクルトレインに乗るのも楽しそうだし。
ちょうど21時30分が最終だったので、それに合わせて宿を出た。
弘南鉄道大鰐線で弘前に
大鰐温泉駅の改札をくぐってみるといきなりの階段。
どうやら南口はJRのものらしく、跨線橋を渡って北口に回らないといけないようだ。
ホームにたどり着くと、電車の様子がどうにもおかしい。
車内の照明は落とされて、代わりに赤いぼんぼりみたいなものが光っている。
戸惑いつつも電車の中に入ってみるとそこは別世界。
無数に並んだ赤い金魚ねぶたに照らされて、このままどこか違う国へと連れて行かれてしまうんじゃないかと感じた。
千と千尋の神隠しにでも出てきそうな雰囲気だ。
夢か現実か分からなくなっているところに運転手さんが入ってきて、
「自転車は一番うしろの車両ですよ」
と注意されて正気に戻った。
ホームページは見てたんだけど、こんな素敵なイベントがあったとは全く気が付かなかった。
しかも旅行中に金魚ねぶた電車が走るのはこの日だけだというからラッキーにもほどがある。
弘前市で夜の寒さに震える
幻想的な列車を降りて夜の弘前市に降り立つと、以外に寒く感じた。
気温は19℃と表示されているけれど、昼間の19℃とは全然質が違う。
もともと0時出発の予定だったけれど、日の出まで5時間近くこの寒さの中を走るのはしんどいかな、と思い始めてきた。
ここでお得意のタロットカードを引いてみると、出たカードは「太陽」の逆位置。
これは0時スタートはやめろということやね、ということで、近くの快活クラブで時間をつぶすことにした。
腹ごしらえにトルコライスを食べたら急激に眠くなり、3時まで十分な仮眠を取ることができた。
ブルベスタート前
タイマーに飛び起きて、反射ベストを着込んでスタート地点の弘前駅へと急いだ。
すでにチラホラと参加者らしき人が集まっていたので、主催者の方に参加申込書を提出。
その辺りで急に土砂降りの大雨が降ってきて、慌ててバス乗り場の方へと急いで避難した。
レインウェアを置いてきてしまったけれど、スタートの頃には止んでくれたのでセーフ。
0時スタートの人は大変だっただろうなあ(他人事)。
ブルベカードをもらって全員揃ったところで車検が始まった。
ところが、前の日まで普通に点灯していたレザインのフロントライトが急にうんともすんともいわなくなっていて冷や汗をかいた。
メインの18650ライトは無事だったし、サドルバッグにもう一本入れてあるから問題はないんだけど、やっぱり予備を含めて3灯は持っていかないと危ないね。
車検の後は動画を見ながらコースの注意点について説明を受ける。
途中にある中山峠は車1台がギリギリ通れるくらいの細い山道なので、もしアレだったら国道101号に迂回して遠回りしても良いとのことだった。
スタートまでまだ時間があったので、すぐそばのコンビニでゼリーを買い(家から持ってきたのはぬるくなったので予備とする)、トイレを済ませて4時を待った。
ブルベスタート
4時になりスタートの掛け声はかかったのだけど、なにせ駅前の歩道の中なので、どっちに行くべきか全員が戸惑って締まりのない感じになった。
なんとなく自分が先行したら、その後にみんながついてくるという謎の状況に。
(自分みたいな初参加者が先導していいものだろうか)
とも思ったのだけど、豪脚の人は適当に抜いていくだろうと適当に走り出した。
が、参加者の中に一人、スタート地点から熊鈴を鳴らしている人がいて、それが耳障りでしょうがない。

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弘前市内のど真ん中で熊が出るわけねえだろうとイラッとして、引き離すべく猛ダッシュを仕掛けた。
先頭なのをいいことに信号の変わり目に突っ込んで後続を引き離し、可能な限りの速さで(といっても鈍脚なので30km/h程度)大逃げをかました。
市街地は街灯の明かりがあるため走りやすく、夜中でも不安なく走れた。
真のナイトライドはやまなみロードに入ってから。
ここから先は街灯もなければ人家もなく、周囲は完全な闇。
それでも18650ライトの威力は素晴らしく、熱したナイフでバターを切るように、やすやすと漆黒を切り裂いてくれる。
そして、なんといってもEtrexがあるのが心強い。
曲がり角はもちろん、カーブがあるのが事前に分かるので周りが見えなくても全然走りやすい。
地図なしのサイコンで走る人もいるとはいうけれど、ブルベではやはり地図を表示できるナビは必需品だと感じた。
太陽のありがたさ
岩木山環状線の登りをひたすら漕いでいる間に空が白みはじめ、下りに入った頃にはフロントライトの助けがいらないくらい明るくなってきた。
闇夜でダウンヒルすることを考えたら、やはり4時スタートで正解だった。
太陽が嬉しいのは、明るさだけでなく体感気温が上がること。
走り出してみると夜の寒さも気にならなくなったけれど、そうは言っても体は冷え切っていたのだろう、陽の光を受けて全身に血が巡っていくのを感じた。
PC1 ファミリーマート深浦関店
最初のPCには5時52分に到着。
45kmを約2時間なので、なかなか悪くないペースだと思う。
この段階でまだ後続に追いつかれていないので、とにかくスピーディにPCを済ませることに専念した。
水はまだ余裕があるので買い足さず、ゼリーとプロテインバーのみ購入。
PC到着前に買うものの整理を脳内でしておくと捗る。
レシートは超大事なのでブルベシートに挟み込んで財布の中に仕舞っておいた。
トイレも含めて再出発したのが5時59分。
かなり手早く済ませたつもりでも5分も使ってしまうから恐ろしい。
まやまやしていたら10分くらいすぐにすぎてしまうだろう。
45kmを2時間で走る場合の平均速度は22.5km/hだけど、仮に2時間5分だとしたら21.6km/hにまで落ちてしまう。
2時間という長時間を1km/h速く走ろうと思ったら並大抵の苦労では済まされない。
ブルベを走り切るためにはいかにロスタイムを短縮するかが鍵になるのだと感じた。
完全に朝になったのでここで秘密兵器の骨伝導イヤホンの電源をオン。
ナイトライドでは注意力を研ぎ澄ませるため使わなかったけど、ここからの155kmでは必要になるだろう。というか、残り155kmという表示を見るとかなり気が楽になった。
200kmだと前人未到に思えるけれど、150kmは普段から毎週のように走りなれている距離だ。
ここまでのペースと疲労感を考えると、十分走りきれそうな手応えを感じた。